表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
63/120

第52話 飛竜討伐(8)

 神域がとんでもないことになっています、アクシデントは何処にでも在りますね。

 隊長が聞かれて戸惑っていたが思い切って聞く事にしたようだ。

 「ブレスの無効化だが、どうやって確認したんだ?」


 「2つ在ります、1つは飛竜の行動から、もう一つは魔術の行使痕からです」

 説明する為に会議室の椅子へ座ると、他の2人も椅子へ座った。


 「先ほど報告した飛竜の行動が見た目にブレスを出そうとして出せない動きだと判断しました」

 見た目ですから疑念は出ると思います。


 「もう一つの行使痕ですが、魔術を行使すると成功、失敗に関わらず痕跡が残ります、ダキエではこれを行使痕と言います」

 説明の前に前提と成る知識を知ってもらいます。

 「飛竜のブレスも魔術が行使されていますから、ブレスを失敗しても行使痕は出ます、今回はその行使痕を5頭共見てブレスの失敗を確認しました」


 「安心した、これで飛竜のブレスを恐れる事なく討伐出来る、ありがとうございました。」

 立ち上がったダンガー隊長が深々と礼をして感謝を表してくれた。


 イガジャ男爵様も聞く事はもう無いそうなので、ラーファは少しでも長く寝る為に部屋へと引き上げた。


 神域へ入って家まで歩く途中で「ピィーヨ、ピィーヨ」と鳴き声が聞こえてきた。

 ワイバーンが空を飛んで通り過ぎるのが見えた。

 気が付いたら地べたに座り込んでいた、腰が抜けたのだ。


 『マーヤ!!ワイバーンがいるよ!!』

 マーヤに念話で叫んだ。


 『うん、やっと成体まで再生できたんだよ』やり上げたとでも言いたげにマーヤが報告してきた。


 『吃驚びっくりしたんだからぁ! 脅かさないでよ!』ラーファはあまりの出来事に念話で叫んだ。


 『吃驚びっくりしたのなら頑張った甲斐があったわ』

 『素敵でしょう? 空を飛ぶ時に鳴き声を上げるのだけどピィーヨ、ピィーヨて鳴くのよ』

 マーヤの興奮して弾むような念話がラーファに響いた。


 ラーファは飛竜を恐れる気持ちをワイバーンに夢中なマーヤに言ってもたぶん無駄だと思った。

 あれに乗って空を飛ぶのかとラーファは諦念を覚え、ワイバーンを探して空を見上げた。

 まぁ鳴き声は可愛いかもしれない。


 ふらふらと起き上がり家へと歩いた、又飛んで来るかもしれないワイバーンを探して上を見ながら。

 家の中は何も変わりが無かった。

 マーヤは目を覚ましていてしきりに左右に体を揺らしていた。

 そろそろ寝がえりが出来そうな感じがする。


 マーヤのお世話をしながら、疲れたラーファはワイバーンの事は頭から追い出して寝る事で忘れる事にした。


 寝ることが出来た時間は1刻(2時間)ぐらいでした。

 イガジャ男爵様の領兵には夜討ち朝駆けは何時もの事なのか、夜11時(午前4時)にも拘らず40名の隊員とイガジャ男爵様、ダンガー隊長とラーファはそろって集落を出た。

 見送りはオイラート集落代表だけだった。


 集落から南下する道を進み川に架けられている橋を渡ると崖に出た。

 この崖の上が羊の放牧地が在る山間部に成るのだろう。

 崖に沿って北西に川を遡り崖の途中に在る谷間から流れる川との合流点へ出た。


 崖の切れ目は両側とも深い切り立った崖と成って奥へと続いている。

 谷間を川に沿って上流へと行くと川の側にぽっかりと開いた空間が在った。

 恐らく昔大木が在って、其の大木が川の方へ倒れて出来た空間だと思う。


 今は川の側に出来た開けた空間が在るだけで、大木の痕跡は中央に残っている木の根元が朽ちたと思える残骸だけに成っている。


 討伐隊は目的地に着いたので、早速5人組み毎の行動へと分かれて行った。

 私が渡したインベントリのカバンを持ったダンガー隊長はカバンから物資を出して各組へと配っている。


 弩の分解した材料と鉄の矢、それにロープが多数。

 クロスボウが予備も含めて15台と錘の付いたロープが多数。

 長柄の槍も数本づつ束にして出している。


 そのほかにもキャンプ用の品々や食料や生きた羊も5頭個別の大き目の袋に入って出て来た。

 羊は飛竜討伐時は餌の1頭以外は再度袋に入れてインベントリのカバンに入れる予定に成っている。


 領兵の人達はキビキビと動き空地の中央に餌となる羊を中心に弩を森の中に隠して十字に撃てるように設置していった。

 クロスボウを持った10人は弩と弩の間にロープの端を木に括りつけて何時でも飛竜へ撃てる様に森へ隠れている。


 残りの切り込み隊20人とダンガー隊長は毒を餌の羊に仕込むために羊の体に毒の入った革袋を縛り付けた。

 革袋の中には殺鼠剤のヒ素が入った毒だそうだ。


 羊の首にかけたロープを広場の中央の根の残骸へ結ぶ。

 体に巻いた革袋が気になるのか羊はしきりに革袋を舐めヨタヨタと動き回った。


 切り込み隊の隊員達は弩やクロスボウの射線を避けるように餌の羊の周りの森へと5人組み毎に隠れた。


 時刻はそろそろ昼の4時(午前9時)を過ぎ、5時(午前10時)近くに成る頃だ。


 ラーファとイガジャ男爵様は少し離れた木の枝に渡した板で作った見張り台へ上りそこから広場を見ていた。


 遠くで「ピィーヨ、ピィーヨ」と鳴き声が聞こえてきた。

 飛竜がいよいよやって来たようだ。


 準備完了、飛竜討伐開始です。

年末年始のお知らせ、31日、1日は投稿をお休みします。

3日から投稿を再開します。

皆様つたない作品ですが読んでいただいてありがとうございます。

来年も投稿を続けていきますので、どうかよろしくお願い申し上げます。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ