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第51話 飛竜討伐(7)

 飛竜に接近しなければポーションを使えません。

 ラーファは如何するのでしょうか?

 斜面から段差を降りる前に休憩を入れよう。

 一度神域へ入り、マーヤに飛竜の状況を調べてもらう。

 『マーヤ、飛竜は寝てるの?』


 『うん、寝てるよ、巣に入って寝てるのが3頭、巣の側に2頭寝てる』


 此処からは飛竜が警戒するエリアに入る事に成る、ラーファは一段と警戒して小石さえ落とさない様に飛空を行使しながらゆっくりと段差の上からロープ1本で崖の上の平地へと降り立った。

 休憩を取る意味でも隠れたかったので神域へ入って様子を伺う。


 ラーファの潜む神域から一番近い飛竜の巣まで凡そ120か130ヒロ(180~200m)在る。

 用意してきたブレス無効化ポーションを5個取り出す。


 神域から手だけを出して手の平にブレス無効化ポーションを3個乗せる。

 此処から風の魔術でポーションを飛ばす事にした。


 3個のポーションを巣に居る2頭と側の1頭に狙いを定め3本の風魔術を行使して飛ばした。


 ポーションは真っ直ぐ飛竜へと飛んでポーションが飛竜の体に当たり、砕けて飛竜に降りかかる。

 飛び起きた飛竜が騒ぎ出す前に、次のポーションを2個3番目の巣に居る飛竜と2番目の巣の側に居る飛竜へ飛ばす。

 2頭へもポーションが当たり、これで5頭共ブレスが封じられた。

 その頃に成って最初にポーションが当たった飛竜3頭が起きて騒ぎ出した。


 ラーファは神域に手を引っ込めてやり過ごす事にする。


 飛竜は体の違和感を感じているのか、ザワザワと身動きして5頭共巣の周りで首をしきりに動かしている。

 『ラーファ、飛竜の5頭全部ブレス無効化ポーションが効いているよ』


 『ありがとう、念の為5頭のブレスを封じたか魔術行使痕も確認出来たら帰るよ』


 違和感の正体がブレスを吐く喉に在る事を理解したようだ。

 首を振りながら唾を吐こうとするように「ゲェグ、ギャギ」と低く泣きながら口を開けて首に力を込めている。

 ブレスを出そうとして失敗したのだろう、喉のあたりに魔術の行使痕が出るのが分かった。


 飛竜のそんな姿を見ながらブレスが無効化された事を確認できた。


 『これで確定ね、他の飛竜を確認したら帰りましょう』

 と念話しながら飛竜の巣でウロウロしている他の飛竜を見る。


 待っている間に、他の飛竜もブレスを失敗したので行使痕が5頭共確認できた。


 ブレスが封じられてイライラしたのか飛竜の内2頭が体をぶつけ、噛みつき、尻尾で叩き合う様な喧嘩を始めた。

 2頭の争いで、他の3頭も喧嘩する2頭に注目しているので、ラーファは神域から出て段差が在る崖へと移動しても見つからなかった。

 急いでまだぶら下がっているロープを登った。


 ロープを括りつけた木からロープを回収し、飛竜達の騒々しい争いを後ろに麓の薬の木の森を抜け、西縁峠までたどり着いた。


 一度崖の上を見てみたが、距離が在る上に崖の上なので飛竜は見えなかった、しかし飛竜の立てる騒々しい鳴き声は聞こえて来た。


 西縁峠を越えてからゴーレム馬ビューティに乗ってオイラートの集落まで帰って来た。

 時刻は既に夜9時(午前2時)を過ぎていた。


 集落では、イガジャ男爵様と隊長が起きてラーファを待っていた。


 「イガジャ男爵様、任務完了です、飛竜5頭のブレスを封じる事に成功しました」

 集落の広場にビューティで乗り付け本部小屋で待っていた2人にビューティに乗ったまま報告した。


 イガジャ男爵様に急かされて本部小屋へ入り2人を前に椅子に座った。


 イガジャ男爵様はラーファが帰るまで心配していたのでしょう、今は満面の笑顔をしています。

 「どんな様子だった?」と任務が成功に終わり笑み崩れる顔でラーファを促して聞いてきます。

 ダンガー隊長も興味津々でラーファを見ている。


 ラーファは促されるままに行動を説明して行きます。

 「西縁峠まではゴーレム馬で、そこからは歩きで飛竜の巣へ近づきました」

 「巣の在る崖の上へは回り込んで山の上から侵入しました」

 「崖に成っている段差をロープで降りると飛竜まで120から130ヒロ(180~200m)の距離がある地点に降りました」

 「飛竜の様子を伺うと5頭共寝ているようなので風の魔術でポーションを飛ばし5頭全てにポーションを掛ける事に成功しました」

 「ポーションが掛かった飛竜は起きてブレスが封じられている事が分かった様子でした」

 「しきりにブレスを出そうと首を振ったり、喉に力を籠めたりしていましたがブレスは出せませんでした」

 「ラーファが飛竜の巣から立ち去る時は仲間内で喧嘩を始めていました」

 「西縁峠までは歩きで、峠を越えてからはゴーレムに乗って帰ってきました」


 以上が報告内容です。



 「ご苦労様でした、イスラーファ様、ブレスが封じられた事は飛竜討伐に死者の数が大幅に減る事に成り申す。」

 イガジャ男爵様が感謝に耐えないと半泣きに成りながら手を取って感謝を表してくれた。


 『イガジャ男爵様って何時もラーファの手を握ってるね』

 マーヤが手を握って半泣きしているイガジャ男爵様へ不満の気持ちを念話で知らせてきました。


 『危険な任務に送り出す側は待つのが仕事と言っても色々葛藤が在るのよ、イガジャ男爵様も反動で日ごろしないような行動をしているだけよ』

 ラーファがイガジャ男爵様の行動を擁護する念話をするとマーヤが思わぬ反応を示した。


 『ラーファはイガジャ男爵様に惚れたらダメよ、ダメダメなのよ』マーヤが子供らしい反応をしています。

 ラーファはマーヤの母親を独占したいとの思いからのわがままが微笑ましかった。


 手をやっと放してもらい、疲れも在って部屋へと帰る前に疑念が在りそうなダンガー隊長に向かって聞いた。

 「何か聞きたい事とかありますか?」


 ブレスは此れで封じる事が出来ました。

 いよいよ飛竜討伐が始まります。

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