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第48話 飛竜討伐(4)

 秘密の暴露、To be, or not to be それが問題だ。

 男爵様にマーヤの事を知らせるか知らせ無いかそれが問題です。


 おばばの答えは直ぐに帰って来た。

 「大丈夫じゃレイは信頼できる奴じゃよ、それにラーファの治療で体の調子もすこぶる良いらしいラーファにはとても感謝していると言っていたでな」


 「まぁ私が言っても信用出来んかもしれんが、元々イガジャ家は此の山岳地帯を治めていた豪族だったんじゃ」

 そう言っておばばが話してくれたのは、オウミ王国が作られて行く過程で起こった争いでした。

 長く独立を保っていたイガジャ族を攻めあぐねた今の大公の3代前が当時の建国王に膝を折って傘下に入った事がオウミ王国の建国に繋がりました。


 大公はイガジャ族を従える事を傘下に入る事と引き換えにしたのです。


 山岳地帯に住む一族を束ねてゲリラ的な戦いを仕掛けるイガジャ族は、当時戦に雇われて諜報活動の様な事をしていたようです。


 大公家にとって便利な傭兵だがまつろはぬ民でもあった。

 援軍を頼まれた建国王は雇っていたイガジャ族を懐柔してだまし討ちの様な内部からの切り崩しで当時のイガジャ族長を討ち、その娘と雇ったイガジャ族の頭を娶せてイガジャ男爵家として従えたそうです。


 建国時の約束で大公家に属しているイガジャ族ですが。

 地理的に王家の領地から離れている為大公家に属しているだけで、大公家の家臣では無くて大公家に王家より預けられた領地なのです。


 だからと言って王家の家臣でも在りません。

 経緯から従っているだけなので、今でも独立志向の強いイガジャ族はオウミ王国の中では傭兵の諜報要員として存続しているのが現状なのだそうです。


 ラーファはその話を聞いて、ベロシニア子爵達の山狩りがとても組織的に纏まっていた事を思い出した。

 山の中で素早く包囲して、山を登る時にも松明や急斜面を登る為の簡易梯子を背負った棒で組み立てた事などを思い出して納得していた。


 同時に下水処理の様な大掛かりな魔道具を買えるような資金力を持っている事に違和感を感じていたが、今回傭兵として雇われている事を知ってストンと腑に落ちる気がした。


 おばばの話からラーファはマーヤを育てる場所として、此の男爵領は理想的では無いかと思う様に成った。

 オウミ王国の中に在って独立志向の強い事は秘密を保つ事には向いている。

 ラーファはこれまで付き合って来た事からも、イガジャ族の今の族長として行動している様を見ても、イガジャ男爵様は信頼できる人物だと感じている。


 マーヤの事をおばばの意見に従ってイガジャ男爵様に知らせる事を了解した。

 実際の紹介は飛竜討伐が終わってからする事におばばと決めた。


 マーヤの話が終わったので、籠の中でマーヤを寝かせたまま、次の飛竜討伐についておばばから話を聞く事にした。

 昨日遅くまで4人で話合い、飛竜のブレスが脅威に成らない事が前提で飛竜討伐が決まったそうだ。


 討伐方法は、最初にブレス無効化ポーションでブレスを封じる、これはラーファの役目です。

 次にポーションの効果時間を最長10日と考えて餌に毒を入れて食べさせる。

 この2つを行いブレス封じが効いている間に巣を襲う計画です。


 手順は。

 初日にラーファが巣に群れが集まっている夜にブレス無効化ポーションでブレスを封じます。


 次の日に羊の放牧場へ行く手前に在る川辺に3つの毒餌を用意して飛竜に仕掛ける。

 これを飛竜討伐が終わるまで続ける。


 毒餌を巣に居る飛竜全てが食べた事を確認して次の段取りに入ります。


 餌を取りに巣を離れるのが最大3頭として、餌を取りに出かけた後巣に残った2、3頭を襲う。


 巣の飛竜に弩2台の矢に網を取り付け巣に居る飛竜の上から網で包み翼を封じる。

 後は切り込み隊で飛竜を襲い討伐する、得物は長めの槍を使うそうだ。

 弩も使える様なら使っていくそうです。


 これを2回行い飛竜を全て討伐する。


 討伐隊は5人組が8組、40人で行う。

 1組は毒餌を仕掛ける。

 2組は2台の弩を操る。

 5組は飛竜への切り込みを行う。


 討伐隊以外に必要な物を作って討伐隊に運ぶ荷馬車隊が30人程居ます。

 ラーファはブレス封じ後、イガジャ男爵様が居る切り込み隊に入って欲しいそうです。


 ラーファにはブレス封じとは別に弩や網、武具などをインベントリで運んで欲しいそうです。


 神域に道具を持ち込みたく無いので、インベントリのバッグを貸し出す事にしよう。

 結構容量は大きいので弩以外は全て入るだろうし、ひょっとしたら網を撃つ弩ぐらいなら小さくても大丈夫だろうから分解すれば入れる事も出来るかもしれない。


 ダキエ国から魔金属や魔道具に本など家1軒分もの物質を運んで来た背嚢だから皆の期待にこたえる事が出来るだろう。


 背嚢を提供してイガジャ男爵様達に検討して貰おう。


 毒餌はマーヤの意見では効果が無いと言っていますが、イガシャ男爵達には伝わって無いので今回の計画に成りました。

 何はともあれ次話はいよいよ飛竜討伐へ向けて動き出します。

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