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第43話 飛竜の巣(4)

 飛竜の調査に出かけます。

 ラーファは飛竜の調査を引き受けるとイガジャ男爵様の許可を得て、一度控室へと帰って来た。

 神域へ入ると飛行服へと着替え、飛行機を入り口近くへと移動させた。

 控室へ帰って来ると、広場が見える玄関の廊下まで出て来た。


 広場を見て見ると、イガジャ男爵様の使用人達が何人か広場に居る。

 そこでラーファは、議会へと戻り会議を終わらせようとしているイガジャ男爵様に邸の前の広場から人を遠ざけて欲しい事を伝えた。


 イガジャ男爵様は使用人を派遣して広場から人を排除するように言いつけた。


 ラーファは使用人の後ろに付いて行き、広場へと出て来た。

 イガジャ男爵邸の前の広場は、言い付かった使用人が広場から人が近寄らない様に追い出して行った。


 広場が開いたのを確認して、ラーファは神域を開けるとあたかもインベントリから出してきたかのように、飛行機を外へ引き出してきた。


 飛行機の点検と確認をしていると、議会を終わらせた人達がぞろぞろと出て来た。


 「ラーファ、それは空飛ぶ魔道具なの?前のとはだいぶ形が違うんだね。」

 ビェスはハンググライダーで着地に失敗した時を見ていたので、形が違うのが分かったのだろう。


 「ええそうなの、この方が早いし長く飛べるのよ」

 ラーファはエンロンや昇降舵、方向舵の動きを確認すると、推進機の動作チェックをしながらビェスの質問に答えた。


 ビェスやイガジャ男爵様の方へ向いて「では、出発します」と言って推進魔道具を動かすと広場を滑走して軽々と飛行機を飛び立たせた。


 500ヒロ(750m)まで上昇させて水平飛行へ移行した。

 進む先は、薬の木の群生地が在ると聞いている西の方へと向かった。


 『ねぇラーファ飛竜は何匹ぐらい居ると思う?』

 マーヤが念話で聞いて来た。


 『3頭ビェスが見たと言っていたから多くて6頭ぐらいだと思うよ』

 ラーファとしては飛竜の事は魔物図鑑の内容ぐらいしか知らないので、1つの巣に番いの2頭として3頭ビェスが見ているので番いが居るとして6頭、前にラーファが退治した1頭がこの群れの飛竜ならば5頭かなと思う。


 時間は昼11時(午後4時)に成ろうかという頃だ、最高速度の100ワーク/1刻(75㎞/h)で飛べば2コル(30分)で現地まで着くだろう。


 今の所飛行機に不具合が出ている様子は無いので、徐々に最高速度まで上げて行った。

 神域の中でテスト飛行した時よりも風が強く吹いて居る様で機体が揺れて風に流される。


 風は南東からの風が吹いて居る様で北西に機体が流されている為、西へと何度か飛ぶ方向を修正する必要が在った。


 ダキエ国から持ってきた時計と方位測定器の魔道具を飛行機に乗せているので正確な時刻と方位が分る。

 だからこそ大きくそれる前に修正が出来ている。

 ラーファは思い切って魔道具を飛行機に備え付けて良かったと思った。


 2コル(30分)程飛んだ頃、マーヤが念話で知らせて来た。

 『飛竜の群れを見つけたよ』


 『マーヤ、山裾の森が見えているけどその向こうの岩場に居たの?』下に見える森が薬の木の群生地だろう。


 『うん、その岩場の上に巣を3つ作っているよ』マーヤが飛竜の巣を見つけた様です。


 『飛竜の数と卵か子供が居るか分かる?』飛竜の卵が孵っているのかいないのかどちらだろう。


 『飛竜は5頭で、卵はまだ孵って居ないよ』マーヤが空間把握で卵が孵っているのか調べてくれた。


 後は目視で確認したら偵察は成功だろう。


 上から見た薬の木の群生地は北から西へと続く大きな山裾に広がった森だった。

 川を隔てた南にヤギの放牧地が在る高原へと繋がる急峻な崖地が在る。

 飛んで来た東側には南北に延びる尾根に峠が在るので、ここが西縁峠にしへりとうげだろう。


 飛竜が巣を作って居ると思われる岩だなは、薬の木の森の更に奥に突き出た岩の塊として見えて来た。

 褐色砂岩の岩地に飛竜が巣を作るだけの平な土地が在る、飛竜にとって都合の良い場所なのだろう。


 ラーファが空から見た岩だなには、マーヤの言うように5頭の飛竜の姿が見える。

 巣は3つ、どの巣にも飛竜が入って居て抱卵している様に見える。


 間違いないだろう、飛竜は5頭で卵を抱えているのは3頭、飛竜の生態はまだまだ知られていない事が多いけど一つの巣に卵を2,3個生むらしい。


 抱卵はオスメス両方で行うけど、必ずどちらかが巣に残るらしい。

 ラーファが討伐した飛竜もこの群れの一頭だったのだろう。


 ラーファの乗った飛行機が飛竜の群れへと空から近づくと、2頭の飛竜が空へと飛び立とうとしているのが見えた。


 ラーファも此処で飛竜と戦う積りは無いので、上昇しながら大きく飛行先を北へと変えて逃げる事にした。

 偵察は飛竜の数と巣の数が分かれば十分だと思う。


 ラーファが高度1000ヒロ(1500m)まで上昇すると飛竜は追い払ったと思ったのか、巣の近くを円を描くように飛行している。


 ラーファは高度をそのままに東へと進路を変えて帰還する事にした。


 マーヤの空間把握で詳しく飛竜の群れの事が分かったので、偵察完了です。

 番を撃たれた巣の卵は孵らないかもしれません。

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