第41話 飛竜の巣(2)
飛竜対策会議への出席を要請されました、ラーファは飛竜討伐への切り札の様です。
飛竜が出たとの知らせにすぐさま反応したのはイガジャ男爵様だった。
イガジャ男爵様はこのような非常事態では迷いなく事態を勧められるようだ。
入り口の通路で騒いでいる二人の所へ使用人を使わして、食事をしていた部屋に連れて来させて話を聞く。
二人から薬の木の群生している男爵領の西の山麓に飛竜の群れが住み着いている事を聞き取り、すぐさま対策を行っていく。
息子のサンクレイドル様へは、村の兵士に飛竜の事を知らせて村の防衛を固める様に指示をし、領軍の隊長を連れて来るように付け加えた。
奥様方へは、お孫様と屋敷の防護力の高い部屋へ何時でも避難出来る様に、準備をする様に言われて奥様方も素直に家の奥へと行かれた。
使用人へは、書付を持たせて何か所かに使いとして送った。
どうやら村の乙名を集めて対策会議を行う為に人を集める様だ。
おばばは乙名の一人として参加するそうです。
イガジャ男爵様は一通りの指示を出し終わり、ラーファへと話しかけた。
「会議に飛竜討伐への参考人として出ては貰えないだろうか?」
イガシャ男爵様に挨拶をして宿へ帰ろうと思っていたラーファは討伐と聞いて納得した。
ラーファに会議に出る様にイガジャ男爵様からお願いされたけど、飛竜退治で参考にしたいと言うよりラーファを対飛竜会議の切り札?にして飛竜討伐への安心感を出したいのかもしれない。
ラーファが飛竜を退治した時、イガジャ男爵様もあの山に行かれていたから直接見ていただろうしね。
『ラーファ、また飛竜と戦うの?』
マーヤが眠そうなそして心細いような感情を乗せた念話をして来た。
『大丈夫よマーヤ、今度は大勢の人と一緒に戦う事に成るから』
最低でも領軍と一緒に戦うだろうし、間に合えば大公の軍も援軍として来るだろうから。
『いざと成ったら、マーヤも戦うからね!』
眠気が取れたのか、勇ましい事を念話してくるマーヤが可愛い。
マーヤとの念話で考え込んでいる様に思ったのか、イガジャ男爵様が重ねて聞いて来た。
「イスラーファ殿、どうだろうか?」
マーヤとの念話を切り上げて返事をする。
「ラーファは会議に出て意見を言う事は出来ますが、複数居る飛竜の討伐は詳しく情報を集めてから検討した方が良いと考えます」
ラーファはイガジャ男爵様が飛竜討伐と言っているので、討伐を前提とした話をした。
「被害は既に多く出て居ると思う、何せ飛竜の群れの近くには羊の放牧地が在るからな、出来れば早めに退治したいので協力をお願いしたい。」
その事を聞いて疑問が在ったので聞いて見た。
「なぜ今まで被害の報告が無かったのでしょうか?」
「今の季節は山に大規模に放牧する時期でな、数匹の被害など直接見ないと気が付かないじゃろうなぁ。」
イガジャ男爵様の話だと、周辺の村から集めた大規模な放牧で一度放牧地に入れたら夏中ほったらかしにするそうです。
村人の監視は放牧地への1本道に柵をして小屋を建てていて、見張り小屋に2,3人ぐらい居て、近寄る狼や熊それに盗賊がいないか見張ってるそうです。
例年大鷲の類に羊が被害を受けるのは多いそうですが全体からすると問題無い範囲なので対処はして無いそうです。
今年は飛竜によって被害はとんでもない数に成りそうです。
「協力は惜しみません、飛竜討伐への参加もしますが、先に情報を集めましょう」
今後村人として3年以上住む村の事ですから、出来る事はする積りです。
でも飛竜相手では死人が出るかもしれません、危険な相手ならなおさら情報を集めて対処しなければラーファでも無謀な討伐だと怪我で済めば儲けものでしょう。
「よろしく頼む。」
イガジャ男爵様が深々と礼で以って感謝を表した。
その後忙しいのか、ビェスと連れの男を引き連れてイガジャ男爵様は会議への打ち合わせだと言って、執務室へと出て行った。
会議まで時間が在るので、ラーファ用の控室から神域へ行きマーヤのお世話をする時間を取れた。
マーヤは先ほど念話して来るまでまたもや空腹を忘れて神域を改造いたようで、お乳を飲むと直ぐに寝てしまった。
神域の家の周りには野菜畑以外に、小川が流れ鳥や牛に羊などが放し飼いに成っている。
見るたびに自然が多くなって行く姿にマーヤの思い描く神域の姿が分かる様に思う。
半刻(1時間)後に集まったのは、イガジャ男爵様、サンクレイドル様、武装した男性は領軍の隊長だと思う、おばば、ビェス、ビェスと一緒に来た大柄な男性、乙名だと思える6名ほどの男達、20代初めと思われる女性、とラーファの計14名です。
場所はイガジャ男爵邸の一室で、何時も男爵領の重要な話し合いをする場所の様です。
コの字に配置された正面にイガジャ男爵様、左にサンクレイドル様と右におばばと領軍の隊長、乙名たちは左右の席に3名づつに分かれて座っている。
ラーファとビェス、ビェスと一緒に来た男性と20代の女性が傍聴席の様な少し離れた場所に置かれた椅子席に座っている。
傍聴席に座ったラーファの知らない2人はビェスの知り合いだろうか?と思っていると。
ビェスが声を掛けて来た。
「ラーファ、此処に座っている2人は薬の関係者だ、彼らをラーファに紹介したい。」
ラーファの左に座った女性が最初に自己紹介をしてくれた。
「私はセリカ・オズボーンと申します、薬を商うオズボーン商会の店主代理です、あいにく店主の父はキラ・ベラ市へ出向いていますので代わりに娘の私が参りました、今回の薬の販売を担当しています」
薬問屋の娘さんでした、今回の薬の販売担当と言う事は、今回の飛竜騒動はとても気になる事だと思う。
次はラーファから見てビェスの向こうに座っている男性です。
「私はオイラートと申しますです、今回の薬の木の採取責任者代表でございますだ。」
ビェスと一緒に来た男性は、採取の責任者でした、飛竜の群れを見つけたのは此の人かも。
最後はラーファの番です。
「イスラーファと申します、薬の木の採取については部外者ではありますがビェストロ様の友人です、この場へはイガジャ男爵様からお願いされて出ております」
ラーファはビェスとの関係とこの場に居る事の説明を二人が知りたいだろうと思って話した。
二人ともラーファが樹人だと理解した上で話していると思う、緊張しているようですが昨日の村人の様な対応では無かったので安心しました。
簡単に自己紹介をしていると、イガジャ男爵様が会議の開催を宣言した。
ラーファは理解してないようですが、飛竜討伐者にして樹人と言う名前の与える安心感は王国の軍隊以上に安堵出来る物なのです。




