第36話 治療(4)
治療の具体的な計画が決まります。
怪我人の治療は此の村から始めて行く事は決めていたが、具体的な事はこれからのおばばとの話し合いで決まると思う。
村の怪我人は5人だと聞いていたが、此の村に住むのは3人で、後の2人は周辺の集落に住んで居るそうだ。
他の軽いけがの人は既に治ったそうです。
おばばに確認すると、歩けない人は居ないとの事で、足を怪我した2人共杖を使って歩けるそうだ。
ラーファは明日、村人5人を男爵様の家へ集めて貰い、一気に治療をしたい事をおばばに伝えた。
おばばもイガジャ男爵様へ伝えて出来る限りラーファの意向に沿う様にしてくれるそうです。
イガジャ男爵様へ伝える内容をおばばと話し合った。
村の怪我人へはイガジャ男爵様から知らせを出して貰へば今日中に知らせる事が出来るそうです。
近くの集落に住む人へも今日中に知らせを出せば夜までには集落まで知らせが届くらしい。
知らせの内容は、怪我や後遺症の治療をするので明日の昼7前(午前中)までに村長の家へ集まるようにとする事になった。
今回もし事情で来れない人が居たら、改めてラーファが訪ねて行きたいと希望したが、おばばは村長と話して決めたいと言う事なので、未定の話でも在るのでお任せした。
怪我人の治療の件はその位なので、いよいよ教える事と教えて貰う事の話になった。
おばばがラーファから教えて欲しい事はダキエの医療全般が希望だそうだ。
でも実際に学ぶ為の時間が人族の為に限られている事から、期間を切ってその間に出来るだけ多くの事を教えて行く事に成った。
話し合いで教える期間は最低3年間で状況によっては伸ばす事も考える事にした。
この間に基本から実際の治療まで幅広く教えて行く予定です。
ラーファが持って来た本を3冊共おばばに渡した。
おばばは樹人が広めてこの世界の標準語に成った字が読めるそうなので嬉しそうに本を受け取っていた。
最後になったが、ラーファがおばばから学びたい事は、同じ3年間の間に薬について知識と作成方法まで教えてくれることに成った。
精霊術についてだがおばばも精霊の息吹として魔力を感じていた事も在り魔女の魔法として教えてくれることに成った。
本のお返しにと、おばばが使役する闇精霊を召喚して見せてくれた、闇精霊は黒い影なので黒い色か如何かは分からないけど姿かたちから9級のブラックウルフでは無いかと思う、7級の迷宮毛長灰色狼とは見た目が違う。
他には昨日私達が帰った後、おばばと村長のイガシャ男爵様との話し合いで決まった事を教えてくれた。
内容は、ラーファは魔術の指導を村ではビェスとおばば以外にはしないで欲しいそうです。
イガシャ男爵様へはおばばが指導の練習として行うので指導教官としておばばを指導して欲しいそうだ。
3人以外へはおばばが魔術の教師として教えるので、ラーファにはこの時も指導教官として付いてて貰いたいらしい。
これは今後もおばばが魔術の指導を行っていけるようにする為です。
と言っても魔女見習いの5人へ教えるぐらいなので、おばばの家の中で行う事に成ります。
おばばとはある程度密着して生活する必要から、宿は早めに引き上げおばばの家に住む事に成った。
その為おばばの家にラーファ専用の部屋を用意して、そこで教え教えられる生活を送る事に成る。
ただし全ての村人の怪我の治療が終わるまでは宿に泊まる事にしている。
ラーファとしては治療が終われば、この村から出て行った事にしたい。
その後は変装して見た目がオウミ国の民と違和感のない肌色や髪色にして魔女見習いとして暮らすつもりです。
まだ決めていないのは他の村の怪我人の治療です。
この村の治療が終わり次第各村へ知らせを送り、その解答を待って決める事に成るだろう。
おばばとの話し合いの後、魔女見習いの5人を紹介して貰った。
その他に7歳から12歳までの魔女見習い候補が10人いるが、今は別の部屋で家事の手伝い中らしい。
おばばには今現在魔女見習いがラーファを除いて5人いるそうだ。
30代が1人で次期魔女のイライザで魔女見習い筆頭です。
結婚しているので毎日此処に通っている。
20代に2人、一人は往診が許されているサマンサとまだ往診時の付き添いのエリス。
10代の2人はポリアンナとジャスミンで魔女見習いとしても採用されたばかりなのでお手伝いぐらいしか任されていない。
マーヤが見るところ全員それなりの魔力は持っている様だ。
基本彼女達はおばばの家で薬の作成か、呼び出されて村人の往診へ出かけて居る。
5人の内往診出来るのはイライザとサマンサの2人だけで、日替わりで往診を交代しているらしい。
残りの3人は往診に付いて行く者と見習い候補に教える者とに分かれているらしい。
残りの3人の内エリスは後2年もすれば往診が出来る様に成るそうだ。
ポリアンナとジャスミンはまだ見習いに成ったばかりで10年は修行しないと一人前に成れないらしい。
5人の紹介が終わるとおばばは出かけるそうなので客室を出て行った。
この後、おばばはイガジャ男爵様に会って先ほど決めたことを伝え、怪我人へ知らせを出してもらうそうだ。
魔女見習い筆頭のイライザからおばばの住居兼仕事場の城塞内を案内して貰った。
歩き回りながらイライザから説明を聞いて迷わない様に何をしている所か覚えて行った。
ラーファは結構広い城塞内を連れまわされて、自分の体力の無さを実感してしまった。
もう一度客間で寛いでいると、イガシャ男爵様の所からおばばが帰って来た。
明日昼7前(午前中)までに村長のイガシャ男爵様の家へ来るように使者を出したそうです。
早い人は昼3時(午前8時)ぐらいには来るそうなので、ラーファもその前位の時間に行く事にした。
樹人の文化はこの世界では全ての基本で在り、憧れの的です。
この村で最低でも3年過ごす事が決まりました。
王様や大公様の思惑がどう絡んで来るか分かりませんが3年間何事も無く過ごせれば良いと思います。




