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第35話 治療(3)

神域産の野菜を食べます。

 次の日、朝食にはマーヤが野菜を提供してくれた。


 家の玄関の裏側、寝室の奥に作られた錬金などの作業部屋から外へと出られるドアが作られていて、そこから出ると裏庭が出来ていた。

 裏庭の一角に野菜畑が在り、キュウリやレタス、ピーマン、ニンジン、カブなど幾種類もの野菜が植わっていた。


 その畑からキュウリとレタスを収穫してきたが、食べられるのか迷ってしまう。

 『ねえマーヤこのキュウリとレタス神域産なのよね、食べて大丈夫なの?』


 『外の世界のキュウリとレタスと同じだから問題なく食べられるよ』

 そう言われてもラーファはまだ迷って居た。


 『何が心配なの?』

 何時までも手に持ったまま調理を始めないラーファを訝しんでマーヤが聞いて来た。


 『それは神石がある野菜だと聞いたらやっぱり魔物みたいだし、神石を食べてしまっても大丈夫なの?』

 食べたらじゃりじゃりだと嫌だとラーファは思っていた。


 『それは問題無いよ、収穫した時に神石は神域に回収されて野菜から無くなっているから違和感なく食べられるよ』


 ラーファは覚悟を決めて食べる事にした。


 レタスは大雑把に千切り、キュウリは薄くスライスして塩をパラパラと振りかけて食べた。

 サラダにして食べて見ると全然違和感もなく、それどころかダキエで食べたキュウリやレタス以上に美味しかった。


 『とっても美味しいわ、ねぇマーヤ神域産の野菜の種類は増やして行くの、ニンジンとか』


 『もちろんだよ、特にニンジンやカブは甘みの在る美味しい野菜になると思うよ』


 『良く野菜からえぐみを取る事が出来たわね』


 『えぐみは主に野菜が自衛のために出す物質だから神域では必要ないので、えぐみの無い野菜が作れるんだよ』


 野菜が神域で作れるように成れば、買い物も肉や牛乳に加工品のチーズやソーセージなどと後調味料ぐらいかな。

 そう言えばマーヤがチーズを牛乳から作るとか言っていたけど、牛とか牛乳にチーズまで神域産で作るつもりかしら。


 自給自足になったら、マーヤが前に言っていた様に神域に引き籠ってしまいそうで怖くなった。

 ラーファには神域に引き籠りになる、成長してラーファ似の少女に成ったマーヤが見えた気がした。

 着たっきりのヨレヨレのパジャマ姿で、部屋に寝そべるようにして本を読んでる姿が目に浮かぶ。

 『マーヤくれぐれも神域に引き籠りに為ら無いでよ』


 『今は引き籠りするしかできないけど、歩けるように成ればちゃんと外の世界でも遊ぶよ』

 ラーファはマーヤが引き籠りに為らないようなので、安心して着たっきりのパジャマ姿のマーヤを頭から消した。


 朝食を終えると着替えたラーファは、マーヤのお世話をした後に家を出て神域から宿の部屋へと出た。

 今は昼3時(午前8時)ぐらいなのでおばばを訪ねるのに丁度良い頃だろう。

 宿を出て北へとおばばの家へと向かう。


 おばばの家の階段の上にある門は開かれていて門番の兵隊が出入りを見張って居た。 

 番兵に近づいて声を掛けた、番兵はラーファの事は事前に聞いていたのか怯える事も無く対応してくれた。


 「おはようございます、初めましてイスラーファと申します、この度魔女殿の弟子と成りました、皆様にはお世話になる事と存じます、どうぞよろしくお願いします」


 「話は聞いています、イスラーファ様この門の隊長をしていますガラドと申す者です、貴方様の出入りは夜昼関係なく通って良いそうなので御知り置き下され。」

 と番兵全員で敬礼して来たので礼を返して門を通り抜けた。


 門を通り抜けると階段で下へと降りて行く。

 石壁が階段に沿って続き2ヒロ(3メートル)も降りると今度は立派な砦門があった。

 この門も開け広げられていて、門番は一人も居なかった。


 門を通り過ぎて中へ入ると広場が在る、上の広場と同じ様に広場の周りに家や作業所が立っている。

 此処も作りは城郭の様だ、一番大きな家へと向かう、そこがおばばの家だと思う。


 おばばの家の前まで行くと直ぐに家の使用人と思われる人がラーファに気が付いた。

 彼はラーファの事を聞いて居る様で、近づいて来ると話しかけて来た。


 「お初にお目にかかります、ラスと申す者で魔女様の使用人頭をしています、貴方様はイスラーファ様でございましょうか?」

 軽いお辞儀で挨拶してきた、ラーファも軽く礼をして答えた。


 「はい、イスラーファと申します、魔女殿の弟子と成りました、ラス殿今後ともよろしくお願いします」


 「どうぞラスと呼び捨てでお願いします。」

 と再びお辞儀をすると話し出した。


 「魔女様はイスラーファ様の弟子に成ったと申されておりました。」

 ラスと名乗った使用人はおばばと重要な事も話せる間柄なのだろう。


 「そうですね、ラーファは魔女殿の弟子で、魔女殿はラーファの魔術の弟子です」

 「お互いに得意な事を教えて知らない事を学ぶ間柄と成りました」

 今後数年は此の地で過ごす事に成るし、ラスと名乗った彼には生活する場で最もお世話になる人だろう。


 「そうでございましたか、何かありましたらこのラス目にお申し付け下され、今後とも使用人一同イスラーファ様を歓迎いたします。」

 3度目のお辞儀をするのでラーファも軽く頭を傾げる礼を返す。


 「イスラーファ様は魔女様のお弟子に成られたので、今後魔女見習いの称号をお持ちに成ります、村内では問題ありませんが、この村から出られるときは兵士が2名護衛に着きますので、村外へお出でになられるときは1日前までにお知らせください。」

 イガシャ男爵様が名目にと言われていた件ですね、護衛が付くなら飛行機での移動が無理になりますね。

 ゴーレムでの移動に成りそうです。


 ラス殿はそういった後、ラーファを家の奥へと案内してくれた。

 おばばがお待ちかねだそうです。


 客間と思える部屋へ案内された。

 長椅子に座って、出された麦茶を飲んでいるとおばばが入って来た。


 「ラーファ良く来てくれました、色々話し合わなきゃならん事や教えて欲しい事が一杯在るでの、それにラーファもばばから教えて欲しい事があるじゃろ」


 最初に怪我人の治療の計画を話し合う事にした。


おばばの家は城塞に成っているので入るまでに門が2ヵ所も在ります。

住んで居る人はおばばと魔女見習い5人に見習い候補10人と使用人が20人程と兵士が12人です。

ラスは使用人の頭なので部下が20人程居る事に成ります。

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