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第34話 治療(2)

 ビェスとの夕食です、だんだん心を許せる相手に成って来ています。

 おばばへの授業で使う本を用意します。

 ラーファはマーヤが寝たので夕食へ行く事にした。

 お風呂に入りゆったりとした後、ワンピースへと着替える。

 靴も飛行靴を作る時練習で作った踵にも紐が在るサンダルへと履き替えて家を出た。


 神域を歩いて戻り、宿の部屋へと出ると1階に在る食堂へと行く、ビェスとの食事をする為だ。

 夕食は宿の食堂で二人でテーブルを囲んで取る事に成った。

 ラーファもスプーンとナイフとフォークを布に包んで持ち込んでいる。


 料理は昼と違って黒パンのスライスした物と具の多い煮込み料理の様なスープが出た。

 スープには野菜と鶏肉がこれでもかと言う程沢山入っていて小麦の衾を発酵させた調味料の酸味が味を引き立てている。

 ラーファにはスープだけでお腹一杯に成ってしまった。


 食後は二人で席を移動して、喫茶が出来る食堂前に在るラウンジへと移動した。


 ビェスはペパーミント、タイム、レモングラスなどの数種類のハーブを店秘伝の配合で作ったハーブ茶。

 ラーファは何時もの麦焦がしで淹れた麦茶にした。

 メニューにクッキーが在ったので頼んで見ると、四角い焼き菓子でスグリやイチゴなどのジャムを挟んだ物が出て来た。


 「このクッキーを見て思い出したけど、船で食べる食事で毎回出る硬すぎる岩石ビスケットが此の形をしているんだ、大きさは倍以上在るけどね」

 ビェスは船に乗ってビチェンパスト共和国から来た時の船で食べる食事の事を話してくれた。


 「二度焼したパンなので物凄く硬いけど船の中で長い事貯蔵しているから虫が湧くんだ、それを食べる時にコンコンってたたきつけながら食べるんだよ。」


 「虫が湧いているビスケットって食べられるの?」


 「食べるしかないんだよ、机にコンコンコンってたたきつけながら虫を追い出して食べるんだよ。」

 とクッキーを手に取ってお皿に数回軽くリズミカルに打ち付けながら教えてくれます。


 ラーファは虫が湧いたビスケットを食べる光景を思い浮かべて顔を顰めた。

 「ラーファは食べなければ為らなくなったら、スープかお肉にするわ虫が湧いたビスケットは食べたくないよ」


 「あはは、ビスケット以外の食事で出る物って、塩漬けの肉だよ塩抜きは海水でするからその塩辛さが半端なく塩辛いからね。」

 ビェスが笑いながら船での食事の内容を教えてくれた。


 想像したラーファは話題を変える事にした。

 「ラーファはこの頃良く麦焦がしを作ってるの、それで淹れた麦茶の出来が良く成って来たから今度作ったらビェスに上げるね」


 「僕は若干酸味と甘さがの在る、ハーブティーが好きかな、まだ麦茶は試してないけど貰えるなら飲んでみるよ。」


 他にも麦茶を入れる為に魔糸から茶こしを作った事や、自作のサンダルを履いて来た事なども話した。

 サンダルはビェスが身を乗り出して見てくれた後よく出来ているってほめてくれた。


 ビェスも今取り掛かっている薬の木から作る薬の、今日在った話し合いの内容を教えてくれた。


 ビェスの話では薬の木の皮の採取は、今日の話し合いで明日から始める事に成ったそうだ。

 採取人と呼ばれる専門業者が居て木の皮を木を傷めずに剝がして行くそうで、下手な業者や素人だと木を殺してしまうらしい。


 木の皮が集まればおばばが薬へと加工してくれるらしく、出来上がった物を薬問屋を介してビェスが購入する予定になっている。

 ラーファは出来ればおばばから薬の知識も教えて貰う積りだ。


 後、密かにラーファはダキエ金貨の両替を出来る人か場所を知らないか男爵様か魔女殿に聞いて見たい。

 ラーファが知っている事は両替商で両替すると金貨千枚で1割税金で引かれて金貨9百枚に成る事ぐらい。

 でもダキエ銅貨の価値が銀貨5か6枚らしいと聞いたのでダキエ金貨なら金貨5千枚ぐらいに成るかもしれないと思っている。


 ビェスとの楽しい語らいの一時を過ごした後部屋へと分かれた。


 朝食は家族でも無ければ一緒にしないのが常識らしいので次の食事の約束はしなかったが、機会が在ればいつでも食事を一緒にする積りだ。

 ビェスには明日魔女殿の家へ行く事は伝えた、ビェスはしばらくこの村を離れるかもしれないがその時は知らせてくれるそうだ。


 宿の部屋へ帰ると、その日は神域へ引き籠って作業する事にした。


 おばばに渡したい医学の本をコピーしたり、医療用の道具を作りたいから。


 コピーする前に本の原材料である紙に出来る繊維は神域の木から幾らでも供給できるので、今後の事も考えて多めに用意して貰った、もちろんマーヤにお願いして。

 ラーファはマーヤが部屋に出した、既に上質紙として完成している白紙を作業部屋へ持って行くだけのお仕事です。


 作業部屋の錬金台の上にコピー元の本数冊とコピー先の紙の束やインクを乗せれば用意は終わりです。

 コピーする一冊の本を手元に置き、本と同じ重さの白紙と小瓶に入ったインクを本の近くに用意して、錬金して行きます。

 錬金の変質で白紙の紙を原本の本と同じ物へと変質させていきます。

 インクは少しづつ変質していく紙へ垂らして行きます。

 暫く錬金したら、同質に成って居るか同調率を調べ細部まで同じに成ったか確認します。


 紙の色やインクの色が違いますが、書かれている内容はチェックした限りミスはありませんでしたし、図や表もおかしな部分は在りませんでした。


 同じようにして机の上に用意した本をコピーしていきます。

 途中マーヤのお世話に中断したりしましたが、寝る前までに明日持って行く本を3冊用意出来ました。

 医学概論上巻と医療魔術基本編と医療とポーション作成に使う基礎魔術陣図鑑です。


 おばばへの教育は大雑把に見積もっても2,3年かかりそうです。

 それにおばばから教わる薬草と精霊術もやはり時間が掛かると思われるので、しばらくここで暮らす事に成るでしょう。


 医療用の道具は魔術医としてはほとんど必要としませんが、魔力の弱い人種の魔術医の場合在ると便利なので用意する事にした。

 と言っても今は材料の鉄や銅の量が在庫の分では足りないので、今回は下調べをするぐらいです。


 作る道具は全て魔道具と成ります。

 患者の体を調べる魔術を補助する半キュビテ(約15㎝)の長さの杖が在るととても便利です。

 ポーションを作る為に必要な魔水作成用の魔銅の入った中空のガラスの器も必要です。

 魔金オリハルコンは微量で済むので、対価に薬を作る道具や薬の材料に薬を貰えば良いだろう。


ビェスが船で食べたビスケット(堅パン)に沸いた虫はコクゾウ虫です、米にも湧くので人類の敵です。

おばばの元で数年は魔女見習いをする事になります。


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