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第25話・2 呆れた結末

啞然とするような結末です、何が起きたのでしょう。

 『お兄ちゃんが来たよ』


 やっぱりこっちの呼び方の方が良いよね。

 飛行機を神域へ戻すと着替えてマントを羽織り、ビェスと話す為に神域を出て草原で待つことにした。


 ビェスが坂の上に現れると、手を振って挨拶をして来た。


 「ラーファまだ此処に居たんだね、もうとっくの昔に逃げたと思ってたよ。」

 少し呆れたと言った様子で話しかけながら、坂を下りて来る。

 ラーファも手を振り返す。


 坂を下り切ってラーファの前まで来た、ラーファが話そうとする前に彼から先に聞かれた。


 「え、ラーファさんだよね、髪の色染めたの?」

 そう言えば前に会った時は髪を染めて居なかったなと思い当たった。


 「ええ、髪を染めたの、この方が見つかりにくいと思って」

 そう言って、続けて右手を胸に当てて膝を屈める正式な礼をして感謝を表した。


 「ビェスこの前は助けていただいて感謝する」

 助けてくれたことへのお礼を言いながら、この大きな借りをビェスにどうやって返そうかと思っていた。


 「わぁ、そんなに大げさな事しなくても良いのに、僕はラーファが捕まるのが嫌だっただけだよ。」

 胸の前で手を振りながらラーファを眩しそうに見て、助けた時の気持ちを話してくれた。


 「それでラーファは助かった、感謝するのは当たり前」

 ラーファは、ダキエ国からこのオウミ王国までの道中で襲って来る人は居たけど助けてくれた人は居なかった事を思っていた。

 この茶色い髪と瞳をした彼に深い感謝の念を持ったのだ。


 「ビェス、ベロシニア子爵達はもう帰ったのか聞いて良いだろうか?」

 彼がベロシニア子爵達と共に帰って行ったのでベロシニア子爵に何か口止めされて居たら聞かない方が良いだろうと思って聞いて見た。


 「全然良いよ、ベロシニア子爵様達は王様から使者が来て大慌てで帰って行ったよ。」

 と笑いながら言った、どうやら安心して良いようだ。


 「それからこれ。」と紙を渡してきた。

 何となく受け取った紙に何やら書いてある。


 「ラーファの罪を許すって書いてるよ。」

 聞いた瞬間は、罪を許すとは何だろう?と思った。

 罪を許すの意味が心に沁みわたると、何故許すなどとさも罪が在って許された様な物言いをするのか疑問が湧いて来た。


 疑問は読めば分かるだろうと紙を読んでみた。


 内容は、飛竜を討伐した事は称賛に値する事なのでこれまでの全ての罪を許して英雄として遇したいので一度大公殿下に会いに来て欲しいと書いてあった。


 『何なのそれ?』

 マーヤが訳が分からないとでも言いたそうな念話を送って来た。

 ラーファも訳が分からなかった。


 何と言う思いあがった物言いなのだろうか、罪が在るのはベロシニア子爵達の方では無いか。

 ラーファは怒りが込み上げるよりも前に、そのバカらしさ加減に力が抜ける思いだった。


 「その通知はここらの全ての村へ配ってるそうだよ。」


 「はぁー、何なのそれは!」

 思わず叫んでしまった。


 呆れた事に、ベロシニア子爵は冤罪を討伐の勲功で無かった事にしてしまったようだ。

 全ての村とは徴集した村人の居る村だろう。

 罪を許すなどと恩に着せ、村人に間違いで徴集した事への言い訳にしたのだ。


 追手と成って山頂でラーファを攻め立て、落石で怪我をした人も居るだろうに。


 『それにしても何で心変わりしたのだろう?』

 山頂で聞いた冷徹なベロシニア子爵の声を思い出しながら考えた。


 『王様からの知らせがあったらしいから、それじゃないの?』

 マーヤの念話はラーファの疑問に一筋の光を与えた。


 王様からの知らせ?そう言えばビェスがそんな事を言ってたわね。

 王様からの一言で手の平を返した様な事に成るの?


 取り調べでの冷徹な追いつめるような物言いを思い出すラーファだった。

 今更、罪を許すなどと取り調べや兵士のした事、馬車での出来事を無かった事になど出来ようか。

 馬車の中の出来事を思い出し、怒りが湧いて来た。


 『何なの!彼奴、馬車の中で散々体を触って、人の胸が小さいとか掴みでが無いとか馬鹿にして!』

 「『私に面と向かって罵倒したんだよ、胸の小さい奴って!』」

 声に出してしまったが、思い出しても腹が立つ、ジワリと涙が湧いてくる。


 「・・・絶対許さない!」


 ビェスは賢明にも黙って何も言わない事を選択していた、少年でもラーファの傷ついた心を察して黙って見守る事の出来る男のようだ。


 ビェスに比べて腐れ貴族のベロシニア子爵の奴は万死に値する。

 そう、ラーファは結論付けると、紙をずたずたに引き裂いた。

 何も罪も無い、いや書かれている内容は罪深いが、紙に罪は無いけどその紙に暴力を振るって引き裂いたので少しは気持ちが収まった、足で踏みにじっているけど。


 火の魔術まで行使したラーファが、踏みにじった紙が白く燃え尽きるのを見ていると。

 ビェスがラーファの怒りが収まったのを見て言って来た。


 「ねぇ、僕が今泊っている村へ来ない?」

 ラーファはビェスが何故村へ誘うのか分からなかったが、何となくラーファの経緯いきさつを察して村へ行く事で村人との交流を促していると思った。


 先ほど村人に怪我人が居るかもしれないと思った時、心が痛んだ。

 出来るなら怪我を治してあげたいとビェスに誘われて思ってしまった。


ホレツァの町の代官の考えがオウミ王国の中枢まで届いたのかもしれません。

王様の使者がどのような使命を持ってキラ・ベラ市に派遣されたのか分かりませんが、ベロシニア子爵達に手の平を返させるだけの内容だったのは間違いありません。

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