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第24話 少年(2)

ベロシニア子爵達の登場ですが、神域に引き籠っているラーファを見つける事は出来ないでしょう。

 狐か狸の巣穴の奥でラーファは神域を少し開けて追手の立てる音を聞いていた。

 外から聞こえて来る音は馬の嘶きか大勢の人が出す騒めきの様な呟きしか聞こえなかった。


 『ビェストロ少年が川上を指さして騎馬の人に何か話しているよ』


 マーヤが外の状況を教えてくれる。

 マーヤがビェストロ少年とか言うと違和感がある、せめてお兄ちゃんとかだとぴったりくるんだけど。


 『追手が武装した人を3人川上に行かせて、後はハンググライダーの墜落した場所を調べてるよ』


 着陸に失敗してひっくり返った場所には大きく抉れて土がむき出しになっている。

 ハンググライダーの残骸から落ちた物は気が付いた物は回収したので大きな部品は残って無いだろう。

 それより、何時まで此処に居座るのか気になる。


 『ねえマーヤ、山頂から此処までどのくらい離れているの?』


 『逃げ出した山頂から、此処まで1コル(15分)ぐらいしか飛んで無いよ』

 『地図では1ワーク(1.5㎞)ぐらい』


 『それは、全然逃げれて無いね』


 此処からの逃亡方法に、神域への引き籠り以外の良い考えが浮かばずがっかりするしか無い。

 ありがたい事に先ほどまで居た山頂からは、谷に沿って西へと曲がったので途中の尾根が鷹の目からの視線を遮ってくれている。


 直ぐに事態が動く事は無さそうなので、先ほど襲って来たワイバーンについて考えてみた。

 疑問に思ったのは襲って来たのはワイバーンか飛竜の何方だったのだろうか?


 魔物学の分類ではワイバーンはダンジョンに住む魔物として有名だった。

 しかし、此処は闇の森ダンジョンから離れていてダンジョンは無いはず。

 ダンジョン以外にもワイバーンが生息しているのだろうか?


 飛竜と言うワイバーンのダンジョン共鳴する前の魔物が居るとは聞いている、今回は飛竜かもしれない。

 飛竜とワイバーンは基本同じだが、ワイバーンの方が体が大きいし、ブレスは強力だ。


 飛竜でもワイバーンでもラーファが知って居るぐらいには有名な魔物で、ブレスと言う攻撃をして来る。

 ブレスは油性の唾と火と風の混合魔術陣を使った火炎の攻撃で200ヒロ(300m)以上届く。

 火と風の魔術陣を喉の皮膚に持つ6級から7級ぐらいの魔物だ。


 飛竜だとすると、この辺りに生息しているのだろうか?


 飛竜なら数家族の群れで暮らす習性があるから、1匹居たのなら群れが居るはず。

 ハンググライダーで空を飛ぶのは危険になってしまった。


 『沢山の人がやって来たよラーファ』

 『うわぁ~、其れってベロシニア子爵達だねきっと』


 追手の本隊が来たのだろう、これは本格的にここを拠点に捜索が始まりそうだ。


 『マーヤ、ベロシニア子爵や鷹の目スキルの持ち主が居るか分かる?』

 『うん、居るよ二人ともね』


 やっぱり来たね、捜索の主力はスキル持ちの彼だからね。

 鷹の目のスキルは高い開けた場所の方が視線が通って見つけやすいから、直ぐに移動するだろう。

 神域に籠って、彼に待ちぼうけを味わってもらおうじゃ無いか。


 ビェスもベロシニア子爵がここに居れば、巣穴へは近寄ら無いだろう。

 彼らが居なくなるまで、ラーファも神域へ引き籠ろう。


 『マーヤ、しばらく神域に籠って居る事にしたよ』

 『うん、マーヤは大歓迎だよ』


 時間が出来たので、壊れたハンググライダーを修理できるかやってみようかな。

 その日は一日中神域に籠って、マーヤのお世話やハンググライダーの修理をして過ごした。


 マーヤだがこの頃体に曳き込まれるのか寝る事が多くなった。

 マーヤとしては神域を改造したり、スキルなどを研究したいようだが体に頭が引き込まれ寝てしまう様だ。


 その為、空間把握のスキル磨きを兼ねた追手を監視する時間が少なくなっている。

 その短い時間の中で監視していたマーヤによると。


 追手のベロシニア子爵と鷹の目スキル持ちの男は来た坂道を登ってどこかへ去って行った。

 巣穴の前の草原には5人の傭兵らしき武装した男達と2騎の騎士が残って川の上流や下流それに対岸を調べていたが、夜になる前に坂道を登って去って行った。


 ビェスはベロシニア子爵達と一緒に去って行った、村へ帰ったのだろう。


 『夜にここから逃げ出せるかな?』

 『一人動かないで、ボーとしている人が居るの、怪しいと思うんだけど』


 マーヤが警戒しています、動かないのなら病気か怪我でもしてるのかも。


 『何で動かないのか分かるの?』

 『わかんない、でも一度ウサギが走った時は反応してウサギの方を見たよ』


 『音でもしたのかな?』

 『ううん、200ヒロ(300m)は離れていたから音も小さくて聞こえないと思う』


 何かのスキルかな?


 『気配察知のスキルかもしれない、気配察知なら200ヒロに届く人も居るって聞いたから』


 『間違いなく気配察知のスキルの名人だよ』

 『ひょっとしてラーファが道を逸れた時、後から来て逸れた場所を見つけた人が居たよね』

 『気配察知の名人で狩人だよ、ラーファ間違いないよ』


 マーヤが興奮して名人だと決めつけている。


 『其れってラーファが少年に連れられて走った後も解るってことだよね』


 『大丈夫だよ、ビェストロ少年が巣穴から戻る時にラーファの足跡を上から踏んで消して行ったから』


 やっぱりマーヤがビェストロ少年って言うのは違和感がある。

 ビェスのおかげで巣穴が見つからないで済んだのか、ありがとう。


 『マーヤ、ビェストロ少年の呼び方だけど、お兄ちゃんって呼んで上げないかい?』

 『え、何で?』


 『いや、マーヤより年上の子を少年呼ばわりするのは違和感が在ってね』

 『そうなの?良いよこれからはお兄ちゃんって呼ぶよ』

 『ありがとうね』


 ビェスには関係無い場所での念話だけど、お兄ちゃんと呼んで上げれば少しは感謝の気持ちが返せたかな。


 最後まで残っていた男も夜3時(午後8時)には引き上げて行った。


飛竜とワイバーンの違いは体格と魔力の大き方がワイバーンで単独行動します、逆に群れで行動するのが少し小さい飛竜です。

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