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第15話 四面楚歌(4)

ポーション作成です。

大陸ではポーションと言えば水薬を指し、胃腸系の飲み薬です。

聖樹島では、ポーションはラーファの作ったようなポーションを意味する。

ダキエ金貨1枚以上を出すのなら、聖樹島の人達は皆魔薬であるポーションを買う。

 雨が降り続いている間は、外に出る事は出来ないので、大人しく神域で付与前の空ポーション薬でもつくりましょう。


 魔術医は魔術で治療するだけでなく、魔薬も良く使います。

 魔術で治療しやすいのは、単純な切り傷や毒に細菌やウイルスなどの初期症状の時です。


 肉体の修復量が少ないか、病気の原因が外部からの物で肉体に大きなダメージがまだ無い時期ならば原因を特定して排除すれば良いので、魔術行使は短時間で終り負担が医者も患者も少ない。


 しかし、免疫を付けたい場合や継続的に治療する必要が在るような時か、患者の体力が少ない場合はポーションを使う。


 ポーションは肉体にあまり負担を掛けずに治療する事が出来、且つ患者に合わせた効果を付与できるので使いかっても良い。

 ただし魔金オリハルコンと魔水に魔術付与を行った物なので値段が高い。


 あまりにも高いので、昔からダンジョンに生える植物や魔物の体の一部などを使った代替品が研究されてきてそれなりの成果を出している。

 しかし、効果のみを見るとポーションには及ばない。


 一般的な体力と傷を回復するポーションの場合、飲んでも傷に振りかけでも効果は発揮される。

 振りかけた場合は大半が消えてしまいもったいない事に成るだろうけどポーションが掛かった傷は治る。

 魔力回復ポーションは飲まないと効果は発揮しない。


 一般的なポーションが僅か1グル(約0.7g)でダキエ金貨1枚の値段がする。

 魔金オリハルコンだけの値段ならダキエ銀貨20枚程度だけど魔水と付与の値段を合わせると5倍に成る。


 初歩的なポーションでダキエ金貨1枚なら、末期的な全身に回った腫瘍や臓器の再生の様な場合はダキエ金貨が100枚は欲しい所だ。

 それだけ魔金オリハルコンの量も付与の種類も多くなるし作る難易度が高くなる。

 その代わり、飲んだ瞬間に病は癒えるだろう。


 これから作るのは、一般的な回復ポーションと魔力回復ポーションそれにマーヤに付与してもらう髪色変色ポーションだ。


 作り方は。

 最初に魔水を作る、魔水は魔力を水のように液体にした物だ。

 作るのは魔水専用の魔銅の入った中空のガラスの器に魔力を入れて行くだけ。

 魔力の注入を行い、魔水で器が満杯になるまで魔力を注げばよい。


 此の器は1グラン(約700g)の魔水が入るように作られている。

 これに別に用意した1グル(約0.7g)の魔金オリハルコン片を医療魔術の近距離転移で少しづつ魔水へ溶かして行けば良い。


 この魔術付与していない空ポーションの中身だけでもダキエ金貨800枚で売れると思う。

 これを1グル(約0.7g)づつ小瓶に入れて魔術付与すれば完成である。

 入れる小瓶も劣化や漏れが無いように魔術付与された物で無いとポーションを保存出来ない。


 私は、瓶が手元にないので、ポーションその物に魔術付与を行い容器を作り出している。

 その為完成するポーションは半分に成る。

 でも出来たポーションは嚙み潰しても、飲み込んでも良いし、潰して傷に掛ける事も出来る使い勝手の良い物に成る。


 最後にポーションに回復や魔力回復の魔術付与を行って完成する。

 髪色変色ポーションはマーヤに魔術付与して貰う。


 『マーヤ、ポーションが出来たよ、今付与出来るかい?』


 『ラーファに念話と念画像で魔術陣を送るから、それで魔術付与してね、マーヤ眠いから』

 マーヤは寝ています、マーヤの意識も体に合わせる様に眠たそうです。


 『ありがとう、この魔術陣を付与すればいいのね』

 ふーん、独特な魔術陣だな、飲むと起動が始まって、体内に展開するのか、毛根に移動して魔力で作った色素を大量にコピーして毛の細胞に入れて髪の色を濃くする魔術陣だ。


 これだと7~10日で魔力が切れると、色素が消えて元の色に戻る事に成るな。

 あ、この魔術陣だと体の中の毛が全て濃くなるけど、ラーファには髪の毛以外は産毛しか無いから別に問題無いかな。


 うん、成功した、一度テストしてみるかな。

 今出来たばかりの髪色変色ポーションを飲んでみた。


 鏡台の鏡で見て見ると、見事に髪の毛が栗色に変わって居て、皮膚も何となく白から薄っすらと色が濃くなったような印象がする。

 眉毛やまつ毛も栗色に成ってる。


 成功と言えるけど、どの位継続するかチェックする必要はある。

 鏡を見ながら、ラーファは村娘っぽくなったような気がした。


 次の日、雨も上がり朝早くからラーファはハンググライダーの準備をしていた。

 大河ラニを渡る積りだ、飛空ではラーファは空を飛べないが、ハンググライダーで飛ぶ時の補助としては使える。

 神域からハンググライダーを折りたたんだ状態で持ち出すと、川に向かってハンググライダーを展開する。

 今日着ている服はシャツとズボンを履いて動きやすい格好をしている、髪も一纏めにして括っている。


 ハンググライダーを持ち上げ、風の魔術を行使して自分に向かって風を吹き付ける。

 アッと言う間に空へと浮かび上がる、風の魔術の行使を止めると前方へと進み始めたが、だんだん高度が下がって来る。


 高度が10ヒロ(15m)まで下がった時点で、再度風の魔術を行使すると、再び舞い上がる。

 そこで魔術の行使を止めて、ゆっくりと地面へ降りて、河原の近くを走りながらハンググライダーを止めた。

 たった1コルの半分にも満たない時間だが、ラーファは空を飛んだ。


 『ラーファ、おめでとう、鳥のように空を飛んだよ』

 マーヤから喜びの念話が飛んで来た。


 『ええ、ありがとう、マーヤが言う通りにしたら飛べた、怖かったけど楽しかった』

 その後、マーヤのアドバイスに従って、ハンググライダーを飛ばし、空中での姿勢の取り方や方向転換の体重移動や風の魔術の行使タイミングなどを練習した。


 そして、1時間ほど練習した後、一気に大河ラニを渡った。

 川の流れに沿って流れる川風を利用しながら、高度が下がれば風の魔術を行使して高度を上げ、1時間ほど飛んで大河ラニを超える事が出来た。


大河ラニを渡る事が出来ました。

次回から此の章の題、逃亡者の逃亡者たる逃亡生活が始まります。

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