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第8話 キラ・ベラ市(1)

彼の方(お人よしな神様)から力は同じかそれ以上と言われた、マーヤの能力の一端です。

 ホレツァの町を出て、ゴーレム馬のビューティに乗ると南へと移動する。

 道が在る訳ではありませんが、馬に乗って通れるぐらいの丘や小川しかないので、結構な速さで移動出来ている。

 『5月って旅するのに気持ち良い季節だね』マーヤが一端の旅人見たいな事を言ってる。


 『そうねマーヤ、今は朝晩が冷えるけど昼間は気持ち良い風が吹くね』

 ゴーレム馬のビューティに乗って旅は順調に進んでいる。


 夜を神域で過ごせる事は、移動できる家に住む事と変わらない、どこまでも旅を続けられる。

 既に雪解けの川の増水期は終わり、春本番から初夏へと季節は変わり始めている。

 夜はまだまだ寒いが、木陰や岩の下などで神域に入って寝ているので、寒さの問題が無いのはありがたい。


 どこへ行くか当てが在る訳では無いが、このオウミ王国の首都をとりあえずの目標にしている。

 危機察知が働く事も無く、長閑な田舎を馬に乗って旅をしていると、時々視線を感じる事が有る。


 『なぜ視線って感じるの?どんな感じ?』マーヤは色々飛び越えて、なぜなぜ期の様な事を聞いてきます。


 『う~ん、うまく言えないけど、アツを感じるかな』感覚を言葉にするのは難しい。


 『アツってなに?』今度はなになに期かな。


 『アツって押されているって感じる事よ』これで説明として合ってるのか不安だ。

 『ふ~ん』マーヤ分かってるのかなぁ。


 私に敵意を持た無い者から見られているのだろう。

 遠くに畑で働く人が見えるので、農作業でもして居る人が見ているのかもしれない。


 町を出て2日、マーヤが生まれて7日目、マーヤの新たな才能が分かった。


 驚いた事にマーヤは神域を広げたり、大きくや小さく形を変える事が出来る様だ。

 それで、食堂兼台所に食料倉庫を、寝室の奥に作業部屋を作ってくれた。


 『一度に少しづつしかできないから、ゆっくり作っていくわ』とマーヤ。

 『ありがとう、とても助かるわ』神域を自分の好きに変えれるとは、さすがマーヤ。


 でも才能が在って可愛いくて優しいマーヤの事を貴族達が知ったら絶対狙われるわ。

 彼らにマーヤの事を知られない様にしないと。

 いや、この国の商人や村や町の人達もマーヤの事を知ったら攫おうとするかもしれない。


 神域から連れ出すタイミングは慎重に、安全な場所を作ってからにしよう。

 先ずは、隠れ住む場所を決めてから、周りにマーヤを狙う様な者達が近寄れない砦のような家を作ろう。


 『ラーファ、あまり考えすぎて極端に走らないでね』マーヤがラーファの危機感にくぎを刺した。


 『そうかなぁ、王様達はマーヤの事を知ったら、軍隊を送り込んで来るぞ』

 追手がラーファを狙う理由が分からなかったが、ひょっとしてお腹のマーヤの事を知っていたから襲って来たのかもしれない。


 『マーヤは絶対守るよ!』このまま旅を続けるよりも、追いかけて来る奴らのいない国に住む事に決めた。

 今は安住の地を求めて旅を続け、安心して住める場所を探そう。


 『住む場所を決めるのはラーファに任せるわ、マーヤは神域の改造をして快適な住環境を作るわ』

 マーヤはあまり危機感を感じていないようね。


 『ねぇマーヤ、快適な住環境ってどんな環境?』

 今の神域でも十分快適だと思うわ。


 『ひきこもり?』

 引き籠りって、神域をどうする積りかな?


 マーヤの改造で、神域の部屋も最初の部屋から部屋数も増えて買い込んだ物や作った物を保管する場所に困らないぐらい広くなってきた。

 でも、広くなるともっと多く買えると思ってしまうのは主婦の悲しい性なのだ。


 この国の首都を目指していた旅は目的を変えて、住む場所を探す旅になった。

 首都へ向かうのは変える必要は無いのでそのまま南下を続けた。


 旅の途中で低い丘が連なる丘陵地帯にある村へ寄って、食料を買った。


 冬を除いた季節で畜産農家は、牧草やカブなどの家畜用の餌や春に取れた麦の籾殻やオート麦などを家畜のえさに加工している。

 たっぷり食べさせた牛、豚、アヒルなどの家畜や家禽を屠殺して、肉やソーセージなどの加工品を作っている。

 そういった加工品を、春なので量は少ないけど、町へ出荷している。


 そんな村に立ち寄って、肉の加工品や乳製品を安く購入する積りだった。

 ゴーレム馬のビューティの背に買い込んだ品物を山と積んで村を出る事に成った。


 こんなはずじゃなかった、この先に在るキラ・ベラ市まで持てば良い程の量を買うだけの積りだった。

 ダキエ銅貨を出したら、お釣りが無いと言って山ほどの量の村で作っている肉や加工品を渡された。


 その日の夕方、川辺で神域に入り、山と成った荷物を運びこみ、汗だくで保管庫へ種類別に入れた。

 これなら秋ぐらいまで食べつくす事は無いと思う、でもそんなに長く持つだろうか?

 満杯になった保管庫を見ながら、保存期間を延ばせないかマーヤに聞いて見る事にした。


 『冷蔵出来る保管庫とか作れない?』とマーヤに聞いて見る。


 『村で買った、食料品を長く保管出来れば助かるの』

 冷蔵すれば、保存期間が延びるので、買い込んでしまった物が傷まなくて済む。


 『買い込み過ぎよ、でも保管庫は大きくする積りだったから冷蔵出来る様に変えるわ』

 マーヤが請け負ってくれました、マーヤに負担をかけて無いと良いのだけど。


 保管庫に並んだ品物を見ながら。

 『しかし乳製品が少ないのは残念ね』と感想を漏らすと。


 『神域でチーズやバターを作れるように改造するわ』

 マーヤの夢は広がりますが、実際にそれを作る作業は誰に成るのかしら。


 『取り敢えず、冷蔵の保管庫が有れば十分よ』ラーファは疲れました。


ラーファの子育ての悩みは尽きません。

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