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魔術師、異世界をソロで往く 過去編 第1部  作者: 迷子のハッチ
第1章 私はママで、ママは私?
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第7話・4 ホレツァの町(7)

襲撃の後の色々で、ラーファは苦労しています。

襲撃の在った部屋の後片付けの方が大変だったと思うのですが、宿の使用人は泣いて良いと思います。

 宿の主人が代官所へ行っている間に、私は部屋の中で女の使用人が見守る中、グレイスさんに起きた事を話した。


 「部屋で寝て居たら、いきなり男達が入って来て金を出せ、と押さえつけられて脅されました」

 「カギは掛けてたのかい?」グレイスさんが確認する。

 「はい、カギを掛けて、カギを机の上に置いて寝ましたから」


 「どうやって3人を倒したんだい?」グレイスさんは男3人から抑えられて、逆襲出来た事を女の私が如何したら出来るのか不思議に思っている様だ。

 「私は魔術師です、3人に押さえつけられながら抵抗せずに隙を伺って、魔術で一人づつ男共を倒したのです」


 「魔術師様だったのかい、道理でお強いはずだよ!」

 グレイスさんがラーファが魔術師だと言うと吃驚びっくりして声が大きくなった。

 魔術師は珍しいのだろうか?


 「魔術で倒したんだね!」グレイスさんは魔術を行使した事が好奇心を呷ったのか顔を近づけて聞いてくる。

 それでなくても地声が大きいのに耳が痛いです。


 「はい、土槍どそうと言って土魔術で短い槍を作り攻撃する魔術で倒しました」ラーファは魔術の説明を交えながら答えて行く。

 「ふんふんっ、そうかい、そうかい、それで」と相槌を打ちながら聞いてくる、グレイスさん興奮しすぎです。 


 「3人の男を倒すと、ドアが開いて男が2人部屋に入ろうとしたので大声を出して」

 「強盗!」

 「と叫んで土槍を何本か撃ったのです」


 「そうだったんだね、すごいね魔術師様は、強いんだね!」興奮して踊り出しそうです。


 この話をグレイスさんは信じた様で、と言うか疑問にさえ思わなかったようで。

 宿の夫婦から警邏隊へ知らされた後、警邏隊の隊長さんへも同じ話をしました。

 さすがに警邏隊の隊長さんはもう少し冷静でしたが、魔術師だと分かると珍しい物を見たと思っているようです。


 警邏隊の隊長さんの話では、男達の中に鍵開けのスキル持ちが居て、部屋のカギはスキルで開けたと言う事です。

 怪我をした男2人の自供によると。

 部屋に侵入した男達は、此の宿に泊まっている冒険者と呼ばれる魔物狩りのハンターだった。

 襲う切っ掛けは、昨夜おかみさんとラーファが話すのを聞いて、女の一人旅で金を持っているのが分かり、ラーファに乱暴しダキエ銅貨を奪う積りだった。


 最初はラーファが外に出た後を付けて、路地で誘拐する積りだった。

 しかし、ラーファが部屋に籠ったので、急遽部屋を襲う事に変更したそうだ。


 ラーファを襲って乱暴し、ついでにダキエ銅貨を手に入れようと、人の少なくなる昼8時(午後1時)過ぎに5人で部屋を襲った。

 私が部屋に居なければ帰って来るまで部屋に潜んで待つ積りだった。


 ラーファを乱暴した後は宿だったので、殺す積りだったそうだ。

 最初の誘拐する場合は、闇で運営している奴隷商に売る積りだった。


 警邏隊の隊長さんからは女の一人旅は狙われるのは当たり前だ、と怒られた。

 隊長さんは続けて、魔術師だからと言って、待ち伏せや大勢に襲われたら殺されるか、良くてなぶりものにされて売られるのが落ちだと、こんこんと説教された。


 ラーファは魔力も多いし危機察知もある、魔術師だし、戦闘経験もある、説教されるなんて理不尽だと思うがラーファの事を心配して言ってるのだろう。


 遅く成ったが、マーヤへ授乳する事も出来た。

 警邏隊が来るまでと警邏隊の隊長さんの取り調べが終わった後に一人にしてもらえた。


 取り調べの後、彼らが犯罪を自供しているので確定犯罪人として直ぐ処刑する為、ラーファに対してこれ以上の取り調べは無いと告げられた。

 処刑を見たければ、明日の昼7(午後)後、広場で行うから見物に来るが良いと笑顔で言われても困る。


 処刑を見学なんて嫌なので、その前にホレツァの町を出る事にしよう。


 部屋を替えてもらい、宿へは迷惑料としてダキエ銀貨1枚を渡し、これ以上騒ぎを大きくしない事で納得してもらった。

 グレイスさんがありがたがって、麦焦がしを1グッシュ半(10kg)程お礼にと作ってくれた。

 昨夜のグレイスさんとの会話が、今回の強盗の引き金に成ったのを申し訳なく感じている様だ。


 新しい部屋で神域に入ってマーヤに授乳する。


 『だから襲われるって言ったのよ』とマーヤのお説教です、念話だけど。


 『ごめんなさい、今後はダキエ硬貨はなるべく使わないようにするわ』ひたすら謝るしかないラーファ。

 赤ちゃんに叱られる母親って情けないよね。


 『今後は反省してお乳も止めない事』マーヤ、それは違う事でしょ。


 『でも離乳食を始めても、授乳はしばらくは続けるわ』いきなり離乳食に切り替えるのもかわいそうだし。


 『ずーと欲しいけど、仕方ないわね』マーヤがいい子過ぎて、ラーファ感激よ。


 『ラーファはダキエ硬貨の使い方は今後慎重にね』マーヤが話をお金の事に戻します。


 『オウミ国のお金も集める様にするわ、両替商で両替してもらうのも有りよね』

 ダキエ金貨を両替すれば、数年は暮らせるぐらいのお金になるらしい。


 『目立つような事はしない方が良くないかしら』マーヤが心配してくれます。


 『やっぱり両替商で両替すると目立つかな』ダキエ硬貨は目立ちすぎる。


 『どうすればオウミ国で流通している貨幣が手に入るのかなぁ?』

 ダキエ銅貨は万能だとか言っていたラーファはダメダメね。


 『あのね、今回の件で良い事もあったよ』マーヤが優しく念話して来る。

 良い事なんてあったかしら、何でしょう?


 『鐘の意味が解って良かったね』マーヤが慰める積りかそんな事を言ってきました。


 『あらまぁそうね、警邏隊の詰所の事だったとは分からないよねぇ』

 鐘と警邏隊って何の関係があるのかしら、警報用の鐘なのかしらね。


 夜に錬金で軽銀と魔銅の合金で直径1スン(3cm)の管を作り、魔糸で布を作った。

 ハンググライダーを作るのは順調に進んでいます。

 錬金でオウミ国の貨幣を作るのも有りと言えば有だよね、グフフッ。


 次の日朝食を部屋で取り(特別に部屋へ、前の晩も夕食を今朝も朝食を運んでくれました)宿のおかみさんの見送りで宿を出た。


 町を出るまでは、偽装の為麦茶を入れた大きな袋を背に担いだ姿で歩いた。


 インベントリ(空間収納)のバッグを持っている事ぐらい知られても構わないので貰った麦茶を収納したまま出る積りだった。

 『ダキエ硬貨で痛い目に在ったのにインベントリを持ってる事を知られたらオウミの王様が出て来るわよ』

 とマーヤに説教されてしまい。


 麦を買う時に使った袋に肩に担げるように紐を縫い付けた。

 この袋に貰った麦茶や着替えなどを入れて宿を出て、街中を通り門の番人にお礼を言って外へ出た。


 ゴーレムのビューティを出すのも人目の無い場所まで歩いて行って出した。

 宿を出た後から付けられている感じがしていたので、此処まですれば大丈夫だと思う。

 危機察知には反応が無いので、勘違いかもしれないけど、念の為に。


 しばらく穏やかな日常が続いたので、油断していたがラーファは追われる身だった。


未だ追手の影はありませんが、新たな追ってを作りそうなラーファですね。

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