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魔術師、異世界をソロで往く 過去編 第1部  作者: 迷子のハッチ
第6章 第1部最終章 別れ
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第86話・1 決意(2)

 相談はおばばとマーヤが増えました。

 王宮でイスラーファの出国と聖約の書で一波乱起きた顛末です。

 「密かに王都へ移動して、向こうで待つのも良いかもしれん、時々カカリ村へ飛竜で帰ってくれば誰もイスラーファ様が王都へ移り住んだ事が分からんじゃろう。」

 カークレイさまが悪だくみを色々考えておられるようです、お顔が嬉しそうにニヤついています。


 新薬の件も在り今後の事も含めて、おばばとマーヤも呼んで4人で話し合いました。


 マーヤは魔女学園を8月に中退ですが卒業します。

 それまでは本人の願いも在り、カカリ村で魔女学園に通う事になりました。


 おばばはマーヤが1年間主に魔女学園で護身術と実技を学び、知識と魔術の技術はおばば以上な事から卒業の資格と同時に魔女の称号を正式に認定してくれる事に成りました。


 卒業までは、マーヤ本人の希望と王都はカカリ村に比べ危険な事の両方の理由で残ります。

 明日から、マーヤをカークレイさまに託して一人暮らしを始めます。

 と言っても一人で住む部屋は、今ラーファとマーヤが住んでるイガジャ邸に在る部屋です。


 カークレイさまもマーヤが同年代の人族より自立出来ている事はご存じです。

 一人で生活出来る事はマーやと身近に接しているイガジャ家の方々は良く知ってます。


 朝食は一人か親密な家族だけで食べる習慣の強いオウミ国なので、マーヤはラーファといつも朝食を食べています。

 しかし、ラーファが王都で別に生活していると、マーヤが朝食を一人で食べる事に成ります。


 心配したカークレイさまがご自分と朝食を食べる様に提案してくれましたが。

 朝食は一人で食べるとマーヤが言い張って、カークレイさまが諦めてくれました。


 皆には秘密ですけれど、神域に家が在るので朝食は二人で何時もの様に食べます。

 マーヤには毎日会えますから問題は無いのです。


 ちなみに、昼食は魔女学園で、夕食はイガジャ邸でイガジャ家の方々と食べます。


 引っ越しですけど、ラーファの身の回りの整理は在りません、神域の家はそのままですから。

 それに皆との別れの挨拶はまだ先に成るでしょう。


 おばばへは新しい薬の作成方法と錬金術を教える必要があります。

 魔女見習いが作れる新薬の話は、おばばも大歓迎してくれました。

 錬金の本など用意が出来次第、教え始める事にしました。


 今回の話し合いの後、その日は遅かったので翌日早朝にカカリ村からイガジャ侯爵城塞の城館へワイバーンのピースィで移動しました。


 カークレイさまが言うには行動は思い立った時が動く時なのだそうです?

 決意した以上、実行を迷っていたらマーヤと別生活とか出来なくなると懸念されたのでしょう。


 「今日この時から、イスラーファ様は行方知れずじゃ、皆にも言い含めておきますぞ。」

 と楽しそうにおっしゃっていました。


 何かラーファの決意を後押しするより、ご自分が悪だくみを考えるのが楽しいに違いないのです。

 まぁ、朗らかにされるのはカークレイさま流の寂しさを感じさせない思いやりなのでしょうけど。


 翌日、アリスは昼9時(午後2時)にイガジャ侯爵城塞の城館へ帰ってきました。


 今日の昼7前(午前中)にアリスは父親(サンクレイドル様)と王都から直接カカリ村へ帰って来たそうです。

 アリスはオウミの王様から神聖同盟へ返書を書いてほしいと伝言を持って急いで帰って来たのです。


 日が暮れて侯爵様とアリスとの気の置けない楽しい夕食の後、『誓約の書』に付いて書いた物を王様へ渡した時の話が聞けました。


 「私と父様サンクレイドルが、緊急の報告が在ると陛下に取次を願うと、ほとんど待たされる事なくお会いできたの」


 「これって、陛下も神聖同盟の送って来た内容を読んだ教官ラーファがどんな反応をしたのか知りたかったのでしょうね」


 「陛下にお会いして、父が教官ラーファがオウミ国を出る話をしたら、突然立ち上がって『なぜじゃ!』って叫ばれたの」


 「父も陛下の反応に驚いたのか、教官ラーファの手紙を陛下に直接渡しちゃったの『これに書かれていますぞ。』って言って」


 「尚書官しょうしょかんが陛下に直接渡すのはご法度だって怒ってたわ」

 「陛下が父様とうさまから手紙を直接受け取られてしまったから今更だったけど」


 「教官ラーファが神聖同盟への対処で出国する下りまでは『フムフム。』って読んでたのよ」

 「陛下も『出国は是非もなし』とおっしゃられていたわ」


 「陛下って興奮すると御鼻をこすくせが在るみたいよ、盛んにこすっていたわ」


 「所が、『誓約の書』について教官ラーファが書いた内容を読んだ途端、しばらく固まってしまわれたの」


 「とても衝撃的だったようで、しばらく教官ラーファの書いた紙をつかんで動かなくなってしまわれたのよ、目だけギョロギョロと何度も同じ部分を読まれてるから手紙から煙が出るかと思ったわ」


 「その後、陛下は慌ただしく立ち上がって、『伯爵を呼べ!』って叫ばれて、此方を向くと『王都に居る様に!』って言われてどっかに行かれてしまったの」


 「私たちは仕方が無いので、王都の家に帰って陛下からの呼び出しを待つことにしたのよ」


 「翌日朝1時(午前6時)に侍従が家に来て王宮に呼び出されたの」

 「まったく、朝早くからあわただしいったらなかったわ、でも陛下も大変だった様なの」


 「前日と同じ部屋で陛下にお目にかかったの」

 「陛下は徹夜されたのか、昨日のままの服装だったのよ」


 延々と聞かせられた愚痴も王様からラーファへの頼み事をされて直ぐにカカリ村へ、飛んだ事を話して終わりになった。


 「疲れたのか少し悪寒んがするわ」とアリスが体調が悪いと言っているので、回復魔術を行使してあげた。

 その時体調の変化の原因が分かったが、微妙な時期なのでしばらく黙っている事にした。


 ヘンドリック侯爵様もアリスの愚痴に付き合われて最後まで聞いてくださいました。


 で、王様から頼まれたのが、ラーファに神聖同盟へ返書を書いてほしい件だった。


 しかも条件が在って、ラーファが書いた『誓約の書』の事は返書には書かないでほしいそうで。

 さらに、返書にはオウミ国から出て行くことをはっきりと書いてほしいそうです。


 王様の依頼はラーファにとっても神聖同盟ときっぱり縁を切る為に必要だと思います。


 ラーファは返書を書きます。

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