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魔術師、異世界をソロで往く 過去編 第1部  作者: 迷子のハッチ
第6章 第1部最終章 別れ
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第78話 持ち込まれた難題(10)

 ラーファを襲った時に使われた手錠と首輪についてです。

 その時レイの横に居たアニータさまが前に出て来てイガジャ男爵さまに頷いた。

 「アニータが説明してくれるそうじゃ、オウミ王国が掴んだ内容も在るそうでの、アニータ後は頼む。」


 オウミ王国影の組織次期頭領と聞いているアニータさま、そのお顔は少し緊張している様だ。


 アニータはラーファに一礼すると話し出した。

 「イスラーファ様、今回使われた手錠と首輪はダキエ国の商人がル・ボネン国とロマナム国と我が国に送って来た物です」

 壊れた手錠とラーファが拾った首輪を食堂のテーブルに乗せます。

 「魅了の大きな何かを探す者達の組織で、国に囚われず動ける組織、傭兵ギルドを作る事が交換条件でした」


 魅了の大きな何か、心当たりが在ります、宇宙樹の実でしょうね、魔力を産む聖樹の実ですから。

 でも衝撃的な事実です、ダキエ国の誰かがイスラーファを追う者達を手助けをしていると言うのですから。

 「そのダキエ国の商人の名前は分かりますか?」


 「それが、ロマナム国とル・ボネン国を経由して送るので、ダキエ国商人から委託されたと言う者が届けてきました、送り主の名はアーノン・ススミと在りますが初めて聞く名前でした」とアニータ。


 「アーノン・ススミですか? ラーファも聞いた事も無い名前ですね」


 「それにしても送り先がロマナム国とル・ボネン国にオウミ国もですか? 私を追っているのはロマナム国だけでは無いのですか?」


 「今は、オウミ王国国王陛下が提案した覚書に従ってイスラーファ様と友誼を深める取り決めに成って居ます」


 「ロマナム国もラーファと友好的に付き合っていく事にしたのですか?」


 「そのはずでした、取り決めでは『友誼を深め、信頼を得る努力をする』と成って居ます」

 アニータはため息をついた。


 「でもコシ・カッチェはロマナム国の密偵です、ロマナム国は約束を守る事さえできない国の様です」

 残念だと肩をすくめ首を振るアニータ。


 「オウミ王国は何時からラーファの事を知っていたのですか?」


 「残念な事に私が結婚する時に知らされた様に寝耳に水な出来ごとでしたわ」

 「今では、陛下もご存じでいらっしゃいます」


 そこでイガジャ男爵様が割り込んできました。

 「陛下の通達は最初はエルフを見かけたら知らせる様にとあったが、次の通達では見かけても追いかけたり捕まえたりしない様にとなった。」

 「ほれベロシニア子爵がイスラーファさまに逃げられた時の通達じゃよ。」


 「まぁ、然ういう経緯でイスラーファ様の事は見守る事だけしていたわけじゃ。」

 相変わらずイガジャ男爵さまはとんでもない事を何気ない事の様に行える方です。

 今回はラーファとマーヤにとって安心して過ごせた6年間です、感謝しかありません。


 アニータさまはチロリと男爵さまを見つめると肩をすくめながら話し始める。

 「オウミ王国では陛下の方針も在り、イスラーファ様を探すような事はしていませんが、国内をうろつくロマナム国の密偵は監視しています」

 「今回の件でコシ・カッチェを含め一味は全て排除しました」

 さらっと恐ろしい事を告げてくる、影の組織次期頭領様です。


 「残念な事にベロシニア子爵も探していましたから、手先には警告しました」

 「ただベロシニア子爵が探していたのが幼い子供だったので別のエルフの方を探して知るのだと思っていました」

 「マーヤニラエル様の事だとはイスラーファ様の事を聞くまで知りませんでした」


 ベロシニア子爵にマーヤの事がばれていたとは知らなかった。

 彼はマーヤを狙っているのでしょうか?


 「続けますね」アニータさまが考え込むラーファを見て話します。

 「先ほど話した様に、オウミ王国にも手錠と首輪は送られてきました」


 「今回使われたのは状況から見てもロマナム国の物と思われます」

 「此の手錠と首輪については渡された時の説明ぐらいしかわかって居ません」


 「手錠はイスラーファ様を1コル程度混乱させて拘束し続けることが出来るが、その内イスラーファ様に破壊される」

 「首輪は魔術を封じる物で、イスラーファさまでも無効化は無理だと聞いています」


 ラーファは、少し手錠と首輪について知らせた方が良いかもしれないと思った。

 「その手錠と首輪ですが、手錠は混乱を付与した魔道具で錬金術を使える樹人でしたら作れるでしょう」


 「首輪の方はハイドワーフの族長様が作られた魔道具で数も5個作られただけです」

 「確かにラーファでも無効化は無理だと思います」


 其処がこの首輪の魔道具の怖いところだ、付与されているのは無効化では無くて歪曲なのだ。

 魔術陣を作ろうとする端から歪めてしまう。

 歪めるのは簡単だけどゆがみの無い魔術陣を作るにはとても頑強に作る必要がある。


 マーヤなら最初からゆがみを無視して又は、ゆがみを計算に入れて魔術陣を作れるかも知らないけど、ラーファには無理ね。


 『マーヤでも解除までに時間が掛かるよ』


 そうなのね、厄介な首輪が出て来たわね、しかも後4つも在るわ。

 『ここに在るのも居れると5つだよ』そうねここに在る首輪壊したいわね。


 「イスラーファ様」アニータの声が聞こえた。

 「この後男爵邸から出られる予定はございますか?」


 「そうね、魔道具の設置は終わったけど試運転や作業する人への説明が必要ですね」


 「それでは数日お待ちいただけますか? その間に王都へ行って今後の指示を伺って来ますわ」


 アニータは陛下に報告と今後の方針を聞いてくるそうです。

 そのぐらいは待っても問題はありません。


 「はい、アニータさまのお帰りを此処で待ってます」


 「ありがとうございます、ではおじい様一緒に行きますわよ」

 と言うと、アニータさまがレイの方を振り向き「飛竜を出してね」と頼んでいる。


 指名されたイガジャ男爵は崩れた笑顔のお顔で固まっている。

 ひょっとしたらおじい様と呼ばれたのが原因かも。


 静かにコシ・カッチェさんは退場(この名も無き世界から)したようです。

 孫の嫁からおじい様と呼ばれじじい冥利に突き抜けたのでしょう。

 レイはアッシー君(死語)ですね。

 次回からはオウミ王国と周辺国の思惑で振り回されるラーファとマーヤです。

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