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想いを伝えて



「ま、待って下さい、従兄弟がリリアと結婚って、ではアルト様は…っ」

「ここで暮らすと決まった際に、いっそ独立してはどうだと王に提案され新しい名を賜ったんだ。それがアーチア。元の名はブレイクだよ」

「ブレイク…!?」


ブレイク家の次男がリリアのお相手で、その方の従兄弟ということは本家の血筋ではないのだろうけど、彼もまたブレイク一族の1人だった。

なんてことだろう、私とリリアは、揃って名門貴族の伴侶となってしまったのだ。

そういえばリリアが、お相手は、黒髪の素敵な男性だと言っていた。その方の髪はきっとアルト様のような、夜にも似た色をしているに違いない。

アルト様は私の身体をゆっくりと抱き締める。驚きのせいかようやく涙は止まってくれた。


「リリア嬢から聞く話の、空想上の君にずっと恋をしていたけれど、今の君の方がずっと好きだ」

「アルト様…あ、あの、私…」


そこで私はとんでもないことに気付いた。

抱擁をしたりキスをしたり、彼は進んで愛情を表してくれるのに私は何一つ返せていない。

私を見つけてくれた彼に、しっかり伝えなければならないことがある。


「……私…私も好きです、アルト様のこと…」

「フレイ」

「好き、大好き…っ、ずっと、お傍にいたいです、いさせて下さい…!」

「フレイ、フレイ愛してる。愛しているよ。僕の方こそずっと一緒にいて欲しい、ずっと…」


啄むようなキスが頭や頬、目元へと至るところへ降り注ぐ。そして唇に到達して、それからはもう繰り返し、何度も何度もキスをした。

離れてしまうのが惜しくて、もういっそひとつになれてしまえばいいのにと思いながら、私はその逞しい胸と腕にいつまでも包まれていた。



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