WHITE
体が浮くような感覚に目を開ける。
俺は何処までも続く真っ白な空間にゆっくりと着地した。
と、同時に白いベールのような衣を纏った神々しい女性が
黄金の髪を揺らして目の前に現れた。
白金の瞳が俺を捉える。
「はじめまして、選ばれし勇者様。
私は光の女神フィルセリア。
まずはお名前をお聞かせ願えますか?」
フィルセリアが空中で手を横に振ると俺の目の前に
入力ウィンドウが現れる。
俺は迷わずいつもゲームで使っている名前を入力した。
「カナル様ですね。では次にこの世界《Tears》における
種族と容姿をお決めください。」
再びウィンドウが現れる。
そこに映し出されたのは、男にしては長い肩までの黒髪に
日本人の標準的な黒目。
背は平均より少し小さく、痩せている現実の俺の姿。
ウィンドウを操作し、手際良くそれを変えていく。
このゲームの最大の魅力は自由度の高さにある。
種族、アバターはもちろん、Jobシステムがないため、
スキルや武器の組み合わせは無限大。
また、戦闘だけでなく趣味、生産スキルも充実している。
攻略ガチ勢、はたまた自分の店を開いたり、
Storyそっちのけで趣味に費やしたり…
自由に選択することができるのだ。