53 幼馴染みは強引過ぎる思います
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「で、リズは神様に会ったってのかい?」
いつもなら、俺とリアとリズの3人で朝食をとっている。
しかし、生憎とリアはシーナに連れられ、毎月の恒例のスラムへのあいさつ廻りに行かされていた。
聖女様活動もタイヘンなんです。
そんなんで今日の朝食は二人きりだ。
「はい。
トラックに轢かれたあとの記憶はありません。
すぐに神様の神殿のような場所で目が覚めましたから。
私は何かの手違いでこの世界に来たようです。
そのお詫びの贈り物だ、と言って剣士のスキルを授けて下さいました」
「おいおいおい、手違いだぁ?
ンなふざけたこと言ってんなら、もっと吹っかけてやりゃーいーものを。
相変わらずお人好しだな」
「うふふ。
お兄さんらしーですね。
でも、とっても優しいお姉さんでしたよ?
私のことも心配してくれてましたし」
「なんだよ?
大聖堂の主神様は女神だったのかよ?
相変わらずその辺、ハッキリしない宗教だよな」
「そうですね。
神はあらゆるものに宿ると言われておりますし、全ての宗派の神様は、主神様の仮の御姿だと伝わっています」
「まあ、何とも都合の良いこったね。
俺もリアも、神様なんぞお目にかかったことなぞないがよ」
「私はそのほうが良いですけどね」
「あん?
何でだ?」
「だって、お兄さん、超年上好きじゃないですか?
女神様って清楚で上品な上に、セーラさんみたいなセクシーなお姉さんなんですよ?」
「な、なんだとっ……
そ、それはあれか?
全国の童貞諸君の敵、清楚ビッチ系お嬢様かっ?!
けしからーんっ!
実にけしからんぞっ!
何としても俺が説教してやらねば!
リズ、俺も清楚ビッチ系女子大生女神になんとしても会いたいぞ!」
「ほら……やっぱり……何なの?
この女子大生好き……
年上の女にはすぐ夢中になるんだから……」
「あ、なんだって?」
「なんでもありませんわ、お兄さん。
いえ、映えあるリードニウム衛兵団、副長アル様。
私、これでも14歳になるんです」
「ああ、そっか。
こっちじゃ、年上になるんだよな?」
「はい。
もう、結婚もできますよ?
お兄さん、約束してくれましたわよね?」
「?
あん?
何が?」
「私が泣き止んだら、お嫁さんにしてくれるって」
「おまっ、あれは幼稚園児の頃だろ?」
「お兄さんは小二でした。
覚えてないだとか、そんなつもりはないとか、子供の頃の話しだからとか、そんな言葉に興味はありません。
約束。
守って下さいましね!」
にこやかな笑顔をしながら、リズの腕が俺の首に巻きついてくる。
とっても可愛い笑顔のはずなのに、オレの脳内には巨大なアナコンダが全身に巻き付いてくるイメージが浮かぶ。
それなのに、なんか彼女の良い匂いがしてきて、振り解く気がそがれる。
それ以前に、可憐な見た目に反した馬鹿力でオレ程度の力じゃ引き離せそうもない。
あっれぇー?
こんなに押しの強い娘だったっけー?
理香と気が合うくらいだから、昔は引っ込み思案で大人しい子だったはずなんだけど?
すっごい恥ずかしがり屋で、出会った当初は俺と口きいてくれるまで随分苦労したよーな……
あっれぇー?
「大丈夫です!
独り占めなんてしません。
私、リアさんの次で構いませんから!
あ、でも第二婦人の座は譲りませんからね?!
そこんとこ夜・露・死・苦」
ね?
なんかおかしいよね?
あっれぇー?