第3章-10 チートスキルの問題
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「神様、クソッたれがっ!
俺にチートスキル与えやがれっ!」
その瞬間、脳裏に直感が閃いた。
リアが”お前の脳に直接響くのだっ”的な感じって言ってたけど。
まんまその通り。
"『スキル ※※※※』取得ポイント不足"
は?
はああああああああんっ?!
ざっけんなよっ、クソ神!!!
なんなんだっ、このクソ仕様!
ポイントが足りません、じゃねーぞコラっ!
じゃ、何か、おい?
火曜日はポイント2倍デーです。
またのお越しをお待ちしております、とか抜かしてんのかコラ?!
いや、まあ落ち着つけ。
まだだ、まだ慌てるよーな時間じゃない。
クールになれ。
一つわかったことがある。
リアの言ってることは真実だ。
ひじょーにモヤモヤしはするが、感情に振り回されて現実を誤認するのは馬鹿者のすることだ。
つまり、この世界、リアの言うチートが存在してる。
もう一つ、発動条件が解らねぇ。
悪態をつく、この一点がスキル取得の引き金なのは間違いないようだ。
そらそうだよな、そう簡単に発動するきっかけがわかっていれば皆んなスキルを使っているはずだ。
それなのに、そんな奇特なやつは歴代の聖女様だけだったわけだ。
これだけ教会の影響力が強い世界で、何の後ろ盾もない奴らが堂々と神を侮辱するなど、かなり控えめに表現したとしても、狂っているとしか言えないだろう。
こんな条件見つけだす方がどーかしてるよ、なあリア。
だがよ、ポイントってのはなんぞ?
まあ、わからんのなら仕方ない。
思い出したらちょいちょい試しておくとしようか。
「アル様、リード司祭様がお呼びです」
リズが迎えにきた。
司祭様からのお仕事かな?
仕方ねぇ、名残惜しいがリアに構ってばっかもいられないしな。
リアはすでに聖女としての立場を固めつつある。
この街の有力者の信頼も手に入れたしな。
あとは辺境伯の息のかかったジョン・タルボット次席組合長を抑えとくだけだ。
今の内に司祭様の下で、俺も何かしらの立場を作り上げときたいところだ。
このままリアから引き離されるのなんざ、真っ平御免だからな。
あいつら利益になるとわかったら容赦なく、邪魔な俺をリアから切り離しにくるだろうからな。
揉手で笑顔振り撒く裏で、如何に自分に利益を誘導するか常に考えている。
ある意味ハッキリし過ぎて清々しいくらいだ。
建前だの、しがらみだのを前面に押し出して、腹の内さらさない奴らよりかはよっぽど信用できるしな。
やり合う相手としちゃ、不足はないぜ。
さて、執務室、司祭様は端的に告げた。
「アル、街の外へ出る。
ついて来なさい」
「いきなりですね」
「君は前置きが必要なのかね?」
「いえ、むしろ好ましいですね」
「馬車を出す。
中で話すとしよう」
さて、馬車に揺られること半刻程。
「教会本部に人が詰めていないこと。
不審に思ったか?」
「そうですね。
これだけの人口を有する街の教会本部ならば、関係者とその使用人達の数を考えればあまりに少な過ぎます」
「これがその理由さ。
外を見てみてなさい」
其処には広大な農地が広がっていた。
教会関係者を示す修道服を着た者たちが、指示を出している。
商人が抱えている技師などもいるようだ。
そして労働に従事している主だった者達は、俺の見覚えのあるスラムの住人達だった。




