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第3章-5 商人の娘の問題

25

 

 ここはブリングハムの最大手ハウエル商会。 


俺達が到着した時点で、場は既に盛り上がっていた(最高潮)



「聖女様お助け下さい!

 もう貴女様にお縋りする他ありません。

 どうか、娘をお助け下さい!」


「いきなり切羽詰まってるな」


「お兄ちゃん、どうしよう?」


「ハウエルさん、とりあえず娘さんに合わせて下さい」


「はい、どうぞこちらへ。

 何卒、どうか何卒娘をお願いします!

 助けて頂けるのであれば、私にできることならば何でも致します!

 お約束致します!!」


「いい歳したおっさんの何でもしますってのは、あんま嬉しくもないんだけどな……」


「お兄ちゃん、さすがにそれは正直すぎるよ」


「はい、アル様。

 私もそれを口にしてしまうのは、ちょっとどうかと……」


「バカ、ここで変に気を使ったってしょうがないだろ?

 今大事なことは、ハウエルさんの娘さんの命を救うことだろ?

 さぁ、リア。

 ちゃっちゃっと済ませちまえ」


「うん、お兄ちゃん。

 ワタシ頑張るね?

 お兄ちゃんの為にね!」


「あの、アル様?

 ……だから言い方を、ちょっと……」


「リズ、そんなもの大事の前の小事さっ!

 さぁ行け、リア!

 聖女様の力、見せつけてやれ!」



 ハウエルの娘の部屋、リアと同じくらいの歳の少女。


意識が朦朧としているのか、汗だくでひどくうなされている。



「リア、どうだ?」


「うん、わかんないけど……やってみるね。

 ”痛いのイタイの飛んでいけ(癒しの手)”」


「また、ベタな呪文だねぇ」


「うふふ、覚えてないの?

 お兄ちゃんがいつもやってくれてたことだよ?」


「そだっけ?」


「うん、そっか……お兄ちゃん、覚えてないのかぁ……

 はぁ、まぁ、しょうがないよね……」



 少女の胸に添えたリアの右手にゆっくりと暖かい光が灯る。


しばらくすると、暖かな光が娘の身体に吸い込まれるように収束した。


そして驚いたことに、あれほど乱れていた少女の呼吸がすっと落ち着いてきた。



「おおっ、呼吸が落ち着いてきたっ!

 ラナ、ラナっ!

 私の声が聞こえるかい?!」


「ハウエルさん、ラナさんの体力は落ちているようですので、今はまだ安静にしておいた方が……」


「はい、すみません!

 本当に、ありがとうござびばふっ!

 グスっ、グスう、う、うわぁああああああああん!

 よがっっだぁ、よがっだぁあああ、だだ、生きててくででよがっだぁあああ!!!」



 だぁあああっ!!!


うるっせぇーな、このおっさん!

 

いいから落ち着け!


おっさんのマジ泣き顔なんぞみてらっれっかっつーんだ!



 しっかしなぁ?


こいつはホントに奇跡だな。


予想以上だぜ、ちょっと効き目が強すぎだぞ?!


リアの力は取り扱い注意案件だな。


これは今後の方針を司祭様に相談しといた方がいいだろうな。



「ぐすっ、ぐすっ……ふんっ!

 ありがとうございます!

 ありがとうございますっ!!

 聖女様!

 もう、何とお礼を申し上げたら良いのかっ?!

 娘は私が歳をとってからの子で、なかなか子供に恵まれなかった私達夫婦の……」


「ああ、ハイハイ。

 うんうん、はい良かったねー、お礼の件は後日相談ということで。

 え?はい、はい、じゃそゆーことでーっ、ハイっハーイっ、じゃねー」


 

 諦めてた娘のが容体が良くなったことで、やたら盛り上がっちゃったハウエルさんを放置。


商会の皆さんが引き留めるのも振り切って、俺達は急ぎハウエル商会から退散した。



「あの?

 アル様?

 よろしかったので?

 ハウエルさんとの面会」


「ああ、あの様子じゃあなぁ。

 話し合いも何もないだろう。

 それにな、聖女としての仕事はやり過ぎなくらいにこなしちまってるからな。

 あとはお互いに冷静になってからの方が良いだろうさ」


「それより、はやいとこ司祭様に相談しときたい。

 リズ、取次頼むわ」


「はい、アル様。

 畏まりましてございます。

 ご褒美に、手をつないでいただけますか?

 うふ!」


「ん?ああ、ソウデスネ……」



 リズとの距離感、ちょーっとわっかんないんだよなぁ。


まだまだ、俺は精進が足りねぇなー。



「むぅ、お兄ちゃんっ!

 リア頑張ったよっ!!

 ワタシと手つないで!!!

 ふんっ、べーっだっ」


「おお、リア、良くがんばったな今日は。

 うん?

 疲れてないか?

 大丈夫か?

 よし、今日はみんなで手つないで帰ろうか、な、な?!」



 うん、今日のとこはこれでごまかしてしまうおーぜ。


リア、フォローありがとな!


本当によく気が付くデキた弟だぜ、お前はよ。



 しかし、聖女の奇跡ねぇ。


ちょっと異常な程の効果だよな?



「なぁリア?」


「うん?

 なぁにお兄ちゃん」



 お手て繋いだ帰り道。


ゴキゲンなリア。


良い笑顔だよ。


お前はいつもそうやって笑ってるのがいいぜ。


それはきっと、人を幸せにできる笑顔だよ。



「さっきの娘な、ラナだっけ?

 あの娘の病状わかったのか?」


「うーん、よくわかんないかな。

 でも、助けられるよ。

 それはあの時ハッキリわかったよ?」


「そっか……それは。

 相手を見れば助けられるかどうかわかる。

 でも逆に言えば、相手を見なければ助かるかどうかは判断できないってことか?」


「そだねー。

 そういうことなのかな?」


「そうか、あの娘の場合はさ、病気だったのかな?

 他に、傷とかならどうだ?

 四肢欠損なんかでも治せるものなのか?」


「うーん、やってみないとわかんないんじゃないかなぁ?」


「そっかー、ありがとな。

 リア、今日はゆっくり休めよ。

 ああ、イモでも買って帰るか?

 リアの好きなサツマイモな!」


「うんっ!

 買って帰ろっ!

 うふふっ(´∀`*)ウフフ」


「はいっ!アル様」


「はい、リズ君、どうぞ」


「私もお芋頂きたいのですが、アル様手ずから食べさせていただけますでしょうか?」


「うん、また今度ね」


「もう、アル様のイケズ。

 でも、そんなドSなアル様もス・テ・キっ!」



 うん、いい笑顔だ、リズはスルーしとこう。


それが一番上手くいきそうだし。



 ああリア、サツマイモ1つで喜んでくれるお前は俺の天使だぜ。


天使の笑顔を守るためにも、色々検証しなくちゃいけないことはあるが、まずはリアの笑顔を見るために俺はイモを焼くぜ。

 いつもお付き合い下さり、ありがとうございます。読んでいただけるだけで大変嬉しいです


 もし宜しければブックマークや★の評価1つ付けて頂くだけでも、義月は踊り狂って喜びます。


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