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第3章-3 偉そな奴らの思惑の問題

33


「ふんっ。

 見ての通り、この本部でも資金、人出、共に足りておらん。

 だが、仕事は山のようにあってな。

 来て早々悪いのだがな。

 アル、リア。

 お前達にもすぐに働いてもらう」


「こっちで世話になるんだ、異論はねぇよ」


「そうか、それは助かるな。

 期待している」



 ……ん?……このおっさん?!


孤児相手にまともに礼を言える人間だったのか?


ちょっと、評価を上方修正だな。



「アルはリアと行動を共にせよ」


「それは願ったり叶ったりだな」


「リアの護衛もしっかりとこなしてくれ」


「そりゃ言われなくともって?

 何かそんなヤバイことが起こる前提なのかい?」


「考えられることではある」


「聖女様絡みってやつか、クソッ!」


「ふむ、君は察しが良くて助かるな。

 シーナが気に入って使っていただけのことはあるのだな。

 では詳細も伝えておこう」


「俺達なんかにバラしちまっていいのかい?

 アンタらお偉方にとっちゃあ重要な事なんだろ?」



 暗に俺達にゃあ関係ないだろ?って含みを持たせる。


もちろん権力争いだの利権争いだのといった、面倒なことから距離を置きたい気持ちからだけどな。



「いや、知っておいてもらった方が君の場合は有効に立ち回れるだろう」


「これはまた……

 随分と過大評価されてるんだな俺は」


「ふんっ。

 君は支部においてシーナの指示で動いていた。

 そして、シーナが想定していた以上の結果をもたらした。

 報告はあがっている。

 スラムへの偏見や、巷の噂程度のものは信を置くに値しない。

 結果は嘘をつかないからだ。

 ならば、結果を出している君への評価を過大とは言うべきではないな」



 またしても評価を上方修正だな。


この司祭様は気に入らない奴ではあるが、少なくとも話は通じる相手のようだぜ。


何はともあれ、言葉が通じる相手が上司(ボス)でよかったぜ。



 世の中、言語明瞭意味不明って奴らが多すぎるからな。


ホント、壁とでも話してた方がマシだぜってくらいにな。



 司祭様の説明によるとだな。


この街は商人組合(ギルド)が仕切っているわけだよ。


独立した組織である教会ではあるが、商人組合の意向を無視できないんだな。



 まぁ、ここ(ブリングハム)はもとはただの荒野だ。


資源に乏しいんだよ。


食料自給が完全でない現在、外からの食糧輸入に頼ってる。


住人共の胃袋を掴まれてるわけだな。


 

 そして、商人組合はこの街を切り開いた功労者でもある。


発言権はデカイよな、寄付金についても頼ってるわけだし。


大事なスポンサー様サマだ。



 そして、商人共には理想的にお貴族様の干渉もない街だ。


そらそうさな、自分達で切り開いたフロンティアだ。


だがな、ハイエナはすぐに近寄ってくるんだよ。


奴ら、鼻だけは良くキくからな。



 勢力図としては、商人、貴族、教会という三すくみの状態であり。


今は自分たちの利権を必死に確保しようと、それぞれが躍起になってるわけだな。



 で、この当たりに権限をもつ北部辺境伯爵家であるタルボット家、こいつの干渉を何とか防ぎたいという点で、商人組合と教会が仲睦まじく(腹の探り合い)手を取り合っているという形なわけだ。



 ああ、面倒クサイこったね。


ん?

なんか背中が暖かいなとおもったら、リアがべったりくっついてる。


なんだ?


つまんねぇ話で飽きちまったか。



 仕方ねぇな……いや、ちょっとくすぐったいわ。


クンクン匂い嗅いでんじゃねぇっての。


あれ、昨日身体拭いたよな?


ちょっと、匂ったらヤダわ、恥ずかしい!


って何?


いい匂いだ?


そうかよ、ならいいんだよ。


俺もリアの匂い大好きだぜ!


ってー!!


変態みたいじゃんか?!俺!


自重しろっ、馬鹿!!



「お前達、もう少し真面目に聞けんのか?

 ……全く、ふんっ。

 まぁ、いい、でだ。

 君たちに頼みたいのは、リアの聖女としての利用価値を商人達に()()()()()理解してもらうことだ」


()()()()()ねぇ?

 俺達が取り込まれた方が良いってことか?」


「君は本当に12歳なのかね?

 末恐ろしいことだね。

 まぁ、頼りになるのは良いことだ。

 ここも人材が少なくてね。

 ふんっ」


「で?

 ご要望は?」


「商人組合と良好な関係を築いて欲しい。

 リアの聖女の証拠、癒しの力もきっちり証明してな。

 商人組合の信用を得ること。

 聖女には利用価値があると知らしめること。

 そして彼らには、大聖堂へリアが引き渡されることのないように、裏工作してもらう必要がある。

 リアはブリングハムの聖女であり、大聖堂の聖女ではない。

 それこそがお互いの共通の利益であると認識してもらう。

 彼らには大聖堂につくよりも、ブリングハム教会と付き合った方が益になること。

 また、大聖堂の魑魅魍魎共に比べれば、まだしもこちらの方(ブリングハム教会)が組み易しと侮ってもらっていた方が都合が良いのでな」


「聖女様はブリングハム教会とは上手くいっていない。

 そう思ってもらった方が良いのかい?」


「ふんっ。

 そういうことだな」


「まぁ、そりゃ簡単だな、事実だしな」


「ミイラ取りがミイラになることは避けて欲しいのだがな?」


「さぁどうかな?

 だが、きっちり間諜役(スパイ)はやってやるさ。

 二重スパイになるかもしらんけどもな?」


「心配はいらん。

 十分な報酬は約束するさ、()()()()()()

 

 

 うん、あまりに話が早くて逆に心配になっちゃうぜ。


これが、シーナなんかだと頭固いからなぁ。


融通利かねぇから、やりにくいったらなかったしな。


まぁ、そこがシーナの良いとこなんだろうが……



 しかし司祭様は、最初の印象と違って食えないよなぁ。


いや、あの面はそりゃ本当の意味で食えないけどさ。



 もしかして俺、司祭様の手のひらの上で転がされてる?


まぁ、いいか。


俺程度の未熟なガキしゃ、この上司(デキるボス)に太刀打ちできんだろうしな。


その時はそのときさ、俺はリアさえ守りぬければそれでいいんだ。


ここは、しっかりと有能さを証明して気に入ってもらえるよう努めるか。


ま、あんまりやり過ぎて警戒されても困るけどもな。



 さぁ、リアの明るい未来の為にお仕事頑張りますかね!



「ああ、言い忘れていたがね。

 組合の次席、ジョン・タルボット氏というのだがね。

 タルボット伯爵家の三男様だ。

 くれぐれも粗相のないように頼むよ」


「おいぃぃぃぃっ?!

 なんじゃそりゃあ、商人組合の獅子身中の虫じゃんかっ!

 それ一番大事なトコじゃん?!

 そいういう詳しいの、もちょっとちゃんとさぁっ!

 教えといてよっ!!」

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