第3章-2 ミニスカメイドの問題
22
結局のところ、リアはブリングハム教会本部で暮らすことになった。
教会の思惑通りってことだ。
まあシスターと決裂せずに済んだし、良かったんだろうな。
リアのたっての願いが叶い、俺も教会本部で一緒に暮らすことになった訳だ。
リアの譲れない一線ってぇのは俺と一緒に暮らすことらしかったんだよ。
ホント、リアたんマジ天使、ちょっと可愛すぎでしょう。
ヤバいな、コレ。
幸せすぎて明日の朝方には俺は冷たくなってるかもしれん?!
気を付けないと!
いいぞ、もっと甘えてくれ。
「うふふふふっ。お兄ちゃん!
ワタシ達、これからずーっと一緒のベッドで眠れるね!」
「リアは、甘えん坊さんだなぁ。
お兄ちゃん嬉しいぞ。
だいたいリアは遠慮し過ぎだったんだよ。
今までがな。
だからな、これからはもっともーっと甘えてくれていいんだからなっ!」
「うんっ!
お兄ちゃんが一緒なら、ワタシはいつでも幸せだよ」
「リアは欲がないよなー、俺はいつだって側にいるさ」
「そうだね……そうなんだよね?
約束、だからね。
もう、ワタシを一人にしないでよね?
ね?
お兄ちゃん、もう一人はヤだから、ね?」
リア潤んだ瞳で俺を見上げる。
切羽詰まった様子で。
一体リアに何があったのか?
俺は知らない。
何がリアにそこまで言わせるのか?
お兄ちゃんであるはずの、俺が知らない。
リア……不甲斐ない兄貴でごめんな……
いつかきっと、お前を安心しさせてやれる。
そんな、頼れる兄ちゃんになってみせるから。
それまで、もう少しだけ待っててくれよな。
お前がいつも笑っていられるように、頑張るから。
俺、頑張るからさ。
そんな決意を胸に、今日から俺は勤労に励むのだった。
ところで、なんなんだ?
ここ、教会本部だろ?
やけに人が少ねぇじゃねーか。
一体どうなってるってんだよ?
このデッカい建物ですれ違った人間二人くらいだぞ。
そんな人手不足のせいか、引越しを終えた俺とリアは早速司祭の部屋に呼ばれていた。
ちなみに、ここに来てリアにはメイド服が支給されていた。
あ、俺には執事っぽい服ね。
なかなか立派な服だぜ、馬子にも衣装ってやつかい?
さすが教会本部だ、たかだか使用人風情にも金かけた衣装だぜ。
しかし問題はリアの衣装だよ。
いや、それ女性用だぜ?
うん、いや可愛いよ?
そらもう、爺婆共が言う様に掃き溜めに舞い降りた天使さまの様に神々しいわけさ。
俺は目が潰れるかと思ったね!
眩し過ぎてね、マイエンジェルがさ!
ただなぁ、スカート短かすぎやしないかい?
リアたん可愛いすぎて、不審者に誘拐されたらどーしてくれんだ、オイっ!
お兄ちゃんは心配だぞ?!
つかリアの下着見られたら、どーしてくれんだ!
そんなのお兄ちゃん許さないぞ!
くっ、なんて可愛いんだよ。
リアはプラチナブロンドの髪をツインテールにまとめ、メイド用のリボンを付けていた。
なんともお兄ちゃんの庇護欲をかきたてる美少女っぷりだ。
だがなぁ、毎日リアの身体をお湯で拭き上げてやってる俺は知っている。
リアは男の子なんだぞ?
メイドの短いスカートのせいで下着を見られて、倒錯趣味があるんじゃないか?
なんて勘違いでもされようものならば、大切なリアの将来に傷が付いてしまう。
仮にリアがこのまま聖女としての道を歩むことになるのならば、そんなスキャンダルは絶対に避けたい。
女装することは避けられないだろうが、リアに迫る危険の芽は摘んでおきたいものだ。
いやでもな、ミニスカメイド超可愛いのっ!
でもでもお兄ちゃん超心配なのっ!!
ああっ、ジレンマ。
もう、可愛いなぁ。
これでリアが本当に女の子だったら、俺は男として将来我慢できなくなっちゃってたかもな。
とすると、リアが弟で良かったのか?
義理とはいえ妹だったら、将来間違い無く女として見てしまってただろうしなぁ。
お兄ちゃんとして、それは許されることではないだろ?
「アルトリウス、急に頭を抱えてどうしたのだ?
環境の変化で体調でも崩したか?」
「お兄ちゃん、大丈夫なのっ?
無理しないでお部屋で休む?
ワタシ添い寝してあげるから、無理しちゃダメだよ?」
おおっとマズイ、自分の世界に浸ってる場合じゃねーやな。
「リア、俺は大丈夫だから」
慌てて笑顔をつくると、リアの頭を撫で撫でしてやる。
リアを不安にさせるなんて、お兄ちゃん失格だからな。
「ふんっ。
問題がなければ仕事の話しをするぞ。
私も忙しい身体なのでな。
ふんっ」
なんか豚がブヒブヒ鳴いてるけど、リアの笑顔に見惚れていた俺にはどーでもいい話だった。




