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第2章-8 偶像ですけど

18


「……ちっ。

 ……大丈夫じゃねぇよ。

 ちっとも大丈夫じゃねぇ!

 シーナがいなきゃ、ここはぜんっ……っぜん大丈夫じゃねぇっ!!

 忘れんなよなっ!!」


「そうね……。

 わかったわ」



 シーナはお兄ちゃんの仕事の報告を受けてるようだった。


ワタシはと言えば、ローデンさんと一緒に隣の部屋で待機しているわけです。



 シーナもずるいなぁ、あの包容力は年の功なのよねぇ。


お祖母ちゃん力、すんごい。



 ワタシ達は祖父母に会ったことがない。


だから世の中のおじいちゃん、おばあちゃんのイメージが無いんだよね。


お兄ちゃんが懐くのもわかるわぁ。


くっ、くやしくなんかないんだからねっ。



「ささっ、リア様お話が終わったようですので。

 いざ参りましょう」



 ローデンさんが恭しく頭を垂れ、ワタシの手を取る。



「シーナ様、お忙しい所失礼致します」


「ご苦労様です。

 ローデン迷惑をかけてしまってごめんなさいね」


「とんでもないことでございます。

 シーナ様のお役に立てるのならば幸いです」


「さて、貴方がこちらにくるなんて……

 きっと大切なことなのでしょう。

 セーラは遠ざけてくれましたか?」


「はい。

 商家への買い出しをお願いしてあります。

 此度参上致しました訳は、リア様についてです」



 シーナが眉をしかめる、珍しいことに。


少し考え込んでから、口を開いた。



「伺いましょう」


「はっ、アルトリア様が聖魔法"癒しの手"を発動されました」


「っ……」


「今朝の炊き出しで食中毒被害者を"癒しの手"で救済されました」


「そう、それで……」


「被害者二人についても軽症で済んでおり、明日には体調も回復するかと」



 シーナはおもむろ跪き頭を垂れた。



「リア、いえ。

 アルトリア様、貴女様を聖女として教会へ報告させていただきます。

 聖女様どうか慈悲深きその御心を持って、我ら迷える子羊達をお救い下さい」


「え……ちょ、っちょっと待って……」


「我らには貴女様の慈悲が必要なのです。

 何卒、我らをお助け下さい」



 シーナがにじり寄ってくる。


震えるその手でワタシの手を掴む。



 ひっ……


や、何?


これシーナなのっ?


何か怖いっ、いつもと目が違う。



 蘭々と輝くその瞳、それはどこか薄暗い炎のような不吉な影を忍ばせている。


シーナの瞳に不穏なものを感じた。



 今までこんな顔みせたことなかったじゃんっ!


ちょっと、お兄ちゃん。


ドイツも、コイツも、みんながなんか、ヤバめでマズイ感じなんですけどっ? 


………………。



 みなさん冷静さを欠いてるようなので、ここで一旦休憩です。



「リア様はご存じないかもしれません。

 少しご説明させて下さい」



 シーナとローデンが語る聖女伝説とも言うべきものに耳を傾けた。


いわく、聖女様とは天使の生まれ変わりである、だとか


天使の御使いである、だとか。



 聖魔法と呼ばれる、神の奇跡をこの世に具現化させ得る存在なのだと。


そして、聖魔法と認めらるものを使役できる存在。


それは、歴史上全て女性のみであったと。


ゆえに、彼女達は聖女と呼ばれた。



 教会や、王家有力貴族などが保管している歴史的資料その記述を辿ると、そういう話に限定されているようなの。



 ……つか、ワタシ例外(イレギュラー)だよね?


男の娘って思われてるよね?


そのへんはいーんかよって、つっこみはどうなの?



 ン?天使様は性別がない?


うん、それは聞いたね。


であるからして両性具有(アンドロギュヌス)であるワタシは、天使の御使いであると?


天使には性別が無い?うん、それも聞いたよね。


だから、ワタシは神聖な存在である証拠だと?


うん、大分ヤバいね。それ逝っちゃってる人特有の論理だね、ブイ!



 なんか、聞いてるとなんとも教会に都合の良い解釈だね?


なんとしても、魔法という奇跡に教会という特許をこじ付けたい気持ちが溢れてるね。


ま、いいけど。



 何?かつて聖女が人との子をなしたという記載がある?


聖女が生んだという記載があるものと、ないものがある。


教会は結婚を禁じてはいないが、推奨してもいない。


ふむふむ、歴代の聖女にも番い合う相手がいて、それは男性、女性共に存在したと?



 また、よくわかんない話ね。


つまりそれ男だろうが女だろうが便利だから、聖女様扱いしてただけちゃうんかと。


実際、女装しただけのオトコも含まれてたんちゃうんかと。



 え、つまり聖女とは両性具有の天使を模した者達であると解釈するって。


または、聖女としての役割を終えた後、男性化または女性化して天使から人間に還るのだ?



 いや、もうそれ男も女も関係ないやん?!


便利に使い捨てたら、ようやく偶像扱いから実在の人間扱いに戻してくれるだけでしょう?


利用価値無くなったら好きにしな、ああ?お前男なのかよ?


ケっ、じゃぁ女と番い合ってってガキでも生ませろや、あとはテキトーに取り繕っとくからさー。


はい、お疲れー、みんなかいさーん、みたいな……



 はぁあん?


んだ、それは?


つまりはアレか?


お前は選ばれてる、ゆえに使命を果たせってか?!


そこっ、全力でうなづくなっ!


そんな便利に人をつかってんじゃねーっ!!



 ちょっとお兄ちゃん、もうヤダーっ。


ワタシはお兄ちゃんに養ってもらってー。


ダラダラべたべたイチャイチャしたいだけなのーっ!!

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