第2章-6 嫉妬ですけど
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「おいセーラ!お前ルール破ったんだからな。
まずゴメンなさいからだぞ」
「だってお芋が、傷んでるなんて知らなかったんだモン。
プンプンっ」
はぁーああああああっ……
セーラ、うっっっぜっえええええいっーーー!
もうマジなんなのっアイツ、どんだけお兄ちゃんに迷惑かければ気が済むのよっ?!
構ってちゃんにも程があるでしょーがよっ!
お兄ちゃんは炊き出し場から教会の裏手に下手人を引っ張って行き、粗忽者に説教かましていた。
それを物陰に隠れて伺うワタシ。
ああっ、二人っきりでお兄ちゃんから愛の説教部屋とかどんたけご褒美なのよっ、羨ましい。
だいたいさー、いっつもいっつもワタシにも構ってきてさー、お姫様みたいな綺麗な髪ね、とか。
貴女の笑顔は天使そのものね、とか。
私、子供の頃着せ替えお人形が欲しく堪らなかったの、一生のお願いだから、着せ替えごっこさせてー、お姫様に使えるメイドごっこさせてー、とか。
歯が浮くどころか、歯が抜けるような甘い言葉囁いてさー、顔が赤くなるから止めろっつーの!
所詮はハブられ陰キャですから、すぐに惚れてまうやろーがーっ、ちったあ自重しろ!
あとあと、うひひっ?!これでオトコの娘とか尊すぎるでしょジュルリ、とか貞操の危機を感じる背筋が寒くなるようなことブツブツ呟くし、怖いっつーのっ!
はっ?!
ヤバい!
アイツ間違いなく陽キャだ?!
絶対パリピだぞ!
日頃のおバカさ加減に騙されてたけど、人生勝ち組グループだ。
にゃろう、ワタシとしたことが油断しちまったぜ……
陽キャ共め、すぐにワタシのような日陰者にも魅了使ってくるんだから、危ない危ない。
ふっ、まーあれだね?
まあ?ワタシのような訓練されたコミュ障には?
そんな安い手なんか通じないんだけどねっ、ふんっ。
あんな、色々あるけど私元気です風前向きビッチなんかにお兄ちゃんを奪られてたまるか!
それは、ふと目を離した隙のこと。
ワタシが勝ち組陽キャラの固有スキル魅了に、耐火してる間に事件は起こっていた。
「アルちゃん(人´∀`)アリガトー♪
だから好き。
ハグしてあげるね」
な、な、な、なななナナナっ何してんのよっーー!
ちょっとくっ付き過ぎでしょ?
お兄ちゃんにハグはワタシのものでしょ?
何が俺赤くしてんのっ、お兄ちゃんのバカ!
何でちょっと前屈みなの?!
所詮は乳か……おっぱいがそんなに大事なのかっ?!
あんなものは飾りです!
男の人にはそれがわからんのですっ。
反応?!反応してるのっ!エレクトなのっ?!
キーっ、くやぢぃいいいーっ!!
だいたいその最終兵器は卑怯でしょ!
ぶるんぶるん放り出してんじゃないわよっ、品がないわねっ!
垂れ乳巨乳がナンボのもんじゃいっ。
クソっ、こちとらなー。
小ちゃな頃から小ちゃくて、15でA Aカップだよーって感じだよ。
文句あっか?!
ああ、でも気持ち良いのよねー、セーラのハグ。
なんか、癒されるってーか、お母さんって感じ……
……お母さんに抱きしめてもらったこと……ないしな。
はぁ〜……今はまだ仕方ないのかな?
ワタシ、いまんとこ両性るいだし……
おっぱいがほしー。
くっ、セーラ、恐ろしい子。
絶対負けないんだからっ!
こうしてワタシは、ハッキリとセーラを不倶戴天の敵だと認識した。




