第2章-5 チートですけど
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「リア、あまり無理するなよ。
足りない分は俺が運ぶからな」
「大丈夫。
私結構力持ちなんだよ、お兄ちゃん」
うおおおおおぉっ……おうぇっ。
ムリ、ムリ、ムリ、むり、無理!!!
こんなん重いとか、先言うといてえーやぁ。
もうこんなんあかんやん?
女の子として、色々見せちゃダメなもの駄々洩れやんっ?!
もうお兄ちゃんこっち見んといてー。
え?ワタシ鼻水垂れてないよね?ね?大丈夫だよね?!
お兄ちゃんとの早朝デートに興奮したワタシは、ついつい調子に乗ってしまって、ええかっこしいやってもうたんですわ。
うん、でも反省はしていない、ワタシはやり切った。
ワタシに重い水瓶持たせたねっ?!
箸より重いものなんか持ったことないのに!
……おかしい、こんなの絶対おかしいよ。
ここは異世界でしょう?
ワタシにチートが無いとか、絶対おかしいじゃんっ!
お兄ちゃんのチートにはブースト掛かってるのに、妹のワタシが雑魚キャラとか理不尽じゃん!
もうヤダーぁ、お兄ちゃんなんとかしぃーてーぇ。
だいたいここの場面はさー。
『へぇ、リアこんな重い水瓶運べるなんて、君はなんて素晴らしいんだっ!
僕の女神さまだっ、結婚してくれ、ブチューッ』
的な流れじゃないのっ?
オイ、コラ、神様もっぺんやり直しじゃー。
チートキャラ引けるまでリセマラさせろー。
金返せコラーっ、ボケーツ!
神様に悪態ついてたとき、ふと直感がひらめいた。
まるでお前の脳に直接響くのだっ!的なノリで。
『スキル 身体強化 発動』
おおうっ、何これ、身体軽くなったよ?
お、おおおおおおおおおおっ。
キタコレーーーーーーーーーーーっ!!!
やっぱ、やっぱ、異世界生活最高じゃんっ!
神様ありがとう、毎晩これから気が向いた時だけは感謝のお祈りささげるね!
ワタシは人生で初めて神様に感謝を捧げた。
そんな敬虔なワタシの信仰心をないがしろにする、不届き者達の声が聞こえた。
「きゃあ!誰かーっ!!
おじさんが、倒れたのっ!!
ちょっとっ!このジャガイモ切ったの誰よっ!」
ちょっ、モブキャラども五月蠅い。
いま忙しいの、ワタシは!
まだ人が感動にひたってるでしょーがっ!
「あれ?
さっきまでセーラさまが調理場入ってたんじゃなかった?」
はぁーっ、もうセーラのやつバカなの?ねぇばかなのっ?!
またお兄ちゃんが忙しくなっちゃうでしょーがーっ!
もうこうなったらワタシが何とかするっ。
お兄ちゃんとの安らぎタイムを邪魔させたりないんだからっ!
モブのおっちゃんのー、『痛いのイタいの飛んでゆけーっ!』
本日ニ度目の直感。
これって霊感?
てっどうでもいい感?
『スキル 癒しの手 発動』
そうしておっちゃんのお腹に触れたワタシの手からは、暖かな光がほのかにあふれた出した。
うーん、今ワタシ、確かに聖女っぽいわ。




