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第2章-3 ついてるんですけど

13


 ねぇ、ちょっと聞いて、ワタシついてるの!


なんか両方ついてるのっ!!


一体どーゆーことなのよっ?!


もう、何がナンダカわかんにゃいよ、もーヤダー……



 シーナお婆ちゃんが言うにはね。


天使に性別はないんだって。



 つまり、両性具有、半陰陽、言葉は様々だけれど。


天使は人間が無くしまった神聖なものを表しているらしい。



 ワタシが神聖視される理由の一つかもしれないわ。



 なんか、大人になる際にどちらかの性別に寄る場合もあるみたいね。


ワタシの場合は一体どうなっちゃうのかな?



 まあワタシはお兄ちゃんと結婚できれば何でもいいの。


せっかく異世界に来て血縁だとか、世間体だとか無駄なものを捨ててこれたんだし。


だから、何としてもワタシは女の子にならなきゃいけないんだけどね。


間違いなく、今波が来てるんだから。


絶対乗らなきゃ、このビッグウェーブに、だもん。



 どうやらセーラはワタシの事を男の子だと思ってるみたい。


なんか愛おしそうに触ってくるし……。


やぁだぁ、セーラの目が怖ぃよぅ。



 だいたい何なのよ、この慣れ慣れしいオンナ?!


変な性癖とかもってないでしょうねー?



 はっ?!


まさかこの女?!


ワタシのお兄ちゃんのも触ってないでしょうねっ!


くっ、お兄ちゃん!


退いて、その女コロせないっ!!



 もうだいたいさー、距離感が近過ぎるのよ。


コミュ障なめんな!


お前らリア充共のペースでこっち煽んな!


まぁ今はワタシがリア、なんだけどなっ!(どやぁー〜)


 

 もう、ヤダー。


こんな距離感じゃ、好きになっちゃうじゃん……


勝手に友達なんだって、勘違いしちゃうじゃん……



 オマイら、パーソナルスペース守れよ!


どうせ、あれだろ?


ワタシだけが友達だと思って距離詰めたら、



「えっ?

 ただの知り合いなのに距離感近くない?

 迷惑なんですけどー」



 みたいに、登った梯子外す気だろっ?!


ワタシはそーゆーの詳しーいんだ、エヘン!


……だって経験者だし……



 もうヤダよー、怖いよー。


お兄ちゃんたすけてよー、セーラもきっと、



「お前の席、ねぇがらっ!!」



 とか、ゆーんだ、きっと……


もうヤダ……お家かえゆー……かえりたいー。


って言ったって、ワタシどこに帰るんだろ?



 帰る家なんてないのに。


あそこは、ワタシの家なんかじゃなかったし。


もともと、ワタシが居てもいい場所なんてどこにも……



 ああ、駄目だ。


これはダメなやつだ。


このままじゃ、堕ちる、またダメになっちゃう。



「リア、ただいま!」



 お兄ちゃん?!


そうだ、いつだってそうなんだ。



「お帰りなさい、お兄ちゃん!」



 ワタシが駄目になりそうな時。


もう、どうしたらいいかわからなくなった時。


頭の中グチャグチャ、心の中は暴風雨。


そんな時、いつだってお兄ちゃんだけが、ワタシを助けに来てくれるの!



 そう、お兄ちゃんだけが、ワタシの王子様なの。


貴方さえ、いつもそばにいてくれるのならば。


ワタシ、もう他に何もいらないの。

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