第2章-3 ついてるんですけど
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ねぇ、ちょっと聞いて、ワタシついてるの!
なんか両方ついてるのっ!!
一体どーゆーことなのよっ?!
もう、何がナンダカわかんにゃいよ、もーヤダー……
シーナお婆ちゃんが言うにはね。
天使に性別はないんだって。
つまり、両性具有、半陰陽、言葉は様々だけれど。
天使は人間が無くしまった神聖なものを表しているらしい。
ワタシが神聖視される理由の一つかもしれないわ。
なんか、大人になる際にどちらかの性別に寄る場合もあるみたいね。
ワタシの場合は一体どうなっちゃうのかな?
まあワタシはお兄ちゃんと結婚できれば何でもいいの。
せっかく異世界に来て血縁だとか、世間体だとか無駄なものを捨ててこれたんだし。
だから、何としてもワタシは女の子にならなきゃいけないんだけどね。
間違いなく、今波が来てるんだから。
絶対乗らなきゃ、このビッグウェーブに、だもん。
どうやらセーラはワタシの事を男の子だと思ってるみたい。
なんか愛おしそうに触ってくるし……。
やぁだぁ、セーラの目が怖ぃよぅ。
だいたい何なのよ、この慣れ慣れしいオンナ?!
変な性癖とかもってないでしょうねー?
はっ?!
まさかこの女?!
ワタシのお兄ちゃんのも触ってないでしょうねっ!
くっ、お兄ちゃん!
退いて、その女コロせないっ!!
もうだいたいさー、距離感が近過ぎるのよ。
コミュ障なめんな!
お前らリア充共のペースでこっち煽んな!
まぁ今はワタシがリア、なんだけどなっ!(どやぁー〜)
もう、ヤダー。
こんな距離感じゃ、好きになっちゃうじゃん……
勝手に友達なんだって、勘違いしちゃうじゃん……
オマイら、パーソナルスペース守れよ!
どうせ、あれだろ?
ワタシだけが友達だと思って距離詰めたら、
「えっ?
ただの知り合いなのに距離感近くない?
迷惑なんですけどー」
みたいに、登った梯子外す気だろっ?!
ワタシはそーゆーの詳しーいんだ、エヘン!
……だって経験者だし……
もうヤダよー、怖いよー。
お兄ちゃんたすけてよー、セーラもきっと、
「お前の席、ねぇがらっ!!」
とか、ゆーんだ、きっと……
もうヤダ……お家かえゆー……かえりたいー。
って言ったって、ワタシどこに帰るんだろ?
帰る家なんてないのに。
あそこは、ワタシの家なんかじゃなかったし。
もともと、ワタシが居てもいい場所なんてどこにも……
ああ、駄目だ。
これはダメなやつだ。
このままじゃ、堕ちる、またダメになっちゃう。
「リア、ただいま!」
お兄ちゃん?!
そうだ、いつだってそうなんだ。
「お帰りなさい、お兄ちゃん!」
ワタシが駄目になりそうな時。
もう、どうしたらいいかわからなくなった時。
頭の中グチャグチャ、心の中は暴風雨。
そんな時、いつだってお兄ちゃんだけが、ワタシを助けに来てくれるの!
そう、お兄ちゃんだけが、ワタシの王子様なの。
貴方さえ、いつもそばにいてくれるのならば。
ワタシ、もう他に何もいらないの。




