夜たか
「よだかって知っているかい?」
先輩はいつものように話し始める。
「知らないです。でも、名前からすると鳥ですか?タカの仲間とか?」
「ふふっ」
「そんな知らないからって笑わなくても…」
「いやいや、違うんだよ。こーはいくん。君は今からする話しの流れを汲んでいるかの様な事を言うから」
そうだったのか。とは言え、俺には何の事かは分からないが。でも、先輩が楽しそうならいいとしよう。
「今からする話しさ、『よだかの星』という童話さ。とは言え、全てを話すと日が暮れてしまう。まあ、すでに沈みかけてはいるけどね。
ある程度はまとめるが、聞いて欲しい」
先輩はそう言い、話始める。
「よだかは醜い鳥だと、仲間から嫌われていた。
さらには、タカからも『タカ』と言う名を使うな。『市蔵』と名乗れとそう言われもしていた。
そして、周りに嫌われたよだかは故郷を捨て、逃げ去る。
その中で自身は生きていくために自分よりも弱いもの、いつも食べている虫を、その命を奪う事を嫌い、生に絶望し、太陽に向けて飛び立つ。
『焼け死んでも構わない。どうかあなたの元へ連れて行ってください』
だが、よだかはいくら飛んでも太陽に近づく事はない。近づけるわけが無かったんだ。
そこに、それを見ていた太陽が
『よだか、お前は昼の鳥では無いだろう?願いがあるのなら、夜の星に願うといい』
そして、星に願うも叶えてもらえずーーー。
そのまま飛び続けたよだかは青白く燃え、よだかの星になったのさ」
そんな童謡聞いたことが無かった俺はふむふむとら思ったが、
「今日は長かったですね」
「よだかの星の説明が重要だったからね。そして、本題はここからだ」
「本題って、もうよだかの星の話は聞きましたよ?それともまだ続きが?」
「本題は、よだかの新しい呼び名。市蔵ってなに?」
「たしかに…」