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「せんぱい、ホワイトクリスマスってあるじゃないですか」


「クリスマスに雪が降ることよね?」


「ええ、そうです」


今日はなんとなく、俺の方から何か話題を振ろうと思い、ただ頭に浮かんだ事を話し始めた。


「俺って小学生の時は所謂雪国って言われてるところに住んでたんですよ」


「へえ、そうだったの」


「ええ、それでまあ。寒くなれば雪なんて当たり前に降るものですからありがたみなんてあんまり無かったですし。

むしろ、親に雪かきを手伝わされてむしろ嫌なくらいだったんです」


今はもう薄くなった小学生の記憶を辿る。


前住んでいた所に比べて、こっちは過ごしやすくて良い。


降ったとしても積もる事はないから、雪かきをする事は全くと断言して良いほどに無くなった。


「それで、こっちに引っ越してきてからの初めてのクリスマスの事だったんですけど。その日は雪が降っていたんですよ」


「へえ、珍しいわね。この辺りはあんまり降らないものよ。それが、クリスマスの日って言うのはロマンティックね」


「ええ、普通はそうなんでしょうけど。俺は違ったんですよ」


「どう言う意味かしら?」


「さっきも言った通り、俺は元々は雪国生まれなんですよ。それで、クリスマスだろうと、なんの日だろうと、寒ければ雪は当たり前のように降るもんですから…」


今もまだ少し恥ずかしいと思っている記憶を掘り起こす。


「ホワイトクリスマスの意味が分からなかったんですよ…」


「ん?それは、えっと、クリスマスは毎年のように雪が降っていたのよね?こーはいくんの前に住んでいたところでは」


「ええ、はい」


「それは、つまり?」


「毎年、ホワイトクリスマスなんですよ。それが普通だったんですよ」


「……ああ、なるほどね」


先輩はそういう時クスクスと笑い始める。


俺は頬の熱を感じながら、話を続ける。


「いや、だって毎年雪降っていれば有り難みも何も無いですよ?そのせいでテレビで今年はホワイトクリスマスです!とか言う意味もわかりませんでしたし」


「ええ、そうね。そうだものね」


「だって、俺にとってはそれが普通でしたから」


「ええ、ええ。住む場所、育ち方で普通の意味は変わるものね。可愛いけれど、少し深い話ね」


「笑いながら言われても…!」


「こーはいくんは可愛いわねぇ」


「男に可愛いは褒め言葉じゃなきですよ!?」


「私にとっては普通の褒め言葉よ?」

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