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セーブ173 造られた神様

 不思議な乗り心地の夜月に運ばれどのくらい時間が経ったのかはわからない。

が、殺風景だった景色に色がついてきたので結構進んだのだろう。


 地面は枯れ果てた色だったのにいつの間にか透き通るようなパールホワイトになっており、空はどんよりと曇っていたのに美しい白のベールがかかったようにキラキラとしている。


「なあ、憑き神って聞いた感じ悪そうなものなんだろ? こんな綺麗な場所にいるのか?」


 偏見だが、先程の場所の方が憑き神が居そうな気がする。

俺の問いに夜月が笑った。大丈夫と笑った。


「神様って言うのは狡賢いから、普通に考えたらそうだと思う場所とは真逆の場所にいることが多いんだよ。

 あの憑き神はそんなに力はないみたいだし…ほら、ギムがちょっと抵抗しただけでギムを放しちゃうくらいだったからさ? 相当弱っている感じだから頭を使っていると思うんだよねぇ。

もしかしたら、さらに裏をかいてさっきの場所にいるかもしれない。

 でもあの地は神の名を持つ者には居づらい場所なんだよ。境界線だし。人の毒が少なからず回っている場所は神を堕とす可能性が少なからずある。弱っている憑き神なんて一発だろうから、やっぱり保身に走ってこの神様の空間の奥の方に逃げ込んでるんじゃないのかなぁ。」


 ぺらぺらと喋る夜月。

ちょっと引っかかることを言ったなこいつ。


「んっ!? つまりここは神様の空間ってわけ!?

罪人の俺が入って大丈夫なの!?」

「神様は一人二人に執着しないよ。

まあ、ハックはしてるみたいだけどねぇ。」

「天罰とかありそうで怖いな」

「大丈夫さ。ここに居る神様ってのは飾りみたいなものだから。

世界をちゃんと回すために置いておく置物みたいな…。ハックが前に"いなくてはいけないものってのはあるわけで。それを作らないとまず世界は回らない。だから不本意ながら神様をちょこっと造ってみたんだけどね。だめだね。あれは神様じゃない。ただの世界を回す歯車だった。

オレってやっぱ壊すのは得意だけど造るのは向いていないみたいでさぁ。プログラムされたことを淡々とやるつまらないものしか造れなかった"って言ってたし。

 少なくともここにいる神様はプログラムで動いているみたいだから、変な動きをしなければ問題ないんだよ」

「へぇ…」


 そこで、ふと違和感を覚えた。


「…あれ? じゃあ憑き神も元はプログラムされた神様って事か?」


 俺の言葉に、夜月が勘がいいねと笑う。


「憑き神はね、元々は本当の神様だったんだよ。

プログラムじゃない、この世界が自然に生み出した本当の神様。」

「え? どういうことだ?」

「ハックが神様を造る前にいた神様って事。

ハックが完璧な神様を造ってしまったから本来の神様がなりそこないになっちゃって今の憑き神になっちゃったって感じかなぁ」


 つまり、神様が入れ替わったんだよ。なんか神様の間で戦争も起きた見たいけど先代の神たちはやられっぱなしだとかなんとか、と夜月は思い出す様に話してくれる。


 いや、とんでもねえことしてるなハック。自分も神様で神様造って? 何が目的なのかわからな過ぎて困惑する。

 夜月はまあ、とため息交じりに笑い、


「ハックを倒せれば、一件落着ってわけじゃないってことは確かだよ。

ハックが例え死んだとしても、プログラムされたモノは壊れるまで動くだろう? 案外、そっちのが思考しない分怖いかもしれないねぇ」


 と、どこか独り言のように言う。

この世界は俺が思ったよりも面倒なことになっているらしい。


 次ハックに会えた時色々問い詰めるのは確定だが、まずはここからでなければ。

その為にもあの憑き神を探さなくてはならないのだが、会ったところでもなにか起きそうだなと思わず苦笑してしまった。


 まるで、面倒事が起きて当たり前と言う様な思考になりつつある自分に呆れてしまう。

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