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セーブ164 ジョーカーのトランプ占い

 ジョーカーはそれから、色々な占いをやって見せてくれた。

 天気占いから恋愛占い、これから起きること、過去に何があったか、そんな占いと言っていいのか危ういものまでトランプでやって見せてくれたのだ。


「ギムレットさんはこの世界に馴染んでおりゃーせんな。

カトレアさんは黒と白…そーさな、光と闇の力を持ってらっしゃーな?

トトさんは秋のデーモンさんで、カトレアさんと契約なさってーな?

海竜さんは今までおった海竜さんの生まれ変わーさんかな。

空竜さんは随分と一人で過ごしとーますな。

カイさんは少し前までは別の名前でしょーしたな?」


 つらつらとジョーカーの並べる言葉は的確で、どれも当たっていた。

これが占いと言っていいのか、と困惑すれば、ちょっと外れたことを言ったり。


「地下都市の天気は晴れしかありゃーせんが、上の天気は明日は曇りでしょーかね」


 ありがちな天気占いをしてみたり。


「災いも幸も、ギムレットさん次第らしーですなぁ」


 どこかで聞いたようなセリフを言ってきたり。


「四神さんと色々ありましょーが、まあ頑張ってくださーな」


 嫌な未来を占ってくれたり。

一通りやり終えたのか、ジョーカーはトランプをかき集めトントンと揃えた。


「ジョーカーは、なんでそんなにすごいことができるの?」


 空竜は興味津々とばかりに目をキラキラさせてジョーカーの持つトランプとジョーカーを交互に見る。

トトもカイも、感心したようにジョーカーを見ている。


 俺もぶっちゃけかなり驚いている。

 カトレアはぼんやりとトランプを見つめ、飽きてしまったのか海竜を突っついている。相変わらずなのはカトレアくらいだろうか。


「全ては生きた長さと経験でしょーぞ」


 にっこりと笑うジョーカーはどこかふわふわとしていた。

ふわふわ、と言うか本当にここにいるのかわからないと言う感覚に襲われる様な何か。


「どのくらい生き長らえておられるので?」


 トトも興味を持ったらしくひとつ問う。

ジョーカーはそーですなぁと少し考え、


「ジペイさんよりは、A隊の皆さんよりはずっと長く生きてると思ーますが……はて、どのくらい生きたでしょーかね」


 からからと笑う。

かなり長生きなのはわかった。長生きなやつらがここにはわんさかいるなと思いながら、長生きしているなら、ハックのことを知っているのかなとふと思い訪ねてみる。


「ハック、って言う神様のことは知ってるか?」


 俺の問いに、ジョーカーはさて、と首を傾げる。


「残念ながら、ワタシはこの国でしか生きてませーし神様だのなんだのは専門外でーて。

ジペイさんの方がそう言うのには詳しいでしょーぞ。なんせ、Kingでーので」


 チェスの能力は、神から授かった能力と伝わってましょーぞ、とジョーカーは笑う。

 そうか、確かこの国はチェスの能力だのトランプの能力だの、元の世界で言うテーブルゲームの能力が集まっていたのだっけか。


「たしかに、ジペイはハックと色々あったみたいだけども…」

「恨み辛みでここまでのし上がってきたジペイさんは強欲のギムレットさんとわかりあえるのでしょーかね」


 ジョーカーは、ね、と笑う。

こいつ、俺の強欲の罪まで見抜いてやがる、と若干薄ら寒いものを感じる。


「ふむ、ジョーカーとはやはりジョーカーだな。

規格外なやつが出てきたものだ!」


 カイがふんと偉そうに腕を組む。

ジョーカーはトランプに二枚しかなく、ゲームの内容によっては手札に欲しくないものだったりする。

今の俺は、まさにそれだろうか。


「ジョーカーって役割は、時に身内すらも毒しましょーからな。

ワタシは毒を持とうが持たまいが、そーゆんに興味ありゃーせゆからまだいーんですが、もう一人のジョーカーさんには気をつけた方がいーでしょーな」


 ひら、とトランプの中から色のついたジョーカーを引き抜き俺に差し出す。

なんだ、と思いつつ受け取る。


「モノクロのジョーカーは、色に興味を持ちゃーせん。

が、色のついたジョーカーは色を欲しょーがります。

不思議な色を持っとーあなた方は気をつけたほーがいーでしょーぞ」


 こつこつとジョーカーは爪でトランプを突いて笑った。

 つまり、もう一人のジョーカーに気をつけろと言うことだろうか。

ご忠告ありがとうと笑ったところでダイヤの声が聞こえてきた。


「この国は、思ったより拗れているようですね」


 こそっとトトが俺だけに聞こえるように苦笑した。

 そうだな、と返しながら、ラベンダーとの約束の日までに戻れるか少し心配になってきた自分に思わず笑ってしまった。


 そんなほいほいと面倒事が次から次に起こるわけないだろう。


「……や、あるな」


 忘れかけていたが俺は主人公らしい。

 主人公は面倒事を引き寄せる。

 思い出した現実に頭痛を覚えつつ、まあなんとかなるだろと思考を放棄した。

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