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セーブ160 A隊とジョーカーの謎

「いつもこの魔法陣はどう使っておられるので?」

「ジョーカーがなんかすると移動できるゾ!!」


 眠いのに眠れないという状態の中で、トトとダイヤの会話をぼんやりと聞く。

ジョーカー、前も一度聞いた名前。

 そう言えば、ダイヤが撃たれた時スペードを宥めてたモノクロの男がいたな。もしかしたらあいつがジョーカーかもしれない。

どこか余裕そうで、ふわふわしてる男だった。


 特に強そうと言うイメージはなかったが、魔法陣を動かすことができるならそこそこ実力はあるのだろうか?


 うーんと回らない頭でぼんやり考えていると、きゅいと海竜が膝に乗ってきた。

隣に座っているカトレアはいつのまにかこちらに寄りかかるように寝ており、海竜は暇になったのだろう。


「海竜は、水魔法が得意なんだよな」


 小さな前足をちょいちょいといじりながら海竜をあやせば海竜はきゅいきゅいと手にじゃれてくる。猫みたいだな。

 猫と言えばやはりここで、キメラの猫がカトレアに懐いていたなぁ。

あの鳥とかオーガとかはどうなったのだろう。殺されはしないだろうし、保護もされたのだろうけども…都市の様子から暴れてると言う雰囲気はない。

ハートに会えたら聞いてみようか。


「ジョーカー様、とは?」

「ボクらA隊の保護者ゾ!!」


 聞こえてくる会話の中に、ジョーカーと言うやつの人物像が出てくる。

ぼんやり耳を傾けながら、A隊の保護者ってと苦笑する。


「保護者、ですか?」

「そうゾ! ボクらは全員ジョーカーに拾われたゾ!」

「恩人、と言うことでしょうか?」

「そうなるのかゾ?

ボクらA隊はよく家族みたいって言われるゾ!! よくわかんないけど、みんな優しいゾ!」


 ダイヤが楽しげに話すのを笑顔で聞いているトト。

あそこ二人はうまく噛み合う様だ。


トトはなるほどなるほどと頷きながら聞いている。ダイヤはそれが嬉しいのかよく喋る。


「うむ、わからんな」


 いつのまにか俺の頭の上に戻ってきていたカイがダイヤの話を聞いてため息を吐く。

そんな難しいこと言ってないだろ、と声をかければ、カイは違うと叩いてくる。


「あのダイヤとか言う小僧は随分と化け物じみておるのに、人間らしすぎる。

まだ強欲の貴様のが化け物らしい。」

「カイってダイヤの恐ろしいとこ見てないんだよな。

あいつ殴ればなんでも穴開けられるだろうし大量出血してても死にかけてても動き続けようとするぞ?」


 カイのやや失礼な発言にそう返す。

 そう。ダイヤはおかしいのだ。普通ならそうはならんやろ、と言うことを簡単にやってのける。

戦争など起きたら真っ先に死んでそう。


「そう言うのはどうでもよいのだ。

元々は人なのだろうが、人としてはあり得ん瞳にあり得ん体力、オーラを纏っているのに純粋すぎると言う話だ」


 ふんふんと言いながらカイは目の前に飛んでくる。

確かにダイヤは純粋だが、そんなにだろうか?

 簡単に殺すし簡単に鵜呑みにする。ガキっぽい面もあるが無邪気に笑って殺しを楽しむ。

人っぽいか? まあ人としても見れる面もあるにはあるが化け物じみてる面のが多くないか?


「……うむ、貴様は阿呆だな」

「ああ!?」


 いきなり冷めた目で見られて声を上げる。

海竜がきゅいと鳴いたので悪いと頭を撫でる。


「俺様が言っているのは、笑い方だ」

「はあ?」


 カイはほれ、とダイヤを一瞥する。

なんだとダイヤを見れば、楽しげに笑っているダイヤが見える。


「狂気を持つやつや、無邪気なやつもああいう屈託のない笑みを浮かべるがあの小僧の浮かべる笑みはそれとよく似ているが違うのだ」


 カイの言っていることがよくわからず、ぽかんとしていると、カイはため息をつく。


「……まるで、子供の様な笑みを浮かべるという話だ」

「それ言うならソレイユも子供の笑顔浮かべるけど?」

「貴様何もわかっとらんな!?」


 懐かしい名前を出せばカイは呆れ果てた様に俺に頭突きをすると、もう知らんと俺の頭の上に偉そうに座って何も言わなくなった。

なんなんだこいつは。


「やっと追いついたか……いや、疲れるものだな!」


 そこでスペードの声がした。

カイのお陰で睡魔もほとんどなくなったいいタイミングだと思い、スペードに手を振る。


「大丈夫かおっさん」

「このまま寝たい気分だな」


 ぜーぜーと息を切らしながら苦笑するスペードは少々不憫に思えた。

スペードに気づいたらしいダイヤが、満面の笑みで師匠?!と飛びつくのが見えた。

 また腰打ったな、と心の中で合掌しながらこの後どうすればいいのか、そしてジョーカーについても聞いてみようかなとそっと予定を立て出してみる。

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