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翌朝
翌朝、真紀子は寝過ごした。ナオの世話のせいにはしたくないが、仕事の疲れが溜まっている。夕べは付きっきりで、ナオを看病していたのだ。
「ごめんなさい、私のせいで。私は七時に起きていたんだけど、志田さんの部屋の中を勝手に歩くのもと思って、ベッドでじっとしていたんです」
「そんな気を使わなくても。私、こう見えて精神科医だから、心を開いてくれると嬉しいんだけど」
「精神科医! どうりで私を、手厚く看病してくれたのですね」
感動するナオを見て、真紀子は人情心を揺さぶられた。
再び熱を計ってみると、平熱で、ナオの精神も助けた時から平静だったが、陽気が加わっていた。朝食も全て平らげ、問題なし、と真紀子は判断した。しかし、と真紀子は心に呟く。昨日の朝の飛び降り未遂は、精神科医としても、発見者、そしてここまで関わった者としても、見過ごす訳にはいかない。責任を持って聞き出さなければ。真紀子はクリニックに、本日も休む旨を伝え、今日一日を、ナオの飛び降り未遂の経緯、そして下着メーカーで何があったのかを、繊細な彼女を気遣いながら、詳しく聞き出すことにしたのだ。