謎世界
・・)o0(デュエルがしたい。
「だから、絶対トラウマになるのはガスマスクのほうだって!」
「いいや、違うね。絶対天使のほうだ!お前だるまさんが転んだやったことあるか?」
「あるわよ。目つぶし食らわせてひるんでるすきにもう一人がタッチして勝つというのが基本戦法だったわ」
「・・・随分と卑怯な手口だな」
そのほかにも足払いを仕掛けるというものもある。
ただ、目つぶしは外だったり、アスファルトだったりしたら使えなかったりといろいろと条件が厳しい。
それに、足払いを仕掛けるのもかなり難しい。
入門編はやはり照明を落とすところからだろうか。
「まあ、話を戻すが『だーるまさんが、こーろんだ!』って振り返ったらあの天使がいるわけよ!どーだ、めっちゃこええだろ!」
「は?何言ってんのよ。私なんてアルファベットのM聞くだけで泣き出したぐらいだからね」
当然例の言葉を言われたりしたら大泣きである。
そして、泣きながら言った自分の言葉を聞いてまた大泣きになるという無限ループに陥ったこともある。
やっぱりトラウマ対象はガスマスクね。
「まあ、下らん話はさておき」
「そうねバカに付き合っていたら日が沈んじゃうわ」
ちなみに出発してからかれこれ3時間ぐらいたつが、基地から進んだ距離は300メートルだ。
頑張れば普通に基地が見える。
「・・・思ったより進んでないな」
「・・・そうね」
「そろそろ真面目に進もうか」
「・・・・・・そうね」
「で、今日はどれぐらい進んだんだ?」
ケリーがジト目でこっちをにらんでくる。
なので、私は精いっぱいの笑顔を向けた。
美少女スマイルである。
「っ・・・た、たったの2キロだぞ」
お、動揺してる。
次からはこれでいじるとしよう。
「・・・これは明日も全く進みそうにないな」
「失礼ね。明日になったら山狩りしてるわよ」
そろそろタケノコがおいしい季節だし、山中のタケノコを狩るとしますか。
ちょうど魔王の人とか来るみたいだし人手には困らない。
それに、魔王なら一定範囲内にあるタケノコを集める魔法だって覚えているだろう。
「・・・あのな、俺たちは山菜狩りしに行くわけじゃないからな」
チッ。
思考を読みやがったか。
「言っとくが俺も心理的な魔法を多少は扱うことができる。というか、大半の魔法の基礎ぐらいはマスターしたつもりだ。お前の考えなんてお見通しなんだよ」
「へー。んじゃ今私が何考えてるかわかる?」
おいしいごはんおいしいごはんおいしいごはんおいしいごはんおいしいごはんおいしいごはんおいしいごはんおいしいごはんおいしいごはんおいしいごはんおいしいごはんおいしいごはんおいしいごはんおいしいごはんおいしいごはんおいしいごはんおいしいごはんおいしいごはんおいしいごはんおいしいごはんおいしいごはんおいしいごはんおいしいごはんおいしいごはんおいしいごはんおいしいごはんおいしいごはんおいしいごはんおいしいごはんおいしいごはんおいしいごはんおいしいごはんおいしいごはんおいしいごはんおいしいごはんおいしいごはんおいしいごはんおいしいごはんおいしいごはん
「コピペはやめろ!」
「なんでよ、楽でいいじゃない。あ、ちなみに何考えてるか分かった?」
「おいしいごはん」
「大正解。・・・次はもっと難しいものにしましょうか」
「途中から口に出してたぞ。ここで言われたらただのかわいそうな人にしか見えないから自重してくれ」
ちなみにここはおいしいごはんもでてふかふかのベッドでも寝れるという評判の宿屋だ。
あと、亭主はやたらら抜き言葉を多用する。
寝れる、寝れる、寝れる、など。
めっちゃデブでゆるふわヘアである。
超癒し系で、看板娘より看板として機能している。
ちなみに看板娘は近所のキャバ嬢Aさんである。
「ケリー、キャバ嬢ってさこう・・・ボンキュッボンなチャンネーが多いじゃん」
「・・・無理に今風に言わなくてもいいぞ。あと、それはもう言わないらしい」
なんですって!?
記憶の中にあるキャバ嬢の代名詞といえばあれなのだけど・・・。
「世の中の流れというのは早いわね」
「おい、なんかそれ微妙に時代に乗り遅れた近所のおばあちゃんみたいだぞ」
「あー、一世代前にはやったアニメのグッズとかを孫に送ったりする感じの」
「そうそう。・・・って脱線しすぎだろうが!」
なによ。
こういう話のほうが盛り上がっていいじゃない。
「で、どこまで行ったっけ?」
「タケノコのおいしい季節」
「そうそう、そういえばちょっと前に出たこいつなんだけどさ・・・どう見てもタケノコだよな」
「ああ、わかる。でもどっちかっていうと『抹殺せよ』とか言い出しそうじゃない?」
「お、確かに!でさ、次はこいつなんだけども・・・」
「・・・で、結局昨日は俺らそのまま楽しそうに談笑して寝たんだよな」
「ええ、ベッドに入ってから本当は何を話す予定だったのかを思い出したわ」
「俺はベッドに入った瞬間後悔したよ・・・。見た夢もお前と永遠に談笑し続けて、ジョージに怒られるという最悪な夢だったし・・・」
ひそかにわたしはケリー=苦労人キャラ推している。
わたしは天真爛漫系な美少女であるため、それの引き立て役としては苦労人キャラが似合うのだ。
そして、そういう奴はたいてい使用人系なやつであるためそれを機にこいつを便利な給水器兼日除け兼エアコンに・・・。
「てかさ、なんでここって微妙に科学が進んでたり急にレトロな宿屋があったりするの?」
「さあな。科学文明を忌み嫌う人間は割と多い。そういうやつがもしかするとこういう宿屋をやっているのかもな」
「・・・でもここの亭主の娘さんってキャバ嬢なんでしょ?」
「・・・親子間の意見のすれ違いは割とある話だ。昼ドラとかでよくやってるだろ」
「あー、わたしあれ苦手なのよね」
「へー・・・意外だな。てっきり適当に服を脱ぎ散らかした部屋でゲラゲラ笑いながら見てるのかと」
それただのダメ人間じゃない。
ちゃんとした部屋でSFドラマばっかり見てるわよ。
「わたしはSFのほうが好きだし。だから、どろどろな人間関係は苦手なの」
「お前・・・それモテないだろ」
「フッ甘いわね。わたしの知り合いの男をATMとしか思ってないクソ野郎は不思議ちゃんが一番いいと言っていたわ」
「・・・お前もだけどそいつも大概終わってるな」
聞き捨てならないわね。
しかし、今食べてるコーンスープにつけて食べるスナック菓子がやたらうまかったので許すとしよう。
口にものをいれてしゃべるのは行儀悪いしね。
「ごはん中に肘つかないでよね。わたしの品格まで疑われるわ」
「・・・お前は最初牢屋の中で犬食いしてただろうが」
「甘いわ。わたしは結果を重視する。それにあそこで世間体とか気にする必要も特になかったからああしてただけで、ここは公共の場。一般大衆の皆様を不快にしないため最低限のマナーは守るべき義務がわたしたちにはあるわ」
急にわたしに解毒の魔法をかけ始めるケリー。
別に変なもの入ってないっての。
「これは・・・!」
「え?まさか本当に毒盛られてたの・・・?」
「いや・・・単純にお前が頭おかしいだけだったみたいだ」
「なんですって!?」
そんな直接言うなんて随分とデリカシーがないのね。
無デリカシーに非常識、マナーもルールも女心すらもわからない微妙なイケメンとかいじめの対象でしかないのよこの野郎!
「あんたの中学校の同級生だったら絶対朝一で登校してたわ」
「なんでだよ・・・」
「あんたの机に花瓶と遺影と仏壇とお墓の目録置くために決まってるでしょうが!」
「旅行のパンフレットみたいに置くんじゃねえよ!」
・・・今のツッコミは微妙ね。
わたしの多少意味わからないボケに対してうまく対処しきれてない証拠ね。
ちょっと小ばかにした顔しておきましょうか。
「あのな・・・正直それかわいいだけだぞ」
「・・・キモ」
素で引いたわ。
今のはネタとかじゃなくてガチで引いたわ。
こいつ本当に変態だわ。
とりあえず、距離を取りましょう。
「いい?今日一日わたしの半径2メートル以内に近寄ったらえーとえーと・・・めっちゃ口にできないような恥ずかしいあなたの秘密を大声でばらすわ」
「へーそれは大変だな」
「な・・・!?本当に恥ずかしいことよ!?中二病思い出して枕に頭ごんごんなすりつけてそのあとすりすりする感じの比じゃないぐらい恥ずかしいやつだし!」
「ほう、それは楽しみだな。例えばどんなことなんだ?」
・・・今更ノリで言いましたすいませんなんて言えるはずもない。
ならば、ここはあれだ。
今こそスクリュードライバーを使うとき!
「ケリー、あれ!」
「ん?お、珍しいな」
エテラーレから聞いた話の一つにこんな話が合った。
ある時とある国の王子が、その辺にいる女の子と恋をした。
で、二人は結婚を誓うものの周りは猛反対、そんな二人は周囲の反対に耐え切れず夜逃げをした。
そして、二人っきりの夜があけ、朝になるとそこには一面の雪景色だったという。
ちなみにこれは実際の雪ではない。
このドライバー、実はプロジェクターとしても使える。
使い方は単純でプロジェクターソフトウェアを選択した後は上下に振って、それっぽい決め台詞を言ったらつく仕組みだ。
もちろんスイッチを押すだけでいいのだが、それだけだとつまらないのでいつもは決め台詞とカッコいい事前動作もある。
今回はちょっといろいろ忙しかったので簡略化した方式を取ったわけだ。
「・・・ただ、全く寒くないし感知魔法に雪なんてふってないと出たからこれはお前がやったことなんだろ?」
「バ、ばれた?」
「そう簡単にだませると思ったのか?」
「い、いやー・・・あ、アハハハハー・・・・・・お会計よろしく!」
それはもうすごい速さで逃げました。