開けられたのは禁断の扉
エタるとでも?
さて、例の物置を探さなくてはならないのだけれども・・・。
その前にまずは服を買わなくては。あと、顎を自然にひっこめれる練習もしないと。
「んー・・・これはないわ」
その辺にあった店を片っ端から漁っているもののなかなかいいものがない。
若干前の私の趣味が残っているのだろう。それと今の私の体型は明らかに違いすぎる。
「いっそV系でいこうかな」
あー、でもなんかこう・・・痛々しくないだろうか?
そういうのさ、街中で見たらなんか「うわっ・・・なんだこいつ・・・」ってなるじゃん?しかも、目の前にあるの若干ゴスロリ調だから余計に・・・。
でも合わせたらいい感じそうなんだけど・・・んー、でもかなり勇気が・・・。
あー、やべこれ人生最大の選択肢だわ。
左に曲がったら住んでた惑星がエイリアンに侵略されたときのと同じぐらい重要な選択肢だわ。
しかし、普通の白のカットソーに例のスカートを合わせてみると意外といい感じだった。
これいいじゃん。
これはあれだな。案ずるより産むがやすしとかいうあれだわ。
にしてもこの言葉いいよね。こうなんて言うか・・・希望に満ち溢れているし。いまここで「キラキラー」って効果音ついたから。絶対ついたから。
で、この言葉覚えた場所が前いたところなんだけど。
本当前いたところはいろいろ意味不明だったり言動からしてヤバさを発しまくってたやつばっかだったけど、ご飯はうまかったわ。
あー、もう口の中が魚の味になってきた。やっべー、もう魚の味しかしないわ、あのショーなんたらとかいう黒い液体の味しかしなくなってきたわ。
もうなんか会計の人が魚に見えてきたし。超うまそうじゃん。
「18790クレジットになります」
やっべー、魚が笑ってやがる。
えーと、18790は・・・っと。
・・・あ、金ない。
どうしよ。今まで服は例の物置の中の衣裳部屋で用意してたし。いや、だから服に金払う必要なかったんだよね。前の服とかもなんだかんだで魔法使いどもが用意してくれてたし。
あ、でも何着か途中で買ったか。
「ミゼルー、金くれ」
「・・・お金・・・なかったんですね。・・・いくらですか?」
あの屋敷から逃げ出した後、若干ミゼルの目が冷たくなってきている。
こう・・・残念な人を見るみたいな?
残念な人といえば、残念な人代表の例の人は例の屋敷を盛大に爆発していた。どこまでも物騒な奴だよね。ほんと思考が短絡的で残念すぎるよ。
「18790クレジット」
支払いはミゼルに任せた。
いや、だって他人の金だし、払うのは持ち主がやるべきだし。
・・・ま、めんどいんだけなんだけど。
「・・・?」
不意にこの場所とは明らかに浮いた存在に気が付く。
この場所は科学的に進んだ街で、ああいう中世に生きているような恰好のやつは浮いている。
・・・あ、逃げた。
追いかけるべきか、それとも・・・。
ま、ミゼルのほうはなんとかなるでしょ。発信機つけてるし。
中世野郎はそのまま路地裏に入っていった。
・・・こうしてみると路地裏も案外中世っぽいのね。
「魔法文明と科学文明がうまいこと分かれている?・・・それにしては・・・」
違和感がある。
・・・調べてみるか。
「やっぱり・・・こことここの境目で分子構造自体が違う。触感は・・・大して変わらないけれど・・・。いったいどうなってんのよ」
片方は『ここ』に来てからよく見る物質。もう片方、つまり中世風の建物のほうは『以前』よく見た物質。
なんでこんなのがここにあんのよ。
「可能性として思い当たるのは・・・魔法文明がここにやってくる過程で巻き込まれた?」
『以前』いた場所にあったこの物質は『ここ』には存在しない。
それに『ここ』に来るのは並大抵のことでは不可能、それこそ星一つでも爆破しない限りは。
ただ、解析結果からしてこの物質は明らかに中世、それこそ13世紀とかそのあたり。
その時代に惑星一つを吹き飛ばせて、なおかつそのエネルギーを使用できるような技術があるとは思えない。
「いずれにしろ、あの中世野郎となにか関係はありそうね」
とりあえずあいつを追いかけないと。
・・・一方そのころ。
「・・・いない!!ロズミアさんがいない!!」
置き去りにされた人が一人いた。
ちなみに置き去りにした当の本人は覚えていなかったと供述しており・・・。
「今度は宇宙船・・・一気に科学文明っぽくなったわね」
ただし、構成されている物質はやはり『以前』のもの。
どれも『ここ』にあるものではない。
それに・・・。
「生体認識偽造装置、それも・・・あー、さすがにいつ作られたかはわからないか」
損傷がひどすぎて、かろうじて動いている・・・といった感じか。
だいたい5000年代の代物なのはわかるけど・・・。
「・・・さっきの中世野郎はパーツ調達係ってわけか」
『ここ』にあるものすべては『以前』のものとは共存できない。
だから、さっきの壁も不自然にくっついていた・・・いや、くっついていたように見せかけていただけか。
だけど『ここ』と『以前』、どちらにも存在しているものが一つある。それが・・・
「生物。この場合は人間の神経や眼球、腕に骨や足、果ては髪の毛まで使ってここにある機会をつぎはぎしている・・・。確かにこれだけの『材料』を調達できる場所が目と鼻の先にあればそこを使う。だが・・・それは人殺しというものになっちゃうんだけどそこのところどうなの?」
「・・・・・・」
「いつからそこにいた?それで目的は?」
「・・・・・・」
答える気はないと。
見た目は中世の人間だけど・・・例の偽造装置があるから中身がどんな怪物なのかわかったもんじゃない。
「あなたの使っている偽造装置は生体構造そのものを作り変える。なんなら、爪の先から頭をはやすことだって可能なぐらい。・・・正体を明かしたらどうなの?」
「・・・・・・」
「正直言って、だんまりというのはあまりおすすめできないのよねー。だってわたし短気だし」
何者かわからない以上、うかつに手を出すことはできない。
だけど、今やつは生体偽造装置のおかげでただの人間・・・これなら麻痺させて無力化させることもできる。
「見たところあなたの生まれは50世紀ってところ・・・それならこいつが何かわかるでしょ?」
『・・・・・レーザードライバー。殺傷能力ノ高イ極メテ危険ナ武器ダ』
「ご名答、それなら次にわたしはどうするでしょう?」
『死ヌ』
「・・・あー、それは残念だけど不正解なのよね。正解はあなたを行動不能にさせる!」
すかさず、ドライバーで麻痺させる。
・・・あれ?
「えーと・・・どうして麻痺しないの?」
『オ前ヲ殺ス』
「・・・なるほどそういういこと」
宇宙船と同様に自分たちの体も限界を迎えていた。
だから宇宙船と同様に修理した。だから、表向きは人間の形をかたどっている。
もともと人型だったことが幸いしたのだろう。
「火力発電ね・・・やってることはずいぶんと原始的なのね」
『オ前ヲ殺ス』
「そのセリフは聞き飽きたのよ」
今度は炉に干渉して、一種の暴走状態にする。
「あなたの炉は火力発電のための炉。おそらく燃料は人間かなんかなんでしょうけど・・・まあ、それは置いておいても燃えていることに変わりはない。けれど、当然外側に燃え広がらないように何らかの防護策がとられているんでしょうけど・・・ま、もうここまで言ったらわかったでしょ?」
『・・・・・・オ前・・・ヲ・・・』
機械人形は燃えて崩れ落ちる。
・・・よく見たらひじから先はサーベルになっている。戦闘員、というわけか。
「外皮もシステムの一部と認識させていたのが仇となったわね。そこまで破損してしまったらあなたの頭脳はシャットダウンを命じるでしょうよ。・・・ていうか、送信してるし」
最後の最後にわたしのことをメインコンピューターに送信したとかどんだけしぶといのよ。
まあ、そのただでは転ばないっていう精神は嫌いじゃないけど。
「機械のくせに暑苦しいやつ」




