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Rosmiua Fellnerd Phonebrayne  作者: U.O.T.E
エンジェルブレス
20/25

天使の終幕、そして再生

 「携帯電話を通じて人々がつながっているというのはさっき話したっけ・・・?」



 「ク、クラリスさん!喋っちゃダメです!」



 あれにはそれを使って人々に拒絶の意思を示すように仕向けるプログラムが入っている。

 おそらくだが、祝福で力が増すなら拒絶で逆に力は衰える。

 それも何億という拒絶を一度に受けたならば一気に力を奪うことができるだろう。

 そして、弱った天使をケリーが倒す。



 「天使が・・・」



 「・・・やったのねあいつ」



 しかし、短いようで長かったなー・・・。

 いざ死ぬとなると寂しいような充実しているような・・・不思議な気分だ。

 だけども恐怖はない。



 ・・・あとはケリー、あんたがこの世の中を平和で素晴らしい・・・誰もが幸福な世界にできると信じている。

 多少乱暴なところはあるけれども、結局あんたはいつも私を助けてくれた。

 その点ではヒーローって呼んでもいいのかもね。

 


 体の力が急激に抜けていく。

 瞼を開けている力さえもないぐらいだ。



 「・・・リス・・・ん!クラリ・・・さ・・・!」



 目の前でミゼルが私の名前を叫んでいるのだろう。

 だけども、それも途切れ途切れにしか聞こえない。

 ・・・それにしても私の死にざまってすごいカッコいいじゃない?

 人をかばって死ねるとか・・・無駄死によりずっといい。

 そうしたこともあって、いま私は充実した幸福感に包まれているのだろう。



 さて、時間も来たよう・・・え?



 『彼女がやってくる』



 誰?テレパシー・・・?

 いや、違う。この声には聞き覚えがある。

 ちょうどパーティ会場の、メタルヒューマンと戦った後の・・・。

 そう、時計だ。あのへんな時計の声だ・



 『彼女がやってくる』



 彼女って誰よ。

 最後なんだから全部答えなさいよ。

 なんかこの時計は全部知ってるっぽいし。



 『彼女はお前。だが、お前は彼女ではない。似ているが、異なるものだ』



 意味わかんない。

 もっとわかりやすく言いなさいよ。



 『開けろ。今こそ知るときだ』



 開けろって・・・この時計を?

 死ぬ間際の人間に随分ひどいこと言うのね。

 ・・・まあ、この際だから知りたいというのもあるし。



 私は最後の力を振り絞って、時計に手を伸ばす。

 だが、うまく力が入らず落としてしまう。

 音からして、転がって行ってしまったようだ。

 残念だなあ・・・最後ぐらい自分が誰なのかを知っておきたかった。



 ふいに体に力が入る。

 目を開けてみると、時計が開いている。おそらく、落ちた衝撃であいたのだろう。

 時計の内側に何か書いている。丸を重ねたような一見すると図形のようなものだが・・・私には文字として読めた。



 『時計の針は1つ進む。鎮魂歌は終わりをつげ、新たな祝福の歌が歌われる』



 以前なら意味が分からなかった言葉だろう。

 だが、今ならどういう意味か分かる。・・・なぜならすべてを思い出したから。

 私の記憶を取り戻そうと躍起になって探していたけれどもまさかこんな近くにあるとは・・・。近すぎて逆に気付かなかった。



 「クラ・・・リスさん?」



 「・・・ミゼル。離れててちょっと危ないから」



 「な・・・何を・・・?」



 いま私は死のうとしている。

 ならば、次に来ることは・・・。



 「何って・・・再生よ」



 全身の細胞が活性化しているのがわかる。

 これが鎮魂歌の終わり。



 「再生・・・?」



 「・・・ケリーには私は天使との戦いの余波で森に落下したと伝えておいて。そして、今からくる『彼女』は別人。わかった?」



 「は、はい・・・」



 かなり困惑しているようだが、なんとか承諾してくれた。

 これで、私も喜んで役目を果たせる。



 「|Andiamo(さあ、いこう)・・・」



 手から命が芽吹いていく。

 顔や足、腕・・・全身の細胞が新たな祝福の歌の前奏に心を震わせている。



 さあ、歌いましょう。

 わたしはそんなあなたたちに華麗な踊りを披露してあげる。





























 「・・・・・・っっっ!!!・・・ほっ」



 なんとか再生が終わった。

 今度は・・・なんか服がきつい。



 「おお・・・おおおおおおお!!背が伸びてる!!」



 以前はちんまりとしていたが、今回はかなりのナイスバディだ。

 うん、いい感じいい感じ。



 「声も結構ハスキーじゃない。あーあーあー」



 髪は逆に短くなったようだ。

 以前は結構腰のあたりまであって長かったが、今は肩のあたりだ。

 足は・・・おお、なっが!



 「なにこれ、足なっが!化け物じゃん!」



 腕もいい感じに長い。

 胸も・・・おお、いい感じにある。



 「鏡ある?」



 体はいい感じだ。

 今度は肝心の顔だ。これで以前のような童顔だったら泣く。

 こんないい体しといて童顔とか意味わかんない。



 「え、ええ・・・」



 「よし、よこせ」



 鏡を見てみると・・・すっげー。



 「あー、でも眉毛がいまいち・・・もうちょっと切っておく必要があるわね。これ太すぎ・・・って一重!?なんでよ!なんで一重なのよ!」



 ああ、もう!

 目のあたりが不自然になっちゃうじゃない!



 「こうなったら気合で二重にする練習しないと・・・ふんっ!ふんっ!!」



 何とか二重にはできた・・・けど、めっちゃ顔がつかれるし変顔してるようにしか見えない。

 ・・・顎なんかでっぱってない?



 「ああ、顎も出っ張ってる!んぉーんぅー」



 やっぱり変顔してるようにしか見えない。

 ちょっと真面目な顔してみたり笑ってみたりする。

 ・・・顎と目のあたりがめっちゃ気になる。



 「髪型もいまいちねー・・・今回の体は手がかかりそう」



 パーマとかにあうかな?

 あーでも、髪切ってポニーテールもありかも。

 やっぱりこの瞬間が一番悩むなー・・・。



 「あ、あの・・・クラリスさん・・・?」



 「違う違う違う、それは仮の名前なの」



 「じゃ、じゃあ・・・偽名ってことですか?」



 「うん、まあそうなんだけど・・・」



 と、まあ楽しむのはこれぐらいにしといて・・・。

 まず、あの性根の腐った外道をどうするか。



 思えば、記憶喪失になった原因ってあの魔法使いどもが私をいいように利用しようとしたのもあるし。

 科学者のほうはいうほどひどくはない、というか魔法使いはみんな急進的すぎる。

 なんであんな血に飢えてんのやら。

 前の私はよくあんなのに付き合ってられたわね。



 で、こいつも魔法使いなんだよね。

 ただ、こいつは周りの魔法使いとは違う気もする。

 ケリー?あいつはだめだ。もう私を利用することしか頭にないような奴だって。

 私が最初に来た時も利用する気満々な奴らの一員だったし。



 「ねえ、ミゼル」



 「な、なんでしょうか・・・そのー・・・」



 「ロズミアよ。改めてよろしく、それよりここから逃げない?なんかヤバそうな雰囲気じゃん」



 「で、でも天使が・・・」



 「あー、それなら大丈夫。あのドライバーで思念リンクに干渉してズタボロにするだろうから。そうなったらおおもとの天使製造機とかもしばらく使い物にならないはず。で、黒幕は放っておいてもケリーが倒してくれる。これで万々歳じゃない」



 「は、はあ・・・」



 幸いケリーはまだ天使と戦っている。

 でも、まああいつなら送信機にたどり着いて無事天使を壊滅させれるだろう。

 放っておいても大丈夫だ。



 「さ、それより一緒に楽しい旅をしましょう!」



 「楽しい・・・旅?」



 「そう、楽しい旅!くるでしょ?」



 記憶を取り戻せたのはいいが、今度は愛しのタソーヴを探さないといけない。

 それを探す旅で一人とか寂しすぎる。

 できれば、二人でわいわい楽しくやりたい。あ、私を利用するような性根の腐った外道のケリーはパス。



 「・・・えーと」



 「まだ見たことのない世界、そういうのに興味はない?」



 これでたいていの奴は釣れる。

 だいたい未知の世界にみんな興味津々なんだよ。



 「・・・はい」



 「よし、じゃあ行きましょう!ちょうど、天使も倒し終わったみたいだし」



 ケリーが来たら何かと面倒だ。

 その前にさっさと逃げるとしよう。



 「Andiamo(さあ、いこう)!!」




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