表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
Rosmiua Fellnerd Phonebrayne  作者: U.O.T.E
衝突する二つの意思
2/25

本当は暴力あんまり好きじゃないんです。

 「逃げるって・・・!地上に出るんじゃないのか!?」



 「ケリー。エレベーターが閉鎖された以上あそこからはもう地上に出れない。だとしたらほかの出口を探すしかないじゃない」



 私が考えるに、あそこはただの囮だと思われる。

 もう一つ別の出口があるはずだ。

 おそらくはそこが本当の出口だろう。



 「ってわけで、ボスの部屋に案内してくれる?」



 「なんで敵の本拠地に乗り込むような真似を・・・!危険すぎる!」



 「だいたいこういうのはボスの部屋に秘密の隠し通路があるって相場が決まってるのよ」



 「チッ、すきにしてくれ・・・!」



 やはりボスの部屋には鍵がかかっていた。

 それもさっきとは比べようもないほど厳重なやつ。



 「さて・・・どうしようかなーっと・・・お、いいもの持ってるじゃない」



 「ちょ・・・待てよ!まさかそれでドアを吹き飛ばすとか言わないよな!?」



 「あら、あたりよ」



 見つけたのは小型の爆弾。

 俗にいうC4ってやつだ。

 ていうか、表にでっかくC4って書いてあるし。



 「どこでこんなの拾ってきたの?」



 「さっき気絶してた警備兵の一人から奪ってきたんだ。万が一の脅し程度には使えると思ったけど・・・こんなのってないだろ!」



 「あら?壁を爆破するなんて映画っぽくて素敵じゃない」



 「どこがだよ!・・・処刑者って呼ばれてた理由がわかってきた気がするんだが」



 「気のせいよ。私はダンサー。華麗で素敵なダンサーよ」



 セットが終わったらしい。

 一応使い方知ってたのね。



 「うお!?・・・予想以上にすごかったわね」



 「だから言っただろ・・・」



 疲れてきたのか声に覇気がない。

 そりゃあ、あんだけ声を荒げていればつかれるか。

 耳鳴りがするのはきっと爆発のせいだけではないだろう。



 「さて、ボスの部屋はーっと・・・発見!」



 ボスの部屋は見るも無残に吹き飛ばされていたが、鋼鉄の扉だけは無事だった。

 探す手間も省けたしやはり爆弾を使ったのは完璧な作戦だったようだ。



 「なんとなく何を考えていたのかわかる気がするんだが」



 「気のせいよ。さ、今度こそ脱出といきましょうか」





























 「一か月ぶりの地上だー!」



 「ほんと・・・俺も久しぶりに太陽を見た気がするよ」



 記憶の片隅にだが、地上の風景が残っていた。

 それと照らし合わせてみてもこの風景よりは劣っていた気がする。

 ・・・長らく地下にいたせいかもしれないけど。


































 「そういえば、捕らえられる前の記憶がないって言っていたがあれはどういうことなんだ?本当に何も覚えていないのか?」



 「・・・まあ、おぼろげには覚えてるけども・・・ほとんど覚えてないって言ってもおかしくないかな」



 「んじゃ、これも知らないわけか」



 そういって、ケリーは指を鳴らす。

 ・・・私ができないやつだ。



 「・・・あんた手品もできたのね」



 「手品じゃない。魔法さ」



 さっきから魔法魔法って・・・。

 確かに命狙われてそうな感じだったけど、この状況でケリーの妄想話に付き合う気はない。



 「信じてないようだな?まあ、いいさ。とにかく一応説明しておくと・・・」



 長かったのでまとめるとこうなる。




 ・突如異世界から魔法使いがやってきた。

 ・なんか仲良くなった。

 ・科学と魔法が合体した。



 以上だ。

 すごくわかりやすく言うとこうなっている。

 多少語弊があるが、だいたいこんなもんでいいだろ。

 ・・・妄想話にしてはしっかりしすぎているし。



 「そもそも異世界って何よ。さっきも別次元とか言ってたし」



 「そのままの意味だ。並行世界とかパラレルワールドって知ってるか?」



 「前ドラマで見たわ」



 「・・・今のドラマは進んでいるんだな。それと似たような感じだ」



 「へー・・・アップグレードとかされたりしない?」



 「アップグレード?何の話だ?」



 どうやら私の知ってるパラレルワールドと違うみたいね。

 ぶっちゃけ、例のドラマみたいなパラレルワールドだとかなり怖い思いをすることになるので正直別の漢字のパラレルワールドで安心した。



 「とにかく、この俺たちがいる世界をAとするとほかにもBとかCとか・・・無数に世界は存在しているんだ」



 「ちなみにZの次ってAAだったりする?」



 「・・・呼び方はどうでもいい。で、この世界にはもともと魔法なんてものは存在しなかった。魔法や養成なんてものは全部おとぎ話で、ただの空想だとしか思われていなかったんだ」



 数分前のわたしも同じこと考えてたわ。

 ていうか、その頃の人の前で魔法だの別次元だの言ってみなさいよ。

 絶対病院紹介されるか無視されるわよ。もちろん白い眼というおまけ付きで。



 「へー」



 「ちゃんと聞いておかないと後で後悔するぞ。しかし、ある日次元に亀裂が走ったんだ。もともとあった歪みが何らかの要因で開いて、亀裂になったとかいろいろ言われているが、その亀裂が原因で魔法があるBという世界と俺たちが今いるAという世界がつながってしまったんだ」



 なんかそれもテンプレね。

 だいたい本屋でそれ系の本探したら似たような言葉がいっぱい並んでそうだわ。



 「そして、おそらく処刑者と呼ばれているお前はAでもBでもない・・・全く別の世界からやってきたんだ。そもそも、パラレルワールドにも種類があって、とても複雑なんだ。今は急速に研究が進んである程度は分かってきているが、それでもまだまだ謎は深い」



 「それ長くなる?」



 「かなり」



 「んじゃ、また私がまとめるからさっさと説明して」



 ってわけで、まとめるとこうなる。



 ・まず、同じような世界が無数にある1という次元がある。当然、そのほかにも2という次元や3という次元もある。

 ・その次元の中に世界Aや世界Bといったものがあるわけだ。

 ・で、私はこの1という次元の中ではなく、2とか3とかその辺の違う次元から来たらしいとのこと。



 「お前がどうやって次元を超えてきたのかはわからない。だが、記憶喪失になるほどだ。きっと失敗したんだろう」



 「は?私が失敗するわけないじゃない。さっきの脱出だって華麗に成功して見せたわ」



 「たかが一つの施設から脱出するのと次元を超えるのとでは大きく難易度に差がある!一緒にできるお前はどうかしてるよ」



 私がどうかしているですって?

 ・・・なーんかこれ前にも言われたことある気がする。

 ていうか、よく言われていたような。

 たぶん記憶喪失になる前のわたしはそんな失礼な連中とばかり付き合っていたのだろう。

 これからはもっと交友関係に気を配らなければ。



 「で、その異次元の知識を持っている私はこの次元の人たちにとっては大変貴重だと」



 「ああ」



 「異次元人の肉体ってだけで戦争になるほどの研究対象になるから、めっちゃ私は危ないと」



 「そういうことだ」



 ・・・なにそれ。



 「私めっちゃ平和に暮らしたいんだけど。ボーリングとかカラオケとかしたいんだけど」



 「カラオケ・・・?まあ、なにかは分からんがしばらくは逃亡生活が続くだろうな」



 というか、ケリーはなんで冷静なのよ。

 自分の職場を派手に逃げ出して逃亡生活を余儀なくされたにもかかわらず・・・。



 「ねえ、なんでケリーはそんな冷静なの?職場がなくなったのよ?」



 「あ?俺って何て言ったらいいだろ・・・えーと・・・特殊工作員なわけ。処刑者が捕まったから奪還してほしいってことで潜入したんだよ」



 へー。

 ん?ちょっと待って。



 「また私を捕まえる気!?」



 「まーまー、落ち着け。俺たちは協力してほしいだけだ。今、魔術師は科学者たちにいいように利用されているんだ。ってわけで、科学者の切り札ともなりうるお前をこっち側で押さえておきたいってわけ。別に何もしないっての」



 信用できなーい。

 確かに命張ってくれたのは分かるけど、私にはものすごい価値があるらしい。

 ふざけて魅力とかカリスマとか言ってたけど、本当にヤバイ立場にあるらしい。 

 そんな私を利用しないっていう話を信じろというのはいくらなんでも無理があるだろう。



 「まあ、今すぐに信じろとは言わないがとりあえず衣食住を提供するっていう意味で一緒に来てくれないか?」



 ・・・まあ、それなら。

 運動したからおなかも減ってるし。



 「し、仕方ないわね」



 「交渉成立だ。さ、そうと決まったらすぐに行こう」



 「え、ちょっと待って!疲れたから一眠りしてからにしよう!」



 「何言ってんだ。ここはまだやつらの拠点の近くなんだぞ。すぐに見つかるに決まっている」



 んじゃ、なんでこんな場所にいるのよ。

 話すならもっと安全な場所にしなさいよ。



 「さあ、ダダこねてないで早くいくぞ」



























 「やあ、君が処刑者だね。歓迎するよ」



 「だからそんな物騒な奴じゃないっての」



 「・・・おい」



 「いや、気にしたら負けだろ」



 なんかすごいひどいこと言われてる気がするが気にしない。

 私はそんな鬼畜なやつじゃなくて、優雅で華麗な素晴らしい人間だってのに。



 「早速でなんだが、君を軟禁状態にさせてもらう」



 「は!?なんでよ!」



 「お前は狙われているんだ。当然だろ」



 で、私は早速個室に案内された。

 個室といっても尋問部屋みたいな感じだ。

 電気スタンドだけおいてある机がいい味を出している。

 ・・・あ、これドラマで見たことあるわ。



評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ