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Rosmiua Fellnerd Phonebrayne  作者: U.O.T.E
衝突する二つの意思
1/25

最初はだいたいこんなもん。

 ジャンル:SFってあるけど、どっちかっていうとファンタジーだったかも・・・。

 さて。



 いきなりでなんだけどめっちゃ眠い。

 で、めっちゃ腹減った。



 いきなりこんなことを言われて混乱している人もいるだろう。

 しかし、私のほうが混乱したと思う。

 いやだって起きたらいきなり鎖でつながれてたんすけど。

 なんかその間にショッキングなことが起こりすぎていたのか知らないけど記憶もないわけだし。



 「はーらーへったー!めしよーこーせー!」
































 「で、処刑者はどうしているんだ?」



 その昔、とある種族の最後の生き残りである賢者と支配者がいた。

 支配者は賢者と戦い、死んだという。

 賢者は自らの過去に残した罪のために死んだという。

 そうして、その種族は滅びたと思われていたのだが。



 「今は食料を要求しています」



 「・・・相変わらず能天気だな」



 新たに処刑者と呼ばれる生き残りがいたのだ。

 正真正銘これが最後の生き残りなのだろう。

 下手に殺すこともできないし、なによりあの種族はとても厄介だ。



 「とりあえず、死なせるわけにはいかない。少し早いが、飯を与えてやれ」



 「ハッ!」



 当初は処刑者というからとても恐ろしいものだと思っていたが、実際は無害な少女でしかなかった。

 しかし、油断は禁物だ。



 「だが・・・何故あいつは処刑者と呼ばれているんだ・・・?とてもあれが人を殺すものとは思えない」




























 「だー!飯だー!」



 「わかったわかった。そうがっつくな」



 何時間ぶりだろうか知らないけど久しぶりの飯だ。

 最後にここに来る前に食べたのが昼ご飯だったので、一応回数的には朝ごはんということになる。

 しかし、時間的には夜ご飯なのだ。

 つまり、一回分ご飯を抜かれていることになる。

 ぶっちゃけ、マジギレしてもおかしくないレベルだが、非常にご飯がおいしいので何とか我慢できている。

 本当は少しずつ食べて、満腹にしやすくするのがいいだがうますぎて手が止まらない。



 「うめえ!これめっちゃうまい!」



 「あ・・・ああ・・・そうか・・・」



 やっべ、これめっちゃうまい。

 やっぱ私は肉より魚派だわ。

 そして、この薄味風味がいい感じだ。

 ケチャップとかマヨネーズみたいなものは必要ない。

 いるのは塩やワイン、それとバジルぐらいで十分だ。



 「でも、やっぱ蒸し加減がちょっと足りないわね。次回は五割増しで頼むね」



 


























 「・・・それで?もう一か月たつというのにわかったのはあれの好みだけだというのか?」



 「は・・・ハッ!しかし、時間をかけていけば・・・!」



 「バカモノ!・・・処刑者をもっている、しかもそれが最後の生き残りだ分かれば世界中が敵に回るわ!もう時間はないんだ、拷問でも何でもいいから情報を引き出せ!」



 どういうわけかあれには尋問魔法が通じない。

 嘘を言うことができない特殊な結界と徐々に精神をむしばんでいく呪いを刻んだはずなのに、いまだに碌な情報を得られてはいないのだ。

 前者はまだ嘘をつけないというだけだが、後者の呪いは一か月も経っていれば自分の知っていることをひたすらしゃべりだすに決まっている。

 そのあとはただの俳人だが、情報さえ引き出せればもう処刑者など用済みだ。

 処刑者の肉体を巡って戦争でも起きかねないほどなので、むしろさっさと処分したいぐらいだ。



 「わ・・・わかりました・・・」



 「・・・貴様、まさかあれに同情しているのか?」



 「い、いえ!そんなわけでは!」



 「・・・いいか?あれは人間ではないのだ。あれの内臓を見ただろ?明らかに人間とは異なっている。それに魔法を使うこともできないし、最後の生き残りとあっては別の場所からやってきたものだ。種族もちがい、生まれた次元も違う。根本的にあれとは分かり合うことなんてできないんだ!」



 「ぐ・・・わかりました・・・」



 やはり、あれは油断ならない。

 こうしていとも簡単に部下を篭絡しかけていたのだ。

 定期的に担当を変えでもしなければ、あれはとうの昔に逃げ出していただろう。





























 「そろそろ一か月かー・・・」



 いい加減ここのご飯にも飽きてきた。

 ここのご飯はうまい。

 そりゃあ、めっちゃうまいが週ごとに出てくるご飯はすべて同じなのだ。

 それに微妙に私の好みにかすっているのがむかつく。

 毎回改善するように言っているのだが、その一手間さえ実行する気はないらしい。

 私を閉じ込めたやつは私から何か情報を引き出したいらしいがあいにくと何も覚えていないのだ。

 せいぜいわかるのは自分の好みぐらいだろうか。

 特にワインと音楽の好みだけは明確に覚えている。

 ・・・ダンスを忘れてしまったのが非常に残念だけど。



 「なあ」



 「ん?」



 「ここから出たいとか思わないのか?」



 「んー・・・あんまり」



 というか、そんなこと聞いて大丈夫なのだろうか。

 たぶんここの会話とか全部録音されてるし、あとで聞かれたらまずいだろうに。

 まあ、教えてあげようと思わないけど。



 「・・・本当に?」



 「・・・」



 私は黙って監視カメラのほうに視線を向ける。

 下手なことを言ったら何をされるかわからないしね。



 「出たいのか?」



 もうここまで言われたら便乗するしかないか。

 扉を開けたときたまにチラッと銃を持った兵士みたいな人が見えるのが若干怖いけど、まあなんとかなるか。



 「そりゃあ、もちろん」



 「・・・わかった」



 そういって、私の手錠を外す。



 「鍵を盗んだ時点で俺はもう罰せられるんだ。どうせならやるとこまでやってやるさ」



 「どうしてそこまでするの?」



 なんかテンプレみたいな疑問を言ってしまったが、普通に気になったので聞いてしまった。

 案外こういうテンプレ的なセリフとかってスッと出てくるのね。



 「さーてね。かわいそうだったから・・・かな」



 「ふーん」



 かわいそう・・・ねー・・・。

 かなりわがまま言ってたと思うんだけど。



 「よし、外れた。今はちょうど交代時間中なんだ。すぐいくぞ!」



 って言ってもなー。

 ずっと座りっぱなしだったから足しびれてんのよね。



 「なにやってるんだ!」



 「ずっと座りっぱなしだったから足がじーんじーんってなってんのよ!」



 「ああ、もう!!」



 と、ここでお姫様抱っこするのがテンプレなのだろう。

 しかし、私に常識というものは通用しない。



 「いって!足しびれていたんじゃなかったのか!?」



 「今治ったわ」



 「そんなのありかよ・・・!さあ、行くぞ!」




 と、ここでいつも通り警報が鳴る。

 うん、警報の音も大体映画とかで見た感じだ。



 「ああ、最高!」



 「どうしてだよ!バレたんだぞ!・・・まさかこんなに早くバレるなんて・・・!!」



 「いやいや、このスリルがたまらないじゃない!もう、最高よ最高!」





























 「何!?処刑者が逃げ出しただと!?」



 「ハッ!どうやら裏切り者が混じっていたようです」



 「チッ、すぐに捕まえろ!やつに逃げられたら貴様ら全員殺してやる!!」



 「ハッ!」



 クソッ!

 どうしてこうなったんだ!

 今までおとなしくしていたのになぜこんな急に・・・!!



 「おい、魔術師!貴様の結界はどうした!」



 「そ、それが・・・いつの間にか無力化されていまして・・・」



 「なんだと!?」



 だとしたら、逃がしたもののほかにも裏切り者が・・・?

 いや、逃がした裏切り者が魔術師である可能性もある。

 とにかく、まずはその裏切り者を殺さなくては。




























 「おい、魔法は使えるか?」



 「は?何言ってんのよ」



 急に魔法とかこいつ頭おかしいんじゃないの。

 いい年こいて中二病かっての。

 やはり微妙なイケメンは残念系が多いな。

 私が好きだった俳優もこんな感じだった。



 「そうか・・・やはり別次元の・・・」



 なんか妄想の世界に浸り始めたよこいつ。

 ひょっとして中二病とかそういうのもう超えちゃってるわけ?

 うわ、こいつヤバ。

 ちょっと一番逃げ出したほうがいいのってこいつの近くなんじゃ・・・。



 「いたぞ!」



 「捕まえろ!」



 「クソ、逃げるぞ!」



 「わっ、ちょ、ちょっと!」



 いきなり私の腕をつかみ走る・・・えーと、こいつ名前なんて言うんだろ。



 「ねえ、名前なんて言うの?」



 「今このタイミングで聞くか!?」



 「ええ、とても需要なことよ。すっごい重要よ」



 「・・・ハーネイ。ハーネイ・ケリーだ」



 「そ、ケリーね。よろしくケリー」



 変な名前。

 まあ、言ったら落ち込むだろうから言わないけどね。



 「そういうそっちはどうなんだ?ボスは処刑者って呼んでたけど」



 「はあ!?なにその物騒な名前。もっと華麗な名前にしなさいよ。たとえばそう・・・」



 何にしようかしら。

 とりあえず華麗な感じにしたい。

 なんかこう・・・聞いただけで「え!?あの~なの!?キャー!ステキー!」ってなる感じにしたい。

 ってわけで、やっぱりそうなるには音楽とダンスだろう。

 そして、ウェイトレスからワインを受け取り、勝利と自分に酔う!



 最高だ。



 「ダンサーとか、勝者とか」



 「・・・えらくかけ離れているな。本当の名前はなんていうんだ?」



 「知らないわよそんなの」



 「は!?なんでだよ!」



 「だって仕方ないじゃない!気が付いたらあの部屋で鎖につながれてたのよ!?それ以降の記憶は一切なし!大方そっちがひどいことして記憶喪失にでもさせたんでしょうが!」



 「それこそ知らないっての!・・・まあ、多少は荒っぽいことはしたのかもしれないけどな」



 「そら見たことか!謝りなさいよ!こんなにも可憐なわたしを傷つけたことを謝りなさいよ!」



 「なんか、もう同情する気もうせてきたよ!」



 失礼な奴だ。



 「ってか、早く開けてよ!」



 「鍵がかかってるんだよ!」



 「そこはなんか・・・ドライバーかなんかで開けなさいよ!」



 「そんなの無理に決まってるだろ!」



 使えないヒーローね。

 こういうときってあとは華麗に脱出するだけじゃない。

 あ、私がいたらどんな脱出劇も華麗すぎて感動ものになってしまうか。



 「どけて。ちょっとやってみるから!」



 「無理に決まっている!この暗号は100万通りの組み合わせがあって、しかも静脈認証に虹彩認証!まさに鉄壁だよ!」



 んじゃ、なんでそんな扉を選んだのやら。

 てか、もしかしてこれって出口?



 「あ、その静脈認証とかってケリーのでもいける?」



 「そりゃあ・・・一応ここにいる全員のは登録しているが、俺は末端の雑用係に過ぎないからそれほど大きな権限は・・・」



 「いいから、ここに手を押し当てて!」



 無理やり手をつかんでパネルに押し当てる。

 ちなみに背後からはドアを打ち破ろうとしている音が聞こえる。

 あんな雑なつっかえ棒でもなんとか時間は稼げるものなのね。



 「おいおい!どんな手品を使ったんだ!?」



 「この扉を開ける回線は独立していてアクセスできなかったけど、ケリーの個人情報ファイルにはアクセスできたから権限をサブマスタークラスに書き換えておいたのよ」



 「な!?勝手に俺の個人ファイルを見たのか!?」



 「権限を書き換えただけよ。ほかは一切見てないわ。次ここ見て」



 「だからってそんな・・・!」



 「いいから、見る!」



 無理やり頭を認証パネルの前に持ってこさせる。

 てか、サブマスタークラスでないと出れない施設とかって一体何なのよ。



 「よし、開いた!さっさと行くぞ!」



 「開けたのわたしなんだけど」



 「いいから早く!」



 ドアを閉めると再びロックされる。

 これであと十分程度は時間が稼げるだろう。



 「・・・エレベーターホール」



 「言ってなかったか?ここは地下120メートルにあるんだ」



 「窓がないから地下ってことぐらいは分かってたわよ」



 それぐらい見てるっての。

 私が閉じ込められていた部屋はまだしも、通路とかにまで窓がないのはおかしいし。



 「クソッ、ここもパスワードか!」



 「待ってて。すぐ解くから」



 「・・・あ、ああ・・・わかった」



 今度は簡単なものだ。

 しかし、なんでこうも厳重なのかしら。

 しかも、最近とってつけたかのような形跡があるし。

 ところどころ急激に警備を強化したような感じで、なんというか・・・中身がない。

 あくまでパターン数の多いパスワードで時間を稼いだり、権限を極端に上げて時間稼ぎをしたり。

 さっき私がやったように個人ファイルにアクセスして権限を書き換えてしまえば、それも破れてしまう。

 最悪新たに登録するという手もあるし、時間はかかるけど突破することは比較的簡単だった。



 「おやおや、本当に脱出していたとは」



 「ボ、ボス!?」



 ボス、と呼ばれた男はいかにもな感じだった。

 両脇には銃を構えた兵士。

 それにスーツを着て、ところどころにきらびやかなアクセサリーをしている。



 「ほお?処刑者、私の魔法具を気に入ってくれたのかな?」



 「あんたも魔法とか言ってるわけ?部下も部下ならそのボスもボスね」



 「貴様!!」



 「まあまあ・・・待つんだ。処刑者、君は自分の重要性が理解できていない。君の死体一つを巡って戦争が起きるぐらいなんだぞ?まして、それが生きているともあらば血眼になって君を捕らえるだろう」



 「それでこんなに警備が厳重なわけ?」



 「そういうことだ!理解が早くて助かるよ。・・・それとエレベーターは閉鎖したから君はここから逃げることはできない。おとなしくもといた牢獄に戻ってもらおうか。幸い、身動きの自由以外の要望はすべてこなしているんだ。不満はないと思うがね」



 不満がないですって?

 何言ってるのかしらこいつ。



 「私はね、とにかく行動するのが大好きなの。あんたみたいに根暗なインドア派じゃなくて今を時めくアウトドア派なわけ。ってわけで」



 先ほどこっそり拝借していた手投げ弾を取り出す。

 ちなみに爆発するヤバイタイプのじゃなくて、でっかい音とすっごい光が出るやつだ。

 ・・・それなりに余波はすごいらしいけど。



 「逃げるわ」




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