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8 苦戦はこれで最後

 

 ウルフたちは私の様子をうかがっている。

 私のそばにオリーバウルフの死体が転がっているせいだろうか、警戒しているようだ。


 まだ一度に複数の魔物を相手にするのは危険すぎる。てか普通に左腕が痛いし。

 このまま立ち去ってくれないかな……?


 なんて思っても立ち去るわけなく、ウルフたちは1歩ずつだけどゆっくりと近づいてくる。


 いやこれはやばいな。たぶん逃げることも難しい。

 能力値の俊敏値はほとんど変わらないけど私怪我してるし、そんなに走るのは得意じゃない。


 でも早くどうにかしないと、さっきみたいに他の魔物が来るかもしれない。八方ふさがりだ。

 さっき手に入れたスキルの 突進 を試すしかないかな?

 いきなり実践になるけど、なんとかするしかないね。




 私が戦おうとしているのがわかったのか、ファムウルフが低い声を出して唸りだした。

 オリーバウルフ2体が先に、私の方へとゆっくりと近づいてきた。


 私はナイフを正面に構えオリーバウルフの方に向ける。深呼吸をして呼吸を整える。

 よし、大丈夫。倒せるはず!



 オリーバウルフ1体に向かって突進を使う。スキルは使おうと念じることで使えるようだった。

 私の体に力がみなぎってくるのがわかる。私は溜めた力を開放するようにしてオリーバウルフに向かって駆け出す。


 今までの私からは想像できないほどの素早さで走り出した。一瞬にしてウルフまで近づき、勢いそのままナイフを突き刺す。

 一撃にして1体のウルフが絶命した。

 これは強い! 避けられたらちょっとピンチになってたのかもしれないけど、成功したんだし気にしない。


 もう1体のウルフが焦ったように私に咬みつこうとしてくるが、よく見れば思っていたより単調な動きだった。

 私はその攻撃を躱して、隙をみつつ数回切りつけて倒した。

 良かった……なんて一息ついている暇はない。



 ファムウルフが私のことを怒ったような顔で威嚇してきている。

 今にも襲いかかってきそうだけど、仲間が目の前でやられたのを見てまだ警戒しているみたいだ。

 突進は残りMPが少ないせいで後1回しか使えないしなー、使いどころが難しいね。


 ファムウルフがついに痺れを切らしてこちらに襲いかかってきた。

 私はナイフを構えて迎え撃つ。

 牙での咬みつきをナイフを使っていなす。

 あれ?


 再度咬みつかれようとするけど、ナイフであしらう。

 そのまま1度切りつけるがあっさり躱されてしまう。


 私がナイフを外した隙に、脇腹に強烈な体当たりをくらった。

 咬みつきじゃなかっただけマシだけどこれも痛いな……


 ナイフを適当に振り回してけん制する。1発も当たらなかったけどファムウルフが私から距離を取った。

 その隙に私は突進を使って、全身に力を溜める。

 全身の力を開放して一気に近づき、先ほどと同じ様にナイフを突き刺した。


 ナイフは前足に突き刺すことができた。傷をつけたことによって動きが鈍る。

 胴体に当てるつもりだったけど、そこは外してしまった。でも、こうなればもうこっちのものだ。


 背を向け逃げ出そうとしたけど、速度の落ちたファムウルフに簡単に追いつけたのでとどめを刺した。


 危なかった……

 今回勝てたのは運がよかった。1歩間違えてたら死んでいた可能性もあったよ。


 新手が出てくるかもしれないから早く帰らないとね。

 私は痛む体に鞭打って、小走りで街まで駆け抜けた。



 

 街まで到着して、一息つく。

 疲れた。本気で死ぬかと思っちゃったよ。道中出会った魔物は弱い奴らばっかりで助かった。

 おかげで逃げ切ることができた。



 名前:アンナ・キドウ

 職業:高校生

 レベル:3→4

 能力:HP 30/40→8/42

    MP 0/8

    攻撃 15→16

    防御 9→10

    魔力 15

    俊敏 15→16

    運  14→15

 スキル:魔物博士3,ナイフ技術,突進


 ナイフ技術:ナイフの扱いが少し上手くなる



 ステータスを確認するとHPが残り少ない。あれだけ攻撃を食らったら当然か。

 HPがなくなったらいきなり死んでしまうのだろうか? 後、1回でも咬みつかれていたら死んでいたかもしれないけど、それで死ぬとは思えないよなー?

 不思議だ。試したいなんて思わないけどね。


 ファムウルフと戦い始めた際に、突然ナイフさばきが上手になったと思ったらスキルが増えていた。ナイフ技術か。

 どういった条件で増えたのかはわからないけど、なかったら敗れていたことだろう。

 今回は幸運に恵まれすぎていたね。これも日頃の行いがいいおかげでしょ!



 今日は少し早いけど宿に行って休もう。髪も汗と土埃で汚れてベタベタ気持ち悪い。

 体もボロボロだよ。


 さっさとシャワーを浴びて寝よう……




 私はまだまだ弱い。

 Eランクで余裕の森であのざまだ。まあFランクだししょうがないのかもしれないけど……


 もっともっと鍛える必要がある。

 誰にも負けない、勇者にも負けないくらいの強さに。


 もっともっと魔物を倒さないと。

 どんな魔物も一撃で葬れる強さになるために!

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