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4 ちょっと成長。でもまだまだこれから

 

 街は市場が出ていて活気があった。

 雑貨や、色とりどりの果物、美味しそうな匂いのする食べ物が売っている。

 匂いに釣られて思わず手が出そうになってしまう。我慢我慢。お金は大切に使わないとね。



 兵士から貰った袋には金貨5枚、銀貨10枚、銅貨50枚が入っていた。


 銅貨=約100円

 銀貨=約1000円

 金貨=約10000円


 市場で売っていた物から察するに、だいたいこんな感じみたいだ。

 全部で65000円程あることになる。


 あの王様随分とケチったなー。

 たったこれだけじゃ満足に旅なんてできるわけないじゃないか。

 やっぱりまずはお金稼ぐ必要があるみたいだね。




 でもまずは服が欲しいかな。

 いつまでもこのまま高校の制服じゃ恥ずかしいし、さっきから注目されている。

 ちょっと人目が気に障るなー。もうちょっとこの世界になじむ服装を探さないと。


 近くで見つけた手頃そうな服屋に入る。

「こんにちはー? あのー、洋服が欲しいんですけどー」

 私は扉を閉めてから店員さんに聞こえるように少し大きな声を出す。

 返事はどこからも返ってこない。あれ? 留守なのかな?


「はーい、ちょっと待ってねー」

 私が扉を開けて出ようとすると奥の方から女性の声が聞こえた。

「お待たせー! いらっしゃい。あら? あなた珍しいお洋服着てるわね。それでどんなのが欲しいのかしら?」

 奥からきれいなお姉さんが出てきて話しかけきた。

 お姉さんに案内されて、動きやすくてなるべく安い服を探す。


「そうねー、これなんて可愛くていいんじゃない? 可愛いあなたにもぴったり!」

 私は別に可愛さを求めてないんだけどな……


 しかし、その服が街の人が着ていた服に似ていたのでそれを選ぶことにする。

「じゃあこれ下さい。後、今着てる服なんですけど売ることってできませんか?」

 私は一応ダメもとで尋ねてみる。着替えた後は荷物になるだけだし、もう必要もなさそうだしね。


「え、いいの? そんな珍しい服売っちゃうなんて?」

 まあいくら珍しかろうが、今の私にはお金の方が必要だ。

「これは良いわねー。作りもしっかりしているし……。うん、金貨10枚で買うわよ」

 お姉さんが私の来ている制服を触りながら言ってきた。


 まさかこんなに高いなんて! 幸先いいかもね。

 買った服が銀貨3枚だったので、差し引き金貨9枚と銀貨7枚受け取って袋の中にお金を戻す。




 お店の中で買った服に着替えてから外に出た。これで私もこの世界の住人と同じような恰好になれたかな?


 そのまま街の中を歩きギルドを探す。

 魔法があるファンタジー世界なんだ。ギルドなんてのもあるはずだ。


 これでも私はゲームの中ではたくさん勇者してきたんだ。ギルドでお金を稼ぐこともできるはず。

 生活していくためにはある程度稼げるようにもならないとだしね。


 しばらく歩いていると、様々な武器をもった人達が出入りしている建物を見つけた。あそこがギルドっぽいな。



 ギルドといえば酒場みたいな場所だと予想していたけど、意外にきれいで、役所みたいなところだった。

 まあ人がたくさんいたから騒がしいことには変わりないんだけど。

 受付のお姉さんの元へと向かう。


「こんにちは。冒険者ギルドへようこそ。本日はどういったご用件でしょうか?」

 お姉さんが事務的に話しかけてきた。冒険者ギルド? この世界では旅をしている人間は冒険者というのかな?

 とりあえず冒険者に登録すればいいはずだ。

「えっと、冒険者? に登録したいんですけど」


「はい、わかりました。ではまずこのプレートに魔力を込めてください。そうすることによりこれはあなた専用のプレートになり、冒険者として登録されます」

 名刺くらいの大きさのプレートを受け取る。

 魔力の込め方は知らないけど、ステータスを見るのと同じ要領でプレートに対して念じてみる。

 念じることで何とかなりそうな気がした。


 プレートは淡い光を発したがすぐに消えた。Fという文字が浮かび上がっている。なんだろうこれは?

「Fランクみたいですね。はい、これで登録は終わりです。すぐに依頼を受けて行かれますか?」

 プレートをお姉さんに見せると、これで登録が完了したみたいだった。あっという間だね。


 Fか。最初はみんなこのランクなのかな。

 依頼を受けたいけど、その前に武器が欲しい。強い武器があれば簡単に魔物を倒して、私の能力値もぐんぐん上げることができる。

 素手でスライムを殴るわけにもいかないしね。お姉さんには武器を売っているお店の場所を聞いてギルドからは出た。

 なかなか優しいお姉さんだったなー。




 お姉さんに紹介してもらった武器屋へと移動する。

 お店の扉を開けると中には剣や斧、ナイフ、杖……たくさんの武器が並べられていた。これだけあれば私でも使える武器がありそうだね。

 奥にいた筋肉の塊のような店主に話しかける。

 なんで武器屋の店員はゲームの世界でも、この異世界でもこんな筋肉ムキムキなんだろう? 不思議だ。

「すいません、弱くても使いやすくてなるべく強い武器ありませんか?」


「そんな都合のいい武器ないよ、お嬢ちゃん……。そうだな……最低金貨10枚ぐらいしちまう。そんな大金持ってないだろう? そこの棚のナイフなんか誰でも扱えるぞ」

 流石に都合よすぎか。店主に案内された棚に近づいてみる。


 金貨10枚はサイフに痛いなー。さっきの臨時収入がなくなってしまう。

 棚のナイフを眺めていると、店主が近づいてきて1本のナイフをとる。

「これなんかどうだい? 金貨1枚するが、この値段にしちゃ強い武器だとおもうぜ。しかも魔力を込めれば指輪になるから持ち運びも便利だ。お嬢ちゃんにも軽いから扱えるだろう」


 店主からナイフを受け取る。手によく馴染むし軽い。まあナイフの良し悪しなんて私には分からないし、これでいいかな。

「じゃあこれ下さい!」

 金貨を1枚袋から出して店主に渡す。

「これもオマケでやるよ。そんな袋じゃいつかお金落とすし、不用心だぞ」


 そう言って小さなウエストバッグをくれた。おじさん優しいな。顔は厳ついけど。

 ナイフは早速魔力を込めるとすぐに指輪に変わる。私はそれを右手の人差し指にはめた。

「気を付けてきな。お金たまったら、またうちで武器買ってくれよな」

「ありがとうございました! おじさん!」

 私は店主にお礼を言って、武器屋を後にする。



 さてと、武器も手に入れたし魔物を倒しにいこうかなー。

 依頼を受ける前に試しに使ってみたいしね。


 私はピンクスライムのいる草原まで戻って、指輪に魔力を込める。

 指輪は先ほどと同じ様にすぐにナイフに変化して、右手に持っていた。

 すぐ近くにいたピンクスライムを攻撃する。


 おお、10もダメージ与えてるじゃん! あのおじさんの言うとおりなかなかいい武器じゃないか。

 私はそのままもう1度切り付けるとピンクスライムは簡単に倒れた。


 いいね。2回切っただけで倒せちゃったよ。これなら能力値上げるのもあっという間だね。




 それから夕暮れまでピンクスライムを倒し続けた。ブルーは流石にまだ怖かったので近づかないようにした。

 夢中になっていたので軽く100体は倒したと思う。

 途中から1撃で倒せるようになったりもしたし、少しは強くなったんじゃないかな?


 ピンクスライムは死んでしばらく経つと光の粒子のようなものになり、跡形もなく消えた。

 そのせいか辺りには何も残っていない。


 油断して攻撃を何回か受けたがどれもかすり傷だ。多少痛いけどなんてことはない。

 それよりもどれだけ強くなったかのほうが楽しみだった。

 私はステータスを確認する。




 名前:アンナ・キドウ

 職業:高校生

 レベル:1→3

 能力:HP 20/20→28/37

    MP 5/5→7/7

    攻撃 5→12

    防御 3→8

    魔力 7→15

    俊敏 4→13

    運  10→14

 スキル:魔物博士2




 今までの倍強くなっている! まあ元が雑魚だったせいだと思うけどね。

 これでもまだまだ弱いんだろうけど、確実に強くなったことに嬉しさが込みあがってくる。


 明日もこの調子でがんばろっと。

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