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18 変身!

 ひまだなー。

 休もうと思ってたけどテレビもないし、携帯だってもちろんない。

 遊ぶ場所だってないし、この世界の人は不満がたまらないのだろうか。


 魔王がいるし遊んでいる暇なんてないってことなのかな。

 宿でゴロゴロするしかなかったので外に出てきた。


 明日からの冒険の準備をしようかな。

 どのくらいの旅になるかわからないしね。


 まずはマジックアイテムの売っているお店に向かう。

 旅に必須のアイテムが欲しかった。



 お店には様々な腕輪や指輪、巻物などが置いてある。

 前回来たときは店主の口車に乗せられて高い買い物をしてしまった。


 まあ便利なアイテムだったけどさ……

 あの店主には気を付けないとね。


 お目当ての品はすぐに見つかった。

 丸い水晶の形をしており、透き通っていて綺麗なアイテム。

 これは魔力を込めると簡易ハウスになるアイテムだそうだ。

 前回来たときから気になっていたアイテムだ。


 私が買おうとしているのは一番安いやつで、一人用の最低限の機能しか付いていない狭いやつだった。

 それでも金貨10枚する。高いね。


 野宿はちょっと嫌だし、シャワー浴びれないのも辛い。

 このアイテムは絶対に買わないと。


 他にも色々魅力的なアイテムがあるけどお金がない……

 またお金溜めてから来ようね。



 無事に簡易ハウスを買ってお店を出る。

 後は――食糧かな?

 10日分程の食糧を買い、全て腕輪の中に入れておく。


 うーん、準備できちゃったなー。

 地図がないか探したんだけどどこにも売っていなかった。

 まあ無い物は仕方ない。適当に歩こう。


 明日から出発の予定だったけどもう出発するしようかなー。

 さっきから予定がコロコロ変わってるけどしょうがないじゃん。

 暇なんだから。





 ルコールの街から出て、以前ラクスウルフと戦った方向へ向かう。

 草原を抜け森に入ると、早速ウルフたちが集団で出迎えてくる。

 ウルフたちのこと見るのも久しぶりだなー。


 ウルフたちは連携して私に咬みつこうとしてくるが、私は流れるような動作でナイフにより切り倒す。

 今更こんな雑魚を倒しても仕方ないけど、襲ってくるんだからしょうがない。


 しかしこう出会うたびに攻撃されてたんじゃ面倒だ。

 私は少し考えた後、スキルの 擬態 を発動させる。

 手に入れたとき1度しか試していなかったけど、これで魔物の姿になれば襲われないんじゃない?


 私の姿がみるみる変わっていく。

 大きな体に、真っ白な毛並み。あの強敵であったラクスウルフの姿に変わった。


 鏡がないからわからないけど今の私、超かっこいいと思う。


 慣れない4足歩行でゆっくりと森の中を歩いていると、ウルフやホーンラビットに出くわしても全く襲われない。

 むしろ、恐れや憧れの混じった目で見られている気がする。

 やばい。擬態 って超便利スキルだ。最初必要性を疑ってごめんね。


 もしかしてドラゴンとかにも変われるのかと思って試すが、姿は変化しなかった。

 他の人間にも変わることができなかった。どうやら見た事のある魔物限定みたいだ。


 なんだろ、勇者の姿から遠ざかっている気がする……



 4足歩行で歩くことにも慣れ、走っているとラクスウルフと出会った大きな洞窟の前まで到着した。

 試しに周りの魔物の気配を探ってみると、洞窟内にはまだ出会ったことのない魔物がいるみたいだった。


 ラクスウルフの時ほどの大きな気配は感じないので、おそらく雑魚だろう。

 私はそのまま洞窟の中に入る。


 洞窟の中はラクスウルフの大きさでも余裕なくらい広く、下に向かって少し傾斜しているようだった。

 少し薄暗い。発光している石がいくつかあり、それが光源になっているようだった。


 姿を戻さずにそのまま通路を進み始める。

 この姿も気に入ったし、何よりスキルの消費MPが少なくない。大体100消費していた。


 姿を変える魔物によって消費量が違うのだろう。

 前ピンクスライムになった時なんか5も使ってなかったと思うし。



 あ、新しい魔物発見。




 名前:レーズコウモリ

 種族:コウモリ

 レベル:2

 能力:HP 87

    MP 34

    攻撃 56

    防御 34

    魔力 56

    俊敏 43

    運  15

 スキル:夜目,突進


 夜目:暗い所でも見えるようになる




 名前:スミネズミ

 種族:ネズミ

 レベル:3

 能力:HP 120

    MP 20

    攻撃 87

    防御 84

    魔力 21

    俊敏 51

    運  34

 スキル:夜目,呪いの目


 呪いの目:見つめたモノの能力値を下げる。使用中は常にMPを消費する




 ネズミもコウモリも黒い体に赤い瞳、30センチくらいの大きさの魔物だった。

 コウモリは4体天井からぶら下がっており、ネズミは1体私のことをじっと見つめている。


 一応私のステータスを確認するが能力値に変化はない。

 ただ様子を窺っているだけみたいだ。

 森にいた魔物と違って敵意のようなものを感じる。


 通路の真ん中に陣取っており、どうしても避けることが出来そうにない。

 仕方ない、倒すかな。



 3歩ほど近づいたところで、私の体から力が抜けていくのが感じられた。

 ステータスを確認するとHPMP以外の能力値が少しずつ下がっていってた。


 下がった能力って倒せば戻るよね? とにかく早く倒そうか。

 ラクスウルフの姿での初戦闘の開始だ。


 私は一気に加速しネズミたちに近づく。

 近づく際に魔法のツリーバインドを使って、逃げようとするネズミを木の根で拘束した。

 勢いを利用し爪で切りつける。スミネズミは一撃で倒れた。


 レーズコウモリが私の背中目掛けて突進してくる。

 見事な連携で躱し切れず2体の攻撃をくらったけど、大したことはない。

 すぐさまストーンショットを放ち、3体のレーズコウモリを撃ち落とす。


 撃ち漏らした1体にはジャンプして爪で切りかかった。

 躱し切れずに命中し、全ての魔物を倒した。

 ふぅ。こんなものか。


 能力値は元に戻っていたようなので一安心。

 でもこの姿でも襲ってくるのか……ちょっと誤算。

 だからあの時のラクスウルフも洞窟の奥まではいってなかったのかな。



 まあもうしばらくこの姿でいよう。

 ここの魔物もそこまで強くないし、慣れない姿でも十分戦えている。

 それに何より、超かっこいいしね。

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