表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
17/34

16 盗賊団

 さあて、キツネ狩り2日目の開始だ。

 昨日とは違い昼間から草原にもリオフォックスの姿が見える。

 昨日の昼間姿が見えなかったのはたまたまだったみたいだね。


 ん? こっちに向かって1匹走って来てるなー。

 もう少し近づいてきたら切ろうか、と考えているといきなりリオフォックスが後ろに吹き飛んだ。

 またか……


 これはリオフォックスが風魔法のエアーショットを使い、私の魔法反射が弾き返してリオフォックスに命中したため起こった現象だ。

 エアーショットは名前からしておそらく、空気の塊をぶつけるような魔法なのだろう。

 空気は見えないから厄介だろうけど私には関係ない。


 昨日もこんなことが何回か起こったけど、面倒臭いことこの上ない。

 折角私から近づくことなく倒すことができるチャンスなのに、こうなると少し警戒するようになるのだ。


 目の前のリオフォックスはすぐに起き上り、私と一定の距離を保ちながら様子を窺っている。

 ほらね。やっぱり。


 まあ攻撃したと思ったら自分が吹っ飛ばされて、相手が平然と立っているんだ。警戒するのも無理はないね。

 そしてこの時のリオフォックスは結構私の攻撃を躱す。


 昨日はMPがなかったから使えなかったけど今日は魔法で倒すそうかな。


 私はリオフォックスに向けて右手を向ける。

「ソイルスピアー」私は小さく呟くと、リオフォックスの足元から土でできた鋭い槍が出てきて、その体を貫いた。


 この魔法は威力が高く、足元からいきなり出るためなかなか強い。


 別に右手を向ける必要もなければ、魔法を言葉として発する必要もない。ただ念じるだけで魔法は発動するしね。

 でもこっちの方が雰囲気が出るし、かっこいいよね? うん、かっこいい。



 2日目はこれといってハプニングは起こらなかった。もう私は宿でくつろいでいる。

 怪我だってしていないし、もう咬みつかれても前みたいな怪我だって負わないくらい能力値が上がっているみたいだし。

 大量のリオフォックスを倒すことができた。


 後は明日1日、同じことをすれば十分だろう。

 3日間もかけてるんだし報酬にも期待できそうだね。

 そればっかりが楽しみだった。




 3日目の朝、私はいつものようにご飯を食べてから草原まで出てきた。

 昨日に比べて随分とリオフォックスの数が減ったと思う。


 ふーん。ちゃんと私のしている事に意味があるんだなー。

 草原にいる魔物を重点的に倒していく。魔法の扱いにも慣れたものだ。


 お腹が空いたので草原の隅の木陰でお昼休憩をしていると、ルコールとセオルの境目の方でで人間同士が剣を向けあっている姿が見えた。


 私は 迷彩 のスキルを使って周りの景色と同化して休憩しているから、遠くからだと気づかれないと思う。


 もしかしてあれって盗賊なのかな?

 そういえば掲示板にも護衛の依頼があったっけか。

 盗賊3に対して護衛が1人か……大丈夫かな?


 商人のような人は大きなリュックを背負っており、両手にもカバンを抱えて後ろに下がっていた。


 護衛の男はなかなか強そうで、3対1にも関わらず互角に戦っている。

 しかし、盗賊達が魔法を使い始めてから状況は変わった。

 大きな火の玉を飛ばし護衛を追い詰めている。


 あーあ、あのままじゃたぶんやられちゃうな。

 護衛の人も魔物から守る予定だったと思うのに運がないね。

 助けてもいいけどそんな義理もないしなー。


 そんなことを思いつつも私は 迷彩 を解き、立ち上がる。

 私は走って盗賊の元へ走り出した。


 義理はないけど、このままじゃ大して美味しくもないご飯が余計まずくなっちゃう。

 それにずっと同じような魔物と戦ってて飽きてきたところだし。


 大丈夫。能力値はわからないけど、見たところ私よりずっと弱い。

 私、魔法効かないしね。

 人と戦うのは初めてだけど、殺したくはないから加減を気をつけなきゃ。



 盗賊たちの前まで来て、私はナイフをだした。

 「なんだ? お前も邪魔するのか?」

 「リーダー。この女結構美人ですよ。このままさらっちまいましょうよ」

 「ふん、それもいいな。あっちの男はもう動けまい。さっさと女も痛めつけて、荷物と一緒に連れ去るぞ」


 まさに小物盗賊団って感じだな。

 子分の2人が私に切りかかってくるが、それを躱し至近距離からストーンショットを食らわせる。


 命中精度も近くで撃ってしまえばあまり関係ない。

 2人に全弾命中し地面に倒れた。


 リーダーと呼ばれていた人は私に向かって火の玉を飛ばしてくる。

 私は右手を前に伸ばし、火の玉がその手に当たると相手に跳ね返って飛んでいく。


 リーダーは驚いたような表情をし、あわててそれを避ける。

 避けたところで少し近づいてストーンショットを3発ほど撃った。

 全部は当たらなかったが結構な量の石が当たる。

 リーダーも地面に倒れ、起き上がろうとはしない。



 あれ? もう終わりなの?

 初めての対人戦はあっけなく終わってしまった。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ