15 キツネ狩り
ふぅ。結構歩いたなー。
1時間ほど街道を歩いてようやくルコール地域とセオル地域の境目に着いた。
このまま歩き続けるとセオルの街があるみたいだ。
街は後で行くとして、まずはリオフォックスでも探そうかな。
それらしき姿は草原には見えない。
いるのはボールの形をしたスライムだけ。
名前:イエロースライム
種族:スライム
レベル:1
能力:HP 40
MP 20
攻撃 10
防御 5
魔力 20
俊敏 15
運 2
スキル:土魔法1
ん? あれは初めて見るスライムだ。
へースライムのくせに魔法使えるんだ。でも能力が低すぎる。
私に向かってストーンショットを使ってきた。
私が使った時よりも随分と石のサイズが小さい。
たぶん魔力とかの大きさによって飛ばす石のサイズも変わってくるんだね。
もちろん私にぶつかった石は、イエロースライムへと跳ね返っていった。
お返しに私もストーンショットを放とうとするが出ない。
あ、そうだった。今MPがないんだっけか。
薬を使うなんてもったいないので、近づいて倒した。
それにしても……草原にリオフォックスなんていないじゃない。
しかたないから森のほうに行ってみようかな。
草原と同じように、ルコールの森をセオルの森も繋がっているみたいでホーンラビットと何回か出くわした。
倒しつつ森を進んでいると赤茶色のキツネが3匹集まっているところを発見した。
名前:リオフォックス
種族:フォックス
レベル:2
能力:HP 115
MP 54
攻撃 78
防御 64
魔力 67
俊敏 145
運 55
スキル:嗅覚強化,俊敏強化,風魔法1
俊敏強化:俊敏を1.5倍にする。使用中は常にMPを消費する
風魔法1:魔力付与、エアーショット
ふーん。今までに出会った雑魚の魔物に比べると随分と強い。
素早さ特化の魔物ってとこかな?
今までの魔物も大体そうだったけど、それをさらに強くしたって感じだ。
こんなのが大量発生していたらたまったもんじゃないよね。
さっさと倒しますかね。
奴らの内1匹が私に気づいたみたいで、まとめてこちらに向かって猛スピードで近づいてくる。
私はそれをナイフを構えて迎え撃つ。
1匹はそのまま私に向かって咬みつこうとしてくるが、他の2匹は途中で方向を横に変えて木の陰に消えてしまった。
正面は囮か……。私は気にせずに正面の1匹を素早く数回切りつけて倒す。
1匹は後ろから突然出てきて咬みつこうとしてきた。
ギリギリ躱し、無防備になったところをナイフを突き刺した。
後1匹は……? 周りを見渡すがいない。
ふと頭上で聞こえる葉の音が気になって目線を木の上の方へと向けた。
そこには丁度木の枝から飛び降りて、私目掛けて小さな牙を見せるキツネがいた。
なんとか体をひねって躱そうとするが、間に合わず左肩に咬みつかれてしまう。
っ!
すぐに持っていたナイフでキツネを突き刺し、倒すことができた。
咬みつかれた左肩が針で突き刺されたかのように痛い。少し血も出ているようだ。
ウルフに咬みつかれたときはあんまり痛くなかったし、血だって出ていない。
あ、そういえばラクスウルフの爪が掠った時は少し血が出たっけかなー。
そんなどうでもいいことを考えるくらい私は少し焦っていた。
この世界に来て初めてまともに受けた外傷だった。HPも少し減っているがそちらは大したことない。
木陰に腰を下ろして、傷が回復するのを待つことにする。
別に油断していたつもりはないけど、まだまだ私の強さが足りないんだろうか。
リオフォックスをナイフで一度切りつけただけじゃ倒すこともできなかったし。
痛いのは嫌だ。もっともっと能力を上げなきゃだね!
しばらく休んでいると痛みも引いてきて、傷も塞がってきたようだ。
ほんと再生って便利。ずっと手放せなさそうだ。
それからは嗅覚強化を常に使用し、なるべく私が先にキツネを見つけられるように頑張った。
嗅覚強化はMPも消費しないし便利なんだけど、匂いに過敏になりすぎてちょっと扱いづらい。
ちゃんと活用するのはこれが初めてだ。獣臭さがちょっときつい。
森の中で延々とリオフォックスを倒し続けているといつの間にか日が暮れてきた。
今日はこの辺にしておこうかな。
移動にも時間がかかったし、怪我をしたハプニングもあったので思っていたよりは魔物を倒すことができなかった。
まあ後2日間は続けなきゃなんだし、明日から頑張ろう。
セオルの街に行って宿や食堂も探さないとだしね。
帰り道だからといって油断することなく森から抜け出した。
あれ? 草原にもリオフォックスいるじゃん。
さっきはたまたま見つけられなかっただけかな。
草原では森と違って隠れる場所がないのですごく戦いやすい。
いくら速くても姿が見えるなら簡単に対処可能だ。
数匹が襲ってくるがサクサク倒していく。
能力値が上がったおかげかいつの間にか1撃で倒せるようにもなっていた。
街に行く道中にいるキツネだけ倒していく。
全部追っていたら真っ暗になっちゃうよ。
セオルの街はルコールの街と同じように煉瓦で作られた建物ばかりがならんでいた。ルコールと比べても街の大きさは大差なさそうだ。
宿と食堂はすぐに見つかり休むことができた。
宿代がルコールの倍の銀2枚だったけど、気にしていられない。
まあお金を前より稼げるようになったしいいかー。
シャワーを浴びたすぐ後に、私はベッドに倒れ込むように眠ってしまった。