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13 頑張った報酬

 

 それにしても今回はほとんど攻撃を受けることなく勝つことができた。

 くらったダメージも大したことなくスキルの 再生 により十分回復が間に合っていた。

 相性がよかったのもあるけど、着々と私が強くなってきている証拠かなー。



 ギルドまで着き、受付に依頼の達成を報告する。

「ごくろうさまでした。それでルコールの森が騒がしかったのは何が原因だったの?」

「ラクスウルフという魔物が現れて、他のウルフたちを統率していたせいだったようですよ」


 お姉さんが表情を険しくさせる。

「ラクスウルフですって! それは大変だわ。すぐに誰か討伐に行かせないと。アンナちゃんはどこも怪我はない?」


 ん? やっぱりなかなかの強敵だったのかな。


「私は怪我ありませんよ。それにラクスウルフなら私が倒してきましたよ。死体も持ってきましたがここで出しても大丈夫ですか?」

「え? 倒した? ラクスウルフはCランク級の魔物のはずよ。とりあえずその死体を見てみましょう。ちょっとこっちに付いてきてくれない?」

 なんだか面倒臭いことになりそうだ。


 お姉さんの後を追って階段から2階へと上がる。お姉さんは1つの部屋の前で止まり、ノックした。

「失礼します。ただいまお時間よろしいでしょうか」

「どうぞ」


 部屋の中は思っていたよりも広く、物が少なくすっきりとしている。

 奥の方では30代くらいのおじさんが机に向かって何か仕事をしていた。


「何か問題でもあったのか、セラ?」

「実はルコールの森にラクスウルフが出現したとの報告がありました。しかしEランクの彼女が倒したとのことです。アンナちゃんその死体ここに出してもらってもいい?」


 お姉さん――セラさんに言われて、私はラクスウルフの死体を腕輪の中から出した。

 血がカーペットに付いちゃうけどいいのかな……


「これは! 確かにラクスウルフのようだな。大きさ的にまだ子供といったところか。これならCランク程の強さもないだろう。えっと……アンナって言ったか? 本当に君がコイツを?」


「はい、そうですけど。なんか倒しちゃ不味かったですかね?」

 2人して驚くから少しヒヤヒヤする。

 しかもラクスウルフ子供だったのか。レベル3だったし生まれて間もなかったのね。


「いや、そんなことはない。よく倒してくれた、感謝する。しかしまだ子供とは言っても強い魔物だ。魔法も使ってくるし、常に群れで行動している。どうやって倒したんだ? ほとんど怪我もなしにEランクの君が」


 どうやってか……

 頑張って近づいてナイフで切っただけなんだけどな。

 私のスキルを言ってもいいものかな。魔物の力を得ているって、なんか魔物の味方みたいだし。


「ひょっとして君は勇者の1人か? 城の方で勇者が多数召喚されたという話を聞いていたのだが……もしや?」

 なんて答えようか迷っているとおじさんの方が、勝手に勘違いし始めた。

 うん、私は勇者。そういうことにしておこう。


「実はそうなんです。勇者の特別な力でなんとか倒しました」

「なるほど。勇者ならコイツを倒しちまうのもあり得るか」


 おじさんは一人で納得しているようだ。勇者って便利な言葉だね。


「とにかくラクスウルフを倒してくれてありがとう、アンナ。報酬の方は後で渡そう。ランクもDに上げよう。能力も成果も十分のようだしな」


 そうして話はまとまり部屋から出た。

 結局あのおじさんは誰だったのだろう。





「いやーおめでとう! アンナちゃん! でもラクスウルフを倒したんだもの、Dランクに上がって当然よね」

「えへへ、ありがとうございます。ところでさっきの人って誰なんですか?」

 少し気になっていたことを聞く。もちろん1番気になるのは報酬の件だけど。


「あの人はギルドマスタ―よ。若いときはすっごく強かったみたいなんだけど、怪我のせいでまともに戦うことができなくなったんだってさ。だから、ああやって事務仕事とかやってるわけ」


 なるほどねー。たぶんもう会うことはないんだろうけど。

「それで、報酬なんですけど……」

「報酬はね、なんと金貨10枚! まあたぶん今後のアンナちゃんへの期待を込めてだと思うけどね」


 10枚は嬉しいな。今度は使いすぎないように注意しないと。



 今日は魔法も手に入ったし、大金も手に入った。ランクも上がった。良いことばっかりだね。

 魔法は明日使うとして、ゆっくり宿で休もっと。

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