10 修行☆2
さてと、森に着いた。
ここに来るのも何日ぶりだろうか。
あまりいい思い出はないけど。
私ってば倒した魔物の能力値によって成長する値が変わってくるから、随分と偏ったステータスになっている。
特にスライムのMPが0だったせいか全くと言っていいほど、私のMPも増えていなかった。
ここの森の魔物はMPも少しはあったはず。
今の私の攻撃力なら一撃で倒せるはずだ。
ホーンラビットやオリーバウルフが出てくるが強くなった私の敵ではなく、サクサクと倒していった。
俊敏の値が高いおかげか体も軽い。
魔物の動きなんて私からしたら止まっているも同然だった。
それから2体のオリーバウルフが現れたが、私のことを見るなり逃げてしまった。
やっば……強くなりすぎた?
逃げられたんじゃ効率よく魔物を倒せないじゃんか。
走って追いかける。
あっさりと追いつくと、1体にナイフを突き刺し一撃で倒す。
もう1体の方はまた逃げられたかな。
辺りを見渡すと魔物達に囲まれているのがわかった。
いつのまに?
大量のオリーバウルフと、少数のファムウルフ。
少々面倒だけど1体1体倒していくしかないかな。
まとめて一掃する手段もってないし。
そこからは単調な作業のようになってしまった。
近づいては切り、近づいては刺す。
多少のダメージは気にせずに1体ずつ、確実に倒していく。
あのファムウルフですら一撃で倒れる。
無心で狩りつづけているといつの間にか周りには魔物の姿がなくなっていた。
うーん。ここまで単調な戦いはつまんないな。
もっと刺激が欲しい。魔法とか使いたい。
≪魔物博士3が魔物博士4にレベルアップしました≫
お! やっと来たね。
魔物博士4:倒した魔物の能力値1%を自分の能力値に加算する
見た魔物のスキルがわかるようになる
周囲にいる魔物の気配が分かるようになる
3体までの魔物のスキルを一時的に自分のスキルに加えることができる
強いけどなんか地味だ。
試しに魔物の気配を探ってみると半径100m以内の魔物の位置や種類が手に取るように分かった。
しかしMPを消費するようで燃費も悪そうだ。
やっぱり早いとこ強いスキル持った魔物見つけることが強くなる近道かな。
まだ日が暮れるまで時間はあるが、とりあえず今日は帰ろっと。
帰り道で 突進 と、再生 のスキルを回収しておく。
そろそろギルドランクを上げておきたかった。
ずっと同じような魔物を倒し続けるのも飽きてきたところだ。
街に着き、ギルドのお姉さんと話す。
「あら、アンナちゃん久しぶり。たまには依頼でも受けに来たのかな?」
あの日以来、お姉さんと少し仲良くなった。
「今日はランクを上げたいと思ってここに来ました。どうですか? 上げれそうですか?」
そう言ってプレートを差し出す。能力値は十分足りているはずだ。
「えっと……あれ? アンナちゃん、能力値だけならDランクまで上がれるみたいよ? でも依頼を達成した実績が少ないせいでEランクにしかなれないみたいだけど。」
ってことはだ。Eランクに上がって、Eランクでそこそこ依頼をこなせば即Dランクに上がることができるのか。
「ではまずEランクに上げてください」
「いいわよ。Eランクに上がるための依頼を達成できたらね!」
そっか。ランクを上げるためにも依頼が必要だったけか。面倒なシステムだ。
「依頼は……ルコールの森でファムウルフの討伐ね。」
ついさっき倒しまくったよ……そいつら。
「ファムウルフは他のウルフと集団で現れることが多いから気を付けて行ってきてね。Dランク程度の能力があるなら大丈夫だとは思うけど」
その情報はもっと前に知りたかった。前回ギルドの人(地味めな男性)に森のことを聞いたときはそんなこと一言も言っていなかった。
それともこのお姉さんが親切なだけかな?
それから日が暮れる前に森に行き、その日の内に依頼を達成しておいた。お姉さんには早いと驚かれたが、無事にEランクへと上がることができた。
ふぅ。ほんと二度手間な一日だった。
名前:アンナ・キドウ
職業:高校生
レベル:8
能力:HP 379/379→426/426
MP 12/12→24/24
攻撃 143→166
防御 42→53
魔力 90→95
俊敏 151→171
運 45→55
スキル:魔物博士4,ナイフ技術2,擬態,迷彩,魔法反射,突進,再生
しかし私のステータス、どんどん筋肉バカみたいになってきたなー。
もっと魔法も使えて、近接戦闘もできる万能な感じになりたい。
まさにゲームでよく見る勇者みたいな。