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肉じゃが


真子達が帰った数時間後…


「ねぇ真斗?」


「何だよ?」


「…お腹空いてない?」


そのとき真斗の腹からグゥ〜という音が…


「…もうすぐ晩飯の時間かぁ

…食いに行くには混んでるしなぁ

…どうする?」


「…ボクが何か作ろっか?」


「えっ?

…料理できんの!?」


「失礼だなぁ〜

ボクって料理けっこう得意なんだよ。」


(やっぱり女の子なんだなぁ)

「じゃあ、

何が得意なんだ?」


「えっと…和食かな…」


(アメリカに居たのに和食か…)


「じゃあ、

肉じゃが出来る?」


「いいよ…

じゃあ買ってくるね!」


そう言って真琴は車で出かけていった…


(買ってくるって、まさか…惣菜コーナーの奴じゃ無いだろうな…)




ピンポーン


「えっ、マコ早いな…忘れ物かな?」

真斗がドアを開けると…見慣れた人物。

 …石田尚人だ…


「よう、あれ?

真斗一人か…」


「なんだ…尚人か…

何の用だよ…マコは居ないぞ…」


「おっ、逃げられたか…。

うんうん、やっぱり俺たちに彼女は出来ないんだよな…」

そう言う尚人に真斗のパンチが飛ぶ。


「いってえな〜なんだよ…」


「俺は一言も逃げられたなんて言ってねーし、マコは買い物に行ってるだけで

…彼女が居ねーのは、お前だけだ…」


「うっ…ひでーな。

あれ?この部屋って…」

「って…見るなよ!」

(俺もまだちゃんと見てねーんだからな…マコの部屋)


「分かったよ…

真琴ちゃんの部屋か?」


「ああ、そうだよ。

…俺もまだちゃんと見てねーんだからな!」


「…今、居ないぞ…」


「…ダメだ!」


「やっぱしな…」


それから二人は

ゲームをしながら真琴の帰りを待つ。


ピンポーン


「おっ、帰ってきた」

真斗は急いで玄関のドアを開けると

両手が荷物でふさがった真琴が…

「ありがと。

あれ、石田君来てるの?」


「ああ、二人でゲームしてた」


「そっか、多めに買って来てよかったぁ。

すぐ作るからね!」


そう言って真琴はキッチンで肉じゃがを作り出した…

時間が掛かりそうだ。


しばらくすると…

いい匂いが部屋に漂ってきた。


「おっ、

いい匂いだなぁ〜」


「スキあり!」


「あ、尚人ひでー」


「勝負に油断は禁物なのだよ…」


(たかがパズルゲームにそこまでするか…)


…少し呆れた真斗であった。

 

二人がゲームを始めて約1.5時間後…


「出来たよ〜

自分でよそってね。」


「おお〜うまそうだなぁ〜」


「うん、なかなかいいな!」


そんなコトをいいながら肉じゃがを食べる三人。


気がつけば鍋の中は空っぽになっていた。


「マコ料理上手いな〜」

真斗は洗い物をしながら言う。


ちなみに尚人はコンビニにプリンを買いに行っている。


「そうでしょ〜

いつも作ってたからね」


「あっちで、何食ってたんだ?」


「えっ、なんで?」


「だってさ、

あっちの人って肥満が多いらしいじゃん…マコはやせてるなぁ〜て思って」


「それは人それぞれだよ。

まぁ確かに多いケド…ボクは基本的にあんまり外食ってしてないんだよね。」


「やっぱし、

ダイエットとかしてんの?」


「うーん…してないよ。

レースって結構体力使うし、それなりに鍛えてるしさ…」


「ふーん…そっかぁ」


(だからこんなに、すっきりしてんのか…)


そう思いながら真斗はいつの間にか、

真琴のコトをじーっと見ていた…

しかし、

この歳の男は自然に胸元を見てしまうものである。


「…ボクに何かついてる?」


「えっ…いや何でもない!」


「…本当に?」


「うっ……

マコって、その…

すっきりしてんなぁ〜って…」


「……すっきりって…つまり…胸が無いっコト?」


「うっ…」


(ヤバい…

つい胸元を見ながら言ってしまった!

…まぁ否定は出来ないが…)


「胸が小さい女の子じゃ…ダメ…かな?」


「…ダメじゃ…ないよ。

むしろ好きだぁ!」


そう言って真琴の胸に抱きつく真斗…

まるで母親に抱きつく子供のように…。


バサッ!


「えっ!」

二人は玄関を見る。


…するとコンビニの袋を落とした尚人が…

「…そうだよな…

若い男女が一つ屋根の下…こうなるよな…。

ジャマしたな、帰るわ。

…肉じゃがうまかったぜ…」


最後の方はよく聞き取れなかったが…

尚人は又しても、

寂しそうな背中で帰って行った…。


「悪ぃコトしたな…」

(アイツ彼女いない歴=トシだから…)


「うん…

なんか可哀想だね」


「そうだな…」


(知り合いのコ紹介してあげようかな?)

そんなコトを思った真琴であった。


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