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優美ちゃん


「優美ちゃん!」

(可愛いっ!)

そう言って真琴は優美ちゃんを抱きしめる。


(えっ、

何で知ってんの?)


「お姉ちゃん、一年ぶりだねっ!」


(一年ぶり?

まさか…)


「なぁ優美ちゃん…

どこで真琴と会ったんだ?」


「えっとね〜

遠いところだよ!」


(やっぱり…

姉ちゃん達、

新婚旅行のときに会ってたんだ)


「優美〜」


「あっ、ママだ!」


そこには、娘の名前を呼んで走ってくる真子の姿が…


「もう…勝手に出ちゃダメでしょ?」


「うん…ごめんなさい…」


「分かったらいいのよ。…家入ろっか」


真子がそう言うと4人は家の中に入っていった…。



「ただいま〜」

「おじゃまします〜」

真斗と真琴がそう言うと…

「真琴ちゃん!、

可愛くなったわねぇ〜」


と真斗の母さんが言う。


「…それなのに真斗ったら…」


「ちょ…母さん…

小声で何言ってんの?」

(まぁ完全に聞こえるケド…)


「えっ…あっ、お菓子あるわよ〜」


(…逃げたな…)


「ふふ 、面白いね…でも…ちゃんと気づいてくれたもんね?」


「時間掛かったけどな…可愛いな」


「えっ…今、

ボクのコト可愛いって…」


「…こうすればもっと可愛いわよっ!」


背後から真子がいきなり出てきて…

真琴にウィッグ(カツラ)をかぶせる。


「きゃ!…何!?」


そう言っている真琴を見て真斗の顔は真っ赤になっていた…


(スゴい…!)


「…髪が長い…?」

(ってコトは…ウィッグ!?)


「やっぱり似合うわね〜」

真子はうんうんと頷きながら言う。


「…真斗…どうなの?」


(えっ…どうって)


「可愛いケド…」

(インパクトがあるだけなのか…可愛いケド…なんか違う。)


「ケド…って何?」


「…なんか違うような気がする、

見慣れてないからかもしれないけど…」


「…よかった…」


「えっ…なんで?」


「だって、

ちゃんとボクを見ててくれたから」

(本当のボクを…)


「なんで真琴ちゃんってショートカットなの?」


「えっとそれは…

ヘルメットを被るときに、短いほうがいいから…」

(あと、真斗がショートカットの子が好きだから…)



「ヘルメット?」


(あっ、姉ちゃんは知らないんだ…)


「…もしかすると真琴ちゃんって、

あの舞い降りた天使!?」


(えっ…知ってるし!)


「お姉ちゃん…

なんでそれを…」

(恥ずかしいよ〜)


「やっぱりそうなのね。

隆彦が言ってたの

『アメリカには天使がいる』って」


(隆兄が?

…そういえばレースが好きだったよな。

ってそんなに有名なのか!?)


「ねぇあんたたち…玄関で話さなくても…リビングで話したら?」


そう言って笑うお母さんに三人は…

顔を真っ赤にしたのは言うまでもない。



…昼ご飯の食べて、

優美ちゃんは


「ママ…眠くなってきちゃた…」


(そっかぁ…まだ5歳だもんな…)


「じゃあ、お布団ひくね。」


「ママ、

あと…あれも…」


「わかってるわよ。

あれ好きねぇ〜」


「…姉ちゃん、

あれって何?」


「…真琴ちゃんも真斗も大好きだったもんね〜」


そう言って真子が取り出したものは…

大きなクマのぬいぐるみだった。


「ああ〜懐かしいね〜真斗。」


「うん…」

(言えない…まだ使ってるって、言えない!)


「どうしたの?」


「えっ…何でもないよ」


「…そう」

(絶対何か隠してる)


「ねぇ真斗

ボクあげたよね?

クマのぬいぐるみ」


「ああ、そうだな」

(それを抱いてるなんて言えない…)


「真琴ちゃん…

優美が起きる前に帰らないと…大変だよ?」


「姉ちゃん、

どういうコト?」


「優美はねぇ…真琴ちゃんを離さないのよ。」


(…なるほど)

「じゃあ帰ろっか…マコ」


「うん…」

そう真琴は答えると、優美ちゃんの隣に行き小声で…

「お姉ちゃんはもう帰るから…ねっ」

そう優しく言って、優美ちゃんのほっぺにキスをする。


それを見た真斗の顔は真っ赤になっていた…。



軽トラに荷物を積んで二人はアパートへと帰る…

真斗が荷物を持っているので真琴が

家のドアを開けると…物音が…

「だっだれ!?

真斗、誰かいるよ…」


「ハァ…またアイツか…」


「アイツって?」


「隣の204号室の石田尚人だよ。

…オイ尚人!」


「ゲッ、バレた…」


「バレたじゃねえよっ

…いい加減やめてくれないか?

勝手に俺んちでマンガ読んだりゲームすんのは…」


「わかったよ…でも、

…ベランダのカギをいっつも閉めてないお前も悪いぞ」


(…勝手に入って来るお前の方が悪いがな…)


「ところで、

その子誰だ?」


「俺の…幼なじみの真琴だ」


「そういや、言ってたな、

明日、幼なじみに会う

って…でも男だって言ってたよな?」


「うっ…それは…」


「真斗は悪くないよ、ボクが言わなかっただけだから…」


「えっ…真琴ちゃんってボクっ子!?

すげー、始めてリアルボクっ子見た…

てか…おまえってこんなに可愛い子を男だと思ってたのか?」

「うっ…じゃあ…」

そう言って真斗は机の引き出しから写真を取り出す

「尚人、この写真見てみろよ…」

と、真斗は尚人に写真を渡した。


(あ、ボクが幼稚園のときの写真だ…

まだ持っててくれたんだ…)


「…なんだよ、この写真…可愛い男の子の写真じゃんか。

これがどうしたんだ?」


(やっぱりボクって、男の子に見えてたんだ…)


(…やっぱし尚人も間違えてんじゃん)


「なぁ、この子誰だと思う?」


「えっうーん…

真斗じゃないしなぁ、しっかし可愛い男の子だなぁ…

…わかんねー」


「…実はな…真琴なんだ」

真斗は真琴の肩にポンと手を置きながら言った。


「へっ?…今なんて?」


「だから…その写真の子は、女の子で…」


「ちょっとまて!

…女の子の制服ってスカートじゃなかったっけ?」


「ズボンかスカートか選べたんだよ…

ボク以外の子はほとんどスカートだったけどね」


「…らしいぞ…

どうだ、俺のコト馬鹿にできねーだろ?」


「…本当に真琴ちゃんなんだな…

この子って…」


「ああ、そうだ…」


「…なんかショック…

俺、帰るわ…

じゃーな…」


そう言って尚人は帰って行った…

寂しそうな背中で…。


「…変わった人だね…」


「ああ、でも悪い奴じゃない…

まぁ変わった奴だけどな」


「ねぇ…

荷物どこに置いたらいいの?」


「うん…こっちの部屋に置いてくれ、

しばらくはマコの部屋だから自由に使ってくれ」


「うん、ありがとね」

そう言って真琴は部屋に荷物を置き始める。


(…まてよ、マコは女の子で…俺んちにしばらくは居る…

大丈夫かな?)


「なぁマコ?」


「うん、なに?」


「…大丈夫か?」


「何が?」


「えっと…俺と二人っきりで過ごすから

…その…親父さんは知ってるのか?」


「大丈夫だよ。

ちゃんと言ってあるから、お兄ちゃんにもね。」


「そっか…

よく許してくれたな」


「うん、大変だったけどね…」


(やっぱし大変なんだなぁ〜)



真斗は自分の部屋で音楽を聞きながらのんびりしていると携帯が鳴った。


「メールか…姉ちゃんから…えっ!」


真斗はメールの内容を見て驚いた…


『優美起きちゃったのそしたらお兄ちゃんとお姉ちゃんのトコに行くってきかないから…今向かってまーす。

…陸彦も一緒だよ。』


(陸兄も来るのか…てか家族で来るのか!)


「どうすっかなぁ…

なんかお菓子とかあったっけ?」


そう言って棚の中を見る…

「何にもねぇ〜

とりあえず買ってくるか…」


「真斗、どうしたの?」


「もうすぐ姉ちゃん達が家に来るって…」


「えっ本当に!

やった〜優美ちゃんにまた会える!」


「菓子買って来るから留守番頼む…

…行ってくる」

真斗は準備をしながら真琴に話すと菓子を買いに行った…。


(ったく、姉ちゃんって急過ぎるんだよな〜)



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