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迷子


軽トラを走らせること数分、この街のメインストリートに着た。

このあたりは牛丼屋が多い。


通称牛丼ストリート


「ここにしよっか?」


そう言って入った店はおなじみのオレンジの看板の店だ。


カウンターに座ると早速注文をする。


「俺は、並のAセット」


「じゃあボクもそれで」


やっぱり牛丼はスタンダードな物が一番だ。


「ねぇ真斗?」


「うん、なんだ?」


「ボクを真斗の家に泊めて欲しいんだけど…いいかな?」


「いいけどさ…

家決まって無いのか?」


真琴は連休明けから真斗と同じ学校に来る予定だ…ただし、試験に受かればだけど…まぁ大丈夫だろう。


「うん…」


「まぁしばらくならいいけどさ。

(…男だしな…)

ところで荷物は?」

(軽トラにも載ってないみたいだし…)


「えっと荷物はね…

真斗のお母さんの所に今日届くはずだよ?」


(えっ母さんの所に?)


「お待たせ致しました、並のAセット2つになります。」


牛丼が来たので会話は中断して食べ始める。


…15分程経過して…


「おいしかったね〜」


「ああ、やっぱり牛丼は星野屋だよな」


そう言いながら店を出る二人の前に

男の子が…

「お姉ちゃんっ」

そう言って真琴に抱きついてきた。


「えっ?ボク?」


(今、真琴のコトお姉ちゃんって…)


男の子は今にも泣きそうだ。


「えっと…ボク、名前は?」


真琴はしゃがんで男の子に目線を合わせて優しく訪ねる。


「グスッ…僕、浩人」


「浩人君かぁ〜」


「お母さんとはぐれちゃたの…グスン」


男の子は泣くのを何とかガマンして答える。


「じゃあ、お姉さんと一緒にお母さんを探そっか!」


「うん!」


(本当にお姉さんみたいだな…)


「いいよね?」


「ああ、じゃあ浩人君。

どこではぐれたのかな?」


「えっとね…

大きな公園!」


(大きな公園か…あそこかな?)


「なぁマコ、たぶん渋谷公園じゃないか?」


「渋谷公園…たぶんそうだね!

…ドコだっけ?」


(えっ?

…そうだねっ言ったよな)


「久しぶりだから道が分かんなくてさ…」


(そうゆうコトか…)


「じゃあ俺の後ろ付いて来いよ」


俺はそう言って、軽トラからスクーターを降ろす。


「そっか、分かったよ。

じゃあ浩人君、行こっか」


「うん…」


(お母さんに会えるか不安なんだね…。

大丈夫だよお姉さんが会わせてあげるからね)


「大丈夫だよ。」


そう言って真琴は浩人君の頭を撫でる。


(本当にマコは男…だよな…、あれ?分かんなくなってきた…)


昔の記憶とあまりにも違う真琴を見て真斗は混乱していた…


(いや…マコは男だ。

じゃないと俺は…この10数年間あまりにも大きな勘違いをしていたことになる…


でも、いくら女に見えたとしても…

真琴は真琴だ)


そんなコトを考えながら、真斗は渋谷公園に着いた。


「変わってないなぁこの公園は…」


「真斗〜」

真琴が一人で走って来た。


ハァハァ…


「あれ?浩人君は?」


「ハァ…えっとね…」


浩人君は真琴と公園に向かっている間にお母さんを見つけて…帰っていった。


幸せそうに手をつなぎながら。


「そっか…全然気付かなかったよ。

でも、良かったな。」


「うん、お母さん何度もお礼を言ってたよ。」


「そうか、マコはいいコトしたな。

…本当にお姉さんみたいだったな…」


(えっ…お姉さんみたいって今…もしかして、ボクのコト気付いたかな?)


「えっと…今…

ボクのコトお姉ちゃんみたいって…」


「えっ…そ、そんなコト言ったか?」

(やべー、つい言っちまった)


(やっと気付いたね。

ボクはこの事を真斗に…真実を伝えに…)


「そう言えばマコ、覚えてるか?」


「えっ…ごめん聞いてなかった。」


(えっ…まだ何も言ってないんだけど…)


「この公園で俺達は出会ったんだよな」


「うん…そうだね…」


こうして居ると昔の記憶がだんだん蘇ってくる。


「マコってさ、変わったよな?」


「えっ…そうかな?」

「なんつーか…

俺はまだガキだけどさ、

マコは大人っぽいとゆーか…

精神年齢が上って言うのかな?

うまく説明出来ないけどさ…」


(真斗、やっぱり気づいてる…ボクのコト)


「ねぇ、

そろそろ真斗の家に行きたいんだけど…」


「そうだな…準備もあるし。」

(二人だけで話したいしな…)


「じゃあ行こっか。

案内よろしくね。」


「おう!まかしとけ」


(自分の家までなのに…)


二人は渋谷公園を後にする。


(…真実を話さないとね)

真琴は軽トラの前を走る

真斗のスクーターを見ながら、

そんなコトを考えていた。


次回、ついに二人っきりの時間が…

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