サーキット1
「このマーチには
スーパーチャージャー
が付いてるんだよ」
「スーパーチャージャーって…」
「ん、真人
…分かるのか?」
「…ターボと何が違うの?」
「…少しでも期待した俺がバカだったよ…」
「…クランクから、回転を得て回すのが
スーパーチャージャーで、
排気から回転を得て回すのがターボチャージャー
。
と言う訳で…
K12マーチ改スーパーチャージャー仕様
推定150馬力
どう?真琴ちゃん。」
「…なんか…
説明口調ですね…」
そして、ブルーオートを後にして、260RSで何処かへ向かう…
ちなみにマコの運転だ。
「どこ行くの?」
「着いてからのお楽しみってトコかな」
「ふーん…
マコ、知ってるか?」
「うん、
でもナイショだよ!」
…俺だけ仲間外れか…
ん…寝てたのか俺…
「…ココって…」
「サーキットだよっ!」
そう言ったマコは、
レーシングスーツに身を包んでいた…
「…戦闘服みたいだな…
って、これから走るのか?」
「だってさ…
『ココのサーキットで
生意気なガキに
レベルの差を見せつけてくる…』
って言うのが条件だって言ってたから」
「…なんだそりゃ?
てか、そのガキって誰?」
「わかんない。
でも…
心当たりはあるよ」
俺たちの会話を
近くで電話をしていた
子供の声が遮る。
「…俺が女の子と走るって?
…冗談だろ?
いくらコーチの頼みでもなぁ…女の子なんかに勝っても
…なんか嬉しくないんだよ。
弱いものいじめみたいじゃん
女は男に勝てないんだよ!」
…なんかスゲーな
あのガキ 。
ふと、隣のマコを見ると
…なんか怒ってた…
「…言い過ぎだよね!
…ちょっと一言
言ってくる!」
「ちょ、マコ!」
あーあ行っちゃた…
「ねぇ…
ちょっといいかな?」
「ん…?
いいけど…」
「さっきの電話聞いちゃったんだけど、
…言い過ぎじゃないかな?」
「えっと…その…」
「ねぇ、
君レーサーなんでしょ?
だったら、走りで示してよ。
さっき言ってた『女の子は男の子に勝てない』ってコト」
「でも俺、
女の子を相手にするのは…」
「大丈夫、
ボクもレーサーだからね。
それとも…
女の子に負けるのが怖い?」
「そんなことねぇよ、
絶対勝ってやるからな!」
「じゃあ、
あっちのカートコースでね」
「わかった。
…名前は?
俺は小篠 豊」
「ボクは
山本 真琴だよ」
「…じゃあ30分後に」
そう言って二人は別れた…
「マコ、いいのか?」
「うん、あの子が青森さんが言ってた子だからね」
「本当に?」
「うん、だってさ…」
『おーい!』
あ、陸兄だ
「わかったよ
…例のガキ」
「ああ、それなら…
さっきマコが…」
「カートで走るよ」
「…なんだそりゃ?」
俺はとりあえず陸兄にさっきのコトを説明する。
「…と言うわけ」
「ふーん…
しかし、よくわかったな?」
「だって、
陸さんが言ってたからね」
「ん?…俺が?」
「なに言ったの、陸兄?」
「えっと…わかんない…」
「やっぱりね…
新婚旅行でアメリカに来たときに…
俺の知り合いのトコに
結構速いガキが居るって、
言ってたでしょ?」
「そういえば言ったような…?」
「それでね、最近調べてみたの。
カートの日本チャンピオンらしいね、
ジュニアクラスの」
「ああ…でも、
相手にするのはかわいそうな気がするなぁ… 」
「なんでかわいそうなの陸兄?」
「えっ
…わかんないか?」
「…ホントに何にも知らないんだね…」
「ジュニアクラスって言うのはな…
15歳以下のクラス。
真琴ちゃんがやってたのは
素人からプロレーサーの混合クラスだよ」
「…つまり、マコって
…プロレーサーに勝っちゃったってコト?」
「そ、
だから相手にするのは、
かわいそうなんだよ」
「ねぇ、ボクが嫌いなコトって
なんだと思う?
…女の子を甘く見る男の子だよ。
今からイヤって言うほど、
女の子の強さを見せつけてやるからね」
…これから、
マコは怒らせない方が良さそうだな…




