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渋谷峠とケッタ


「マコ、無理すんなよ」


「うん、大丈夫だよ!」


渋谷峠のクイーンこと

姉ちゃんと走るコトになったマコ。


俺は姉ちゃんに渡されたストップウォッチの担当になった。


「ところでさ…

この車でついていけるのか?」

(コッチは軽トラだし、二人乗ってるし…姉ちゃんは

ミニクーパーだし)


「大丈夫だよ。

この車、普通じゃないからね」


「普通じゃないって…ただの軽トラじゃん」


(…充分変わってると思うけどなぁ…

RRだし…

スーパチャーチャージャーついてるし、

それに…ね)


「…見た目で決めちゃいけないよ?」


そう言ってマコは何かのボタンを押した。

キュィィンー

キィーンー


何の音だろ?


「コレはモーターの音だよ」


モーター?えっ…

でも二重に聞こえるような気が…

「もしかして、

ハイブリッドなのか?」


「うん、ハイブリッドだよ。

でも、何とゆーか…

スーパーターボかな?」


なんだそりゃ?


「うーん…そのうちわかるよ。」


そう言ってマコはミニの後ろをついて走る。


一応、ハザードの点滅がスタートの合図になっている。


俺はストップウォッチを押すために準備をしていると…


「ハザード!」

俺はすぐにウォッチを押す。

「じゃ、いくよ〜。

しっかり捕まっててね?」

そう言うとマコはすぐさまアクセルを踏み込んだ。


キィィーン


エンジン音と共に入り込んでくるモーター音。

すると、ズルッと

リアタイヤが滑る。


「ちょっと扱いにくいんだよね〜」

そう言いながら、

滑るリアタイヤを抑えて加速していく…。


…俺はマコが言った意味がよくわかった…普通じゃない!


そんなことを思っているとコーナーが

目の前に…


「マコ、ブレーキ!」


「そんなに慌てなくても大丈夫」

そう言うと、


フォン、フォォン

 ギャァア


車がスライドして景色が横に流れてゆく…。


「ド、ドリフト!?」

(軽トラだぞ!?)


「そんなに驚くコトかなぁ?」

と言いながら、

マコは顔色一つ変えず、

クールにステアリングを握っていた…。



 …スゴい…

ピッタリついて来る。

やっぱり天使の名は伊達じゃないわね…

 真子はそう呟いた。


「アレ?

ミニがハザード?」


「どうしたんだろ?」


とりあえずマコは

ミニについて行き

駐車場に車を止める。



マコは車を止めると、姉ちゃんの所に走っていった…

「お姉ちゃん、

どうしたの!?」

「姉ちゃん、

大丈夫!?」


「…ねぇ、二人共…

気付かなかった?」


「えっ?」「ヘっ?」


「…警察が待ちかまえてたのよ…」


「えっ…ウソ!?」

「…マジで?」


「本当よ。

だってこのレーダーに…」


そう言って姉ちゃんは小さな画面を見せる。

そこには

『50m先、警察アリ』の文字が…。


「本当だ…」

「危なかったな…」


「最近、取り締まりが多いから付けたんだけど…助かったわ」


「…なんで叔父さん、付けてくれなかったんだろ?」


「うーん…

何か理由があったんだよ。…多分…」



「真斗、隣に乗って」


「えっ…なんで?」


「話があるの。

いいわよね、真琴ちゃん?」


「うん、いいよ。」



「姉ちゃん、話ってなに?」


「昨日…

何もしなかった?」


「えっ?」

(何もって…)


「その…

襲わなかったでしょうね?」


「…そ、そんなコト…する訳ないじゃん!」



「良かった〜。

…でも、二人で寝たって…」


マコ…喋ったな…


「二人で寝たのは事実だけど…

手を繋いで寝ただけだよ」


「なんか、

子供みたいね〜」


……うっ…


「でも、変わってないわね二人共…」


「…どうゆうコト?」


「見てたんだからね、

二人が小さい時に手を繋いで寝てたの」


見られてたのか…


考えてみれば、マコと一緒に風呂に入ったコトなかったなぁ

今なら分かるけど…そのころは不思議だった。

姉ちゃんと二人で風呂に入っていたマコのことが…


「姉ちゃんとマコって、一緒に風呂入ってたよね?」


「そうよ。

だって女の子だもん」


そうなんだよな…

マコは女の子だもんな…


「何、一緒に入りたかったの?」


「あのころは知らなかったから…

不思議だなぁって思ってさ」


「うーん…そうね。


男の子同士なら普通は一緒に入るもんね?」


「まぁね

…でも、一緒に入ったら大変だったんだろうなぁ…」


「そうね。

でも、一緒に住んでるんでしょ?」


「…住んでるけど…

そんなコト、できるわけ無いじゃん!」


「そうよね。

真斗は真琴ちゃんに弱いからね〜


…でも、もし真琴ちゃんが誘ってきたらどうする?」


ふざけていた

と思っていた姉ちゃんが、

急に真面目な顔をして聞いてくる。


「…マコが俺を望なら…いいよ」


「そっか…

でも普通、逆じゃない?」


確かに…


そんな話をしている間に学校へ…


「真琴ちゃん、

ここに停めてね!」



「けっこう広いんだね〜」


「まぁ、田舎だからな」


「ちょっと鍵もらってくるね。

真琴ちゃんに案内でもしててね」


そう言って姉ちゃんは職員室に向かった。


「案内って…

とりあえず教室でも行くか」


「うん。ところでさ…

人いないね」


「まぁ…

休みだからな

(教室って開いてんのかな?)」




「ここだよって…

開いてるし!」


「誰かいるのかな?」


二人はそっと教室の中をのぞいてみた…


「誰も居ない」


「うん、誰も居ないね…」



「あれ?

なんでこんな所にいるんだ?」

そう言って声をかけてきたのは尚人だった。


「尚人!

なんでお前がここにいるんだよ?」


「…好きで来てんじゃねぇよ…ハァ…」


…そういえば尚人のヤツ、

赤点取って補習って言ってたな…


「ねぇ尚人君。

忘れ物でもしたの?」


マコは教室に尚人が忘れ物をして取りに来たと思っているようだ。


まぁ休みに学校に来る用て、

あんまし無いからな…。


「マコ、ちょっといいか?」

俺はそう言ってコッソリ訳を話した…。

「そうだったんだ…」

「まぁ、いつものコトだけどな」


「二人で何こそこそやってんだ?」


「いや、何でもない。

そういえば、何で教室に用があるんだ?」

補習は終わったはずだし…


「…お前の姉ちゃんに呼び出されたんだよ。

なんか水着もってこいってさ。」


「ふーん…そっか」


「ところでさ、

お前、何で来た?」


「へっ?」

(変なこと聞くなぁ…)


「実はさ、ケッタがパンクしちまってよ…」


「…ケッタは積めるけどさ…

お前は乗れねーぞ?」

(姉ちゃんに頼まなきゃな…)


「一体なにできたんだよ…

まさか、車?」


「真琴が免許持ってるからな」


「えっ、マジで

…真琴ちゃんが?」


「うん、そうだよ。

ところでさ

…ケッタって何?」


あ、そっか…この辺の人しか言わないんだよな…。

「自転車のコトだよ。

この辺の人はケッタって呼ぶんだよ」


「…何か分かりにくいね」



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