Y01艦上戦闘機
「長官、こちらがその高性能レシプロエンジンの図面です。これは未来の日本海軍が開発していた烈風のレシプロ図面「ハ43」です。2200PSという圧倒的な力を誇ります。また、ついでにこれがそのハ43を載せる予定だった烈風という艦上戦闘機です。」
「ほう、これがか。よし、菱住へ送れ。…これは原盤か?」
「これはコピーです。」
「ほう、艦内にコピー機まであるとな?」
「はい、便利ですので…」
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「これが未来にうちが作るエンジンと戦闘機か…。すごいな…。」
と語るのは菱住重工の堀越次郎技師である。この先史実であると零戦を作るのであるが、秘匿名称「Y01」…つまりはこの「ハ43」を載せた艦上戦闘機を急遽作ることとなった。
また、九六式艦戦にフロートを付けた水偵や水爆(水上爆撃機)の開発もスタートしていた。この時点では昭和16年に開戦する事は不可能であると分かりきっていたため、太平洋戦争の開戦時期は、航空戦艦大和の建造完了・Y01の量産完了・水偵、水爆の量産完了の3つの条件をクリアした際、とした。その間米国とはできるだけ穏便に済ませるようにも促した。あとは技師達の力にかかっているのだ。
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その頃、陸軍からも問い合わせが艦隊に来ていた。その内容とは勿論戦車である。現在、陸軍は九七式中戦車、チハを開発し終えたばかりであったが、未来から来た人々にこれが弱いかどうかを聞けば良いという判断だった。勿論、現在知られているように、チハたんという愛称まで付けられるほど弱いのである。
「そして?チハは弱いのかね?」
「はい。その通りであります。大戦初期はまだしも、大戦中期以降になってくると苦心します。また、後期になると新型の米主力に一撃でやられたり、倒せなかったりしています。」
「未来の新型戦車の設計図はないのかね?それを元に設計したく思っている。」
「はあ、問い合わせてみますが…。少々お待ちください。」
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「問い合わせましたらありましたので取って参ります、少々お待ちください。」
この時あったのは独軍III号戦車の図面であった。書庫に少しだけ陸軍ものの図面があったという。これの名称は後にY100となった。